見出し画像

中ニ病

あのころの私は、まさに中二病だった。

中二病とは、中学二年生頃の思春期に見られる
[ 背伸びしがちな言動 ]をとることらしい。

私の友人の兄が、二つ上の高1年生で
彼の影響から洋楽を聴き始めたのである。 

初めての聴いたのは、イーグルスの
[ ホテルカリフォルニア ]だった。 
少し渋めでビリージョエル 
オリビアニュートンジョンの可憐な笑顔
ディープパープル キッス 
不思議とビートルズには関心がなかった。

使っている画像は
[ ホテルカリフォルニア ]をイメージした物である。
いまだにアメリカ🇺🇸西海岸の文化が、好きである。

英語の為、歌詞の内容は分からなかったが、
歌謡曲にはないメロディーラインに大人を感じた。
独り大人ぶっていたのである。

この頃、ギター🎸に憧れ誕生日にねだるが、
高くて買って貰えない。
仕方なく木の板にマジックでフレットと弦を描き
ギターのネックに見立ててコードを押さえる練習をしていた。

手作りギターもどきを見つけた母が哀れに思い
父に相談しクリスマスにギターをプレゼントしてくれた。

ヤマハ製の中古のフォークギターである。
[ 違〜う、エレキギター🎸だよ! ]とは言えず
有り難く頂いた。

[ ギター入門書 ]なるものを買いコードを必死に覚える。
最初は、簡単なA   Am   C   Fを押さえて弾いてみる。
力加減が分からず[ ぼよ〜ん ]なんとも情け無い音が出たのである。

毎日[ びろろ〜ん ] [ びょん〜 ]と奏でていた。
洋楽を聴きギターを奏でる自分に比べ周りの学友達が、子供っぽく感じたのである。

殆ど弾けないくせに学友達には
[ Cは人差し指が〇〇で中指が〇〇の位置で ]
[ Fはここと、ここを押さえて ]等と自慢気に語っていた。
まさしく[ 背伸びしがちな言動 ]であった。

ある日、学友三人と街に買い物🛒に出かけた。
[ 昼飯喰おうぜ! ]になり喫茶店に入った。

初めて入る喫茶店

店内はタバコ🚬の煙で霞がかり、周りは大人ばかり
戸惑いキョロキョロする私とA君
B君は慣れた様子で4人掛けのテーブル席に向かう。
後に続く私とA君

ウエートレスさんが、3人分のお冷とメニュー表を
持ってきた。
[ お決まりでしたらお呼びください ]

今のようにタッチパネルや呼び出しボタン等が無い時代
手を挙げるか声を出して呼ぶしか無い。

それぞれ決まり私は、ナポリタン A君は確か
カレー🍛だったと思う。
B君はカツサンド
私とA君は、恥ずかしさから手も挙げられず声も出せずにいた。

そんな私達を見てB君は、颯爽と手を挙げて🙋
ウエートレスさんを呼び皆の分を注文してくれた。

[ 食後のドリンクは、何にいたしますか? ]
B君すかさず[ コーヒーブラックで ]
( コ コ コーヒーのブラックだと! )
B君 [ 二人も同じでいい? ]と聞かれ
慌てて頷く私とA君

やがて目の前に( ブラックコーヒー )なる物が現れた
各自の前に置かれる。ミルクと砂糖も置かれた。

B君  [ コーヒーは、ブラックに限るよね! ] 
 [ 砂糖やミルクを入れて飲む奴の気がしれないよ]

目の前で言われ、同意しないと自分たちが子供っぽく見られると思い恐る恐る口にした。

今まで何度かコーヒーは飲んだ事はあるが、大量の砂糖とミルクを入れたコーヒー牛乳の様な物だった

[ 苦い…] 

B君は[ ここのが一番美味し ]と優雅に☕️カップを傾ける。
私とA君は、只只苦い☕️を必死に飲み干すのだった

本当は、クリームソーダかチョコレートパフェが
食べたかったのに…

ここでも[ 背伸びしがちな言動 ]をした。

後から聞いた話でB君は、開業医の息子で街には両親とよく出かけ☕️も子供の頃から飲んでいたようである。
道理で手慣れた感じがしたわけである。

私がブラックコーヒーを理解できたのは、かなり大人になってからであった。

中二病が[ 背伸びしがちな言動 とる]事だとしたら
私は、いまだに中ニ病かもしれない。