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【ライナーノーツ】ギターの神はかく語りき
逆噴射小説大賞に投稿した私の作品は、どれも思いついた話を衝動的に発射したものばかりだ。ゆえに、どれもそれ以上の続きは全く考えていなかった。
だが例外が出た!続きができ、あまつさえ掌編として完結したのだ。思っていた以上に褒めていただき、調子をこきにこいた結果だ。本当に皆様ありがとうございます。
この作品は、逆噴射小説大賞に私が最後に投稿したものだ。
これのひとつ前『人形の国』を投稿してから、まーこ
ギターの神はかく語りき ~エピローグ~
【承前】
俺は、彼女と一緒に他のメンバーをスカウトし、めでたくバンドを組んだ。
俺と彼女のツインリードギターは、地元のメタラーの間で密かに話題になった。
俺たちのライブには、どこから湧いてきたんだってぐらい大勢の筋金入りのメタラーたちがいつも集まってくれた。
ありがたいことに地元以外でもファンが増えてきて、ライブ遠征できる日も近い。
俺と彼女の息はピッタリだ。
彼女と一緒ならいくらでも音楽を楽
ギターの神はかく語りき (7)
【承前】
固まる俺を前に彼女は突然笑い出した。
「アッハハハ!いきなりごめんね。悪いけど外から見てたよ。
もちろん声は聞こえなかったけど。あの野郎相変わらずなんだね」
「あ、あの野郎?」
やっとのことで声が出た。裏返りやがった。カッコ悪い…。
「顔だけは綺麗なんだけどねー。あいつアタシの元彼」
真顔になる俺。
それを見てまたカラカラ笑う彼女。
「ライブ見たよ!お兄さんすっごいね!惚れたよ
ギターの神はかく語りき (6)
【承前】
果たしてツンツンとモミアゲは俺の曲を気に入ったようで、即興でドラムとベースを合わせてくれた。
ツンツンはバスドラを激しく踏みながら高速ドラミングを行い、モミアゲは低音のボリュームを上げてうねるようなベースを披露してみせた。
そういやこいつらのこんな音、あんまり聴いたことないな。
3人で盛り上がっていたら、それまでいやに静かだったイケメンがキレた。
「やめろ!!」
突然の大声を叩き
ギターの神はかく語りき (5)
【承前】
あれから何ヶ月経ったかな。
評判は(ほとんどイケメンのおかげかも知れないが)上々で、地元でちょっとずつ有名になっていった。
ライブハウスでのライブに加え、対バンにちょくちょく呼ばれたり、地元のちょっとしたフェスにも出たりと、バンドとして充実の日々が続いた。
だが、ここ最近はバンド内の空気がピリピリしていた。
どうやら原因は俺らしい。
とにかくイケメンが何かと俺に文句を言ってくるように
ギターの神はかく語りき (4)
【承前】
3人と別れて帰路についた時、日はとっぷりと暮れていた。
俺は晴れて新ギタリストとして迎えられた。
スタジオでは何曲かセッションした。
人気バンドのカバーと、イケメンヴォーカルが作ったというオリジナル曲。
今の曲を全然知らないと言ったら笑われたが、音源を聴かせてもらってすぐさまコピー完了、多少のアレンジも加えてやった。
…俺がアレンジするともれなく80年代ハードロックの香りが添えられて
ギターの神はかく語りき (3)
【承前】
バンドを組む!
公園でひとり弾いてたって仕方ない。
というか、俺ひとりだと神様野郎の専門である古典的なハードロックしかわからない。
俺は別に音楽が好きなわけでも何でもない。
ただモテたい一心でギターを始めただけだ。
音楽にさして興味がないから、女の子ウケする音楽がどんなものか見当もつかない。
だからバンドを組むしかない。
バンドでライブをやってファンを作るんだ。
俺なら間違いなく
ギターの神はかく語りき (2)
【承前】
とにかくファンだ、俺のファンを作るんだ。
この自慢のギターがありゃそう難しいことじゃないだろう。
よし。
俺はアコースティックギターを持って都心の大公園に向かった。
開けた広場のベンチに腰を下ろしてチューニングをする。
一呼吸つき、俺は弾き始めた。
ゲイリー・ムーアにジェフ・ベック、ヴァン・ヘイレンにジミ・ヘンも外せない。
だんだん俺は当初の目的を忘れ、半ばトランス状態のようになっ
ギターの神はかく語りき (1)
俺にはギターの神様が見える。
モテたくてギターを始めたら目の前に現れたんだ。
ギターの神様は言った。(((正気か)))
俺は言った。「俺はマジだ!」
(((いいだろう)))
神様が出す課題を俺はクリアし続けた。
血反吐を吐く思いで。実際吐いたこともあったかも知れないな。
とにかく部屋にこもりギターを弾き続けた。
気づいたら周りから友達が消えていた。
彼女?できたことあるわけねえだろ。
おか
ノンアルコールヒーロー
ドゴッ!!グシャッ!!バギィィッ!!
「ウェヘアハハエハハハァ!!どぉーだァ!オルェに勝てるやづァいねえェェ!」
男は焦点の合わぬ目を夜更けの空にさまよわせ、膨れた下腹を揺らしながら、ドシドシと暴れ回る。地面には何人もの人間が、吐瀉物を撒き散らしてのびていた。
男は手にした一升瓶をラッパ飲みした。飲み下すほどに、淀んだエネルギーが男のうちに増幅される。
「焼酎一升!今のオルェは無敵だァ~!!」