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アリスの秘密の世界1(連載小説)
不思議の国のアリスの世界が好きなので、その続きを書いてみました。結構前の作品。
文体だんだん崩れてきてます😅💦
アリスは学校帰りに、いつも遊びに行く川辺にやってきました。
そこにいて、さらさらと水音をたてて流れる川をじっと見ているのが好きだったからです。
たまに魚がジャンプしてみせたり、水面の光が反射してオレンジや黄色にキラキラ光って、アリスの目を楽しませてくれました。
それに、愛らしい鳥が川の真ん中の大きな石に、休息を求めてやってくるのです。
アリスは鳥たちとすっかり友達になった気持ちで毎日話しかけていました。
今日も一羽の鳥がヒラリと石の上に着地して水を飲み出したので、アリスは早速話しかけました。
「ねえ、昨日も来てたわよね?そんな顔してすましていても、わたしにはすっかり分かっているのよ。確かにあなただったわ」
そう話しかけても、鳥は知らん顔で毛繕いをしています。
「まあ、強情ね。まあいいわ、あのね、私、本当はダイナかお姉さんと来たかったのよ。でもね、ダイナはもうすっかりよぼよぼだし、お姉さんは、他のお家にお嫁に行ってしまったの。わたし、お姉さんがいなくてとっても退屈なのよ!」
アリスが次第に大きな声になったのに驚いたのか、鳥は羽ばたいて行ってしまいました。
「あーあ、行っちゃったわ」
アリスはまた、川の流れをじっと見つめました。
「お姉さんと来た時に見た風変わりな夢、なかなか忘れられないわね」
アリスはポツリと独りごとを言いました。
その言葉は、誰もいない川辺にひどく響いて、反射したかのようにアリスの耳にしばらく残りました。
アリスはそれから少し黙りました。
何か起こらないかと思ったからです。
アリスの言葉を聞き付けて、またうさぎがどこからかやってくるような予感に襲われたのです。
しばらくきょろきょろと辺りを見回していたアリスですが、やがてホッとため息をつきました。
「そんなわけないわよね。あれは夢だったんだから。でもひどくリアルな夢だったのよね」
そう口にすると、アリスは立ち上がって、川の水が流れる方にゆっくりと歩き出しました。
そして、冷たさを確かめるように、そっと手を水に浸してみました。
その時、背後を何かが横切ったのを感じて、アリスは振り返りました。
黒い影が後ろの茂みに隠れたのをアリスは見逃しませんでした。
「誰なの?その茂みに入っていくのを見たわ」
アリスがそう声をかけると、茂みがガサガサと揺れました。
アリスは急に怖くなってきました。
心臓がドクドクする音を抑えながら、茂みを見ていると、またガサガサッと茂みが揺れました。
そして、あの白兎が出てきたのです。
アリスは目をまん丸にして、白兎を見つめました。
確かに、前に夢で出会った兎です。
洋服も、懐中時計もそっくり前のままです。
「ああ、やっと見つけた。君だ、君だね。姿は伸びているが声を聞いて分かったぞ」
兎は興奮したように喋りました。
耳がピクピクと動いています。
「私、また夢見てるのかしら」
アリスは、片手でほっぺたをつねりました。
「痛っ」
頬の痛みは感じましたので、これは夢じゃないのかもしれない、とアリスは考えました。
「何をしているんだ、さあ、私と一緒に来るんだ」
そんなアリスを見て、兎はイライラしたように足をトントンと地面に叩きつけました。
アリスはいきなりぶしつけに一緒に来いと言われて、礼儀作法のなってない兎だわ、と憤慨しました。
「あの、兎さん、あなた、失礼じゃないですか?私がなぜあなたと一緒に行かないといけないの?前だってあなたにうっかりついていってとんでもない目にあったのよ」
「ああ、落ち着いて、アナベル」
兎はアリスが急に怒ったものだから、なだめるような口調になりました。
「言っときますけど、私はアナベルじゃないですよ。アリスです。質問に答えてよ。なぜ、一緒にいかなきゃならないの?」
「そりゃもちろん女王様がお呼びだからさ」
兎は当然の事を聞くなとばかりに横目でアリスをジトッと見ました。
「嫌よ!」
女王様の名前を聞いて、アリスは即座に拒否しました。
前に行った時は、最後には首をちょんぎられそうになったのです。
でも、その後、アリスの体が巨大になって、助かったのでした。
このサイズで行ったら何をされるか分かりません。
「まあ、そうおっしゃらずに、どうぞ少しだけでも来てください」
兎はアリスの強い拒否の言葉に、いくらか態度を軟化させたようでした。
「嫌よ、嫌、あそこには行きたくないわ」
不思議な世界は印象深くはありましたが、行きたいかと問われれば話は別です。
あのヘンテコリンな世界に行くと、アリスのサイズはしょっちゅう変わってしまうのです。
「女王様はあなたとクローケーの試合がしたいそうですよ」
兎は穏やかな声を作り出そうと頑張っているようでした。
でも、足は先程より激しくトントントンと動いているのでした。