「医療×デザイン」を考えよう。#SHIPイベントレポ
2019年9月21日、イベント『「医療×デザイン」を考えよう。』をSHIPにて開催しました。
このイベントは、「最近、デザインで課題解決とか、地域をデザインしようとか、よく聞くけれど、同じようで違うことを言っている気がする。結局『デザイン』って何だろう?」という疑問から企画されました。
今回のゲストは、看護師であり株式会社NODE MEDICAL 代表取締役の吉岡純希さんと、横山医院在宅・緩和クリニック院長でCo-Minkan 代表の横山太郎さん、そしてSHIP運営代表で日本うんこ学会会長の医師、石井洋介です。私は今回も、イベント企画と、おやつ&ドリンクのコーディネートをしてきました。
▲ご飯時ではないのでカジュアルなおやつと、アイデアブレストがはかどるコーヒーのいい香りを用意。
吉岡さんは、集中治療室系と在宅で計5年ほど看護師として働き、臨床経験をもとにテクノロジーの医療現場への応用に取り組んできました。2014年から、病院でのデジタルアート「Digital Hospital Art」をスタート。患者・医療スタッフとともに病院でのプロジェクションマッピングや、身体可動性に合わせたデジタルアートを制作・実施しています。2015年からは、慶應義塾大学で看護と3Dプリンタに関する研究「FabNurseプロジェクト」に関わっています。
吉岡さんの取り組みに加え、デザインを勉強してきた中で得た知識として、デザインの「階層」のお話や、活用方法を示していただき、参加者は興味深くお話に聞き入りました。途中、吉岡さんが3Dプリンターで制作した、簡易訓練グッズも回覧されました。頭部モデルは、在宅患者の家族が痰を吸引するときの練習として使うことを想定したもの。他にも、摘便の練習用の直腸モデルなど、さまざまなモデルがありました。
横山さんは、医師として働く中で抱いた問題意識から、さまざまな活動に取り組まれています。病気の主体は、結核などの感染症をはじめとした急性期疾患から、がんや認知症といった完治が困難な慢性期疾患に変化しました。このことにより病院で医療が完結しなくなり、病気を抱えながら生活をする人が増えてきました。さらに、社会の成熟による価値観の多様化も相まって、科学的根拠に基づく治療法が必ずしも目の前の患者さんの最適解でないことを多く経験します。そんな背景から、「これからどう過ごすのか?」を考える意思決定が地域で行われるようになるために活動を行ってきました。誰もが、「ま、いっか」ではなく、「これでいいのだ!」と自信をもって生活していくためには、寿命を伸ばすだけでなく、健康寿命延ばす必要性があると感じているそうです。
その取り組みの1つが、人々が「つどい」「まなび」「むすばれる」というデザインで作られた公民館を、現代の社会課題である「孤立」を改善するためにリ・デザインした私設公民館を広げる活動です。お話を聞いて、わたしたちも「場」を持つ強さを改めて感じました。
お二人からの情報提供の後は、コーヒータイムを挟んで、参加者が持っている「医療×デザイン」のアイデアと既存の取り組みをマッピングするワークの時間です。まずはグループごとに出した事例を共有し、ディスカッションして盛り上がりました。
次に、大きなパネルに全グループのアイデアを貼り出し、意見を出し合いながらマッピングしていきます。いろいろな粒度・階層の事例が集まったため、大盛り上がりのディスカッションになりました。
「医療×デザイン」を考えるイベントは、今後もSHIPで継続的に開催していく予定です。このディスカッションを整理したパネルは、次回以降も登場させ、さらにブラッシュアップしていく予定。興味を持っていただいた方は、ぜひSHIPのFacebookページをフォローして、イベント情報をキャッチしてくださいね。