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●美術館の名作椅子#12●川崎市岡本太郎美術館

川崎市岡本太郎美術館

設計:川崎市まちづくり局施設整備部、株式会社久米設計
開館:1999年




・YUTTARI

デザイナー:岡本太郎
発表:1956年
メーカー:IDEE
価格:¥177,900
(2024年現在)

低座で座り心地の良い椅子。
岡本太郎の椅子の中では一番普通のデザイン。



・MEBAE

デザイナー:岡本太郎
発表:1950年代
メーカー:IDEE
価格:¥108,900
(2024年現在)

もともと名前がついていなかったが、復刻の際に岡本敏子さんがつけたとのこと。
美術館のキャプションでは「スツール」1967年 となっていたがIDEEのHPによると50年代とのこと。
はたして真相は?



・IRODORI ISU

・坐ることを拒否する椅子

・IRODORI ISU
デザイナー:岡本太郎
発表:1950年代
メーカー:IDEE
価格:¥131,900
(2024年現在)

フレームを白いキャンバスに見立て、10色の紐を絵を描くように自由に編んで完成させるというコンセプチュアルな一脚
肝心の座り心地は、まあ良くはない


・坐ることを拒否する椅子
デザイナー:岡本太郎
発表:1963年

2017年の「生活のたのしみ展」で先着順で3脚販売されている。
価格は162万円即完売したそうだ。

なかなかこの椅子の情報が見つからなかったが以下の有力情報を発見。

坐る事を拒否する椅子は1964年に開催された「岡本太郎展」に向けて信楽で1963年に製作された。
〜中略〜
2021信楽での太郎展で当時の関係者だった佐藤信夫さんに、沢山の貴重なお話を聞かせていただいた。
一口に坐ることを拒否する椅子と言ってもフォルムが違うものがある。解る範囲では1963年製作のものと1990年代のものがあると言う事だ。
〜中略〜
1963年型が初期とすれば1990年代型は後期となるが、顔のデザインが同じでも作られた型が違う為、胴から上面へのフォルムが違う
〜中略〜
初期の製作時に使用された型が破損していた為、新たな型が起された。その型から150点の拒否椅子が製作されたとある。この型の違いがフォルムの違いに表れている。90年代に100点程出荷し残りは2006年頃出荷されたとしている。写真はその時の様子。
この時のロットが1999年開館の岡本太郎美術館にあるものだ。1998年開館の記念館に送られたものもだろう。1988年開館、台風の浸水被害により昨年閉館が決定してしまった川崎市民ミュージアムにも10個以上あったと思う。

小田原万博探偵ブログ 岡本太郎と信楽4~坐ることを拒否する椅子~2

この方のブログではこの椅子にまつわる記事が他にも何話かあり、いずれも読み応えがある

ちょうど某ギャラリーから信楽焼のオリジナルが¥4,950,000で出ているが、高い…



・手の椅子

・駄々っ子

この辺りのクセつよ椅子も復刻版はありそうなのだが、情報はネットの海のどこにある?
制作会社のページらしきものはあった。

メルカリでの参考落札価格



・カフェテリアTAROの椅子

メーカー:パブリック
価格:特注品

カフェの椅子は明らかに岡本太郎を意識した椅子だが本人デザインのものなのかどうか、はたまた市販されているものなのかどうかもわからなかった。

ふと裏を見ると「パブリック株式会社」のステッカーが。

問い合わせをしてみたところ、
この椅子は以前市販していたレギュラーモデルに、オーダーで太郎風に穴を開けて色をつけた特注モデルなので市販はしていない。
元になったレギュラーモデルもだいぶ前に廃番になっている。
とのことだった。
程よく太郎エッセンスが入りながらも本人デザインの椅子ほどクセは強くなく、(いい意味での)普通の座り心地なので実用的な需要はありそうにも思えるが如何なものか。



・まとめ

岡本太郎の椅子の復刻版はIDEEから出ているものが多かった。

こんなのもあったが現在は廃盤のようだ。

岡本太郎美術館は本人デザインのクセつよ椅子が多いが、いかにもな感じでわかりやすくて良い。
ひとつひとつが単体の立体作品のようなものだ
一般家庭ではなかなか使いづらいデザインだが、太郎本人はそんなことまで考えてデザインしたわけではないだろうからまあいいか。
逆にここにセブンチェアとかPK22とか置いてあってもなんだか困る



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