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●美術館の名作椅子#19●大阪中之島美術館

大阪中之島美術館

設計:遠藤 克彦
開館:2022年


・NAKKA チェアー

デザイナー:藤森 泰司
発表:2022年
メーカー:CondeHouse
価格:¥95,700
(2025年現在)

色違いで何脚も置いてある大阪中之島美術館のメインチェア。
脚部には中之島の“N”の文字がデザインモチーフとして入っている。

NAKKAシリーズはデザイナーの藤森泰司氏により、2022 年にオープンしたこの美術館のためにデザインされた。
ちなみにこのシリーズは全て市販されている。



・NAKKA ベンチ

上から

デザイナー:藤森 泰司
発表:2022年
メーカー:CondeHouse
価格:¥404,800
(2025年現在)

独特の形状の木製ベンチ。
こちらは上から見ると"N"の文字が入っているということだが、チェアに比べると分かりずらいかもしれない。
"N"に縛られすぎなくてもよい気もするが、そこはデザイナーのこだわりだったのだろう。
(もしくは美術館側からの条件?)



・NAKKA ソファーベンチ

デザイナー:藤森 泰司
発表:2022年
メーカー:CondeHouse
価格:¥894,300〜
(張地による)(2025年現在)

NAKKAシリーズで一番高額なモデル。
こちらはクッションのステッチで"N"を表現している。
レザーの感触が優しく体重を受け止める。
ちょうど一休みしたいくらいの展示室中程のエリアにうまいこと置かれている。



・NAKKA アームレスイージーチェアー

デザイナー:藤森 泰司
発表:2022年
メーカー:CondeHouse
価格:¥225,500〜
(張地による)(2025年現在)

基本構造はNAKKAチェアと同じだがこちらは座面を低く広くして、よりリラックスできるラウンジチェアタイプ。
窓に向けて置かれているので外を眺めながら作品についてぼんやり考えたり、頭をリセットして次の部屋に向かったりと、小休止するのに適した椅子だ。



・NAKKA ワンアームイージーチェアー

デザイナー:藤森 泰司
発表:2022年
メーカー:CondeHouse
価格:¥243,100〜
(張地による)(2025年現在)

《NAKKA アームレスイージーチェアー》の片方にアームが着き、よりリラックスできる椅子。
脇に置かれたテーブルもカンディハウス製のNAKKAシリーズだ。



・木製ベンチ

発表:2022年
メーカー:inter office
価格:非売品

このベンチもNAKKAシリーズかと思いきや雰囲気は明らかに違うしカンディハウスのWebページには掲載されていない。
ネットの海を彷徨った結果、インターオフィスという会社のHPに辿り着いた。

インターオフィスでは展示室やホール・会議室などの家具を担当しました。

inter office HPより

ということだったので問い合わせてみたところ、直接の担当者から丁寧な回答をいただけた。
要点としては、べンチはインターオフィスが美術館のために造作した。
特注品なので一般には販売していない。
デザイナー名は公表していない。
とのことだった。
このベンチは溝部分がパカっと外れてそこが本棚としても使え、展覧会図録見本などを置いたりもできるという優れ物だ。



・スツール S-3030

デザイナー:剣持 勇
発表:1960年
メーカー:ワイ・エム・ケー長岡
S-3030:¥63,800
(2025年現在)

長岡の籐家具メーカーが作る日本の伝統工芸的スツール。
東京国立近代美術館の日本作品ブースにも多数設置されている。



・03 Chair

デザイナー:マールテン・ヴァン・セーヴェレン
発表:1998年
メーカー:Vitra
価格:¥81,400
(2025年現在)

横浜美術館神奈川県立近代美術館 葉山館などでも監視員用椅子として使用されている。
背もたれから座面の素材は程よく弾力があって気持ち良い。
歴史に残る名作椅子というタイプの椅子ではないが、名バイプレーヤーといったところだろうか。

閲覧室でも使われている



・まとめ

大阪中之島美術館の椅子の納品や調達にはいくつかの業者が関わっていたが、カンディハウスのNAKKAシリーズは美術館名を冠しているだけあり、この美術館の雰囲気によく合っていた
木製で温かみがあるので、黒を基調とした建物の硬さを和らげてくれているようにも思えた。

NAKKAシリーズのデザイナーの藤森氏は多摩美で教鞭をとっている。

ちなみにメーカーのカンディハウスはアーティゾン美術館でもオリジナルデザインの特注椅子を納品している。

インターオフィス製の木製ベンチもNAKKAシリーズとはメーカーが違えど相性は良い。
なぜかゼロスリーチェアだけ人工素材なので、いっそのことセブンチェアあたりの木製の椅子で揃えた方が統一感が出るのでは、なんて思ってしまった。

なお、1階にはインテリアショップ「HAY」が入っているので、椅子好きやインテリア好きの人はそちらも楽しめるだろう。



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