精神科医療の現場と、本当に必要としている人を繋ぐ難しさ。
押川 剛さんという方をご存じでしょうか?
精神障害者移送サービスを行っている方なのですが、テレビにも出演されているので、顔を見たら「ああ……この人か」と思うかもしれません。
最近だとWebコミックサイトで
【「子供を殺して下さい」という親たち】というマンガが掲載されているので、その作品でご存じの方も多いでしょう。
この衝撃的なドキュメンタリーマンガの原作者さんです。
私もかつてスタッフとして精神科医療に関わっていたことがあるので、どういう世界なのかを多少は知っています。
利用者のことを本当に大切にしないダメなドクターばかりだという実態(良い人も当然おりますが、個人的見解としてはおそらく少数派です)も目の当たりにしております。
なのでこの押川さんがどれだけ大変な思いをしているのかも、何となくですが想像はできるんですよね。
”人道的な配慮”から精神科医療は、一昔前に比べて本当に良くなってきていると思います。
ところがこの”人道的な配慮”というのが、ある一定以上症状の重い患者さんやその家族にとっては、不利益に働いている。
それが現実なのです。
そのことを【子供の死を祈る親たち】を読んで、私は改めて思い知らされました。
現在、仕事もせず家に引きこもっている30代以上の子供の暴力を怖れ言いなりになっている親は、一見可哀想であるようにも思えます。
しかしそういった場合、実は親が子供に対して、ずっと絶対的な支配者でいたということも多いわけです。
つまりかつて支配していた子供に、いつの間にか支配されるように、立場が逆転してしまっているのです。
だから過去を調べなければ、精神障害へと至る根本的な理由や原因はわからない。
誰か1人の言い分だけを参考にして、全てを判断するわけにはいかない。
国や地方自治体は、基本的に個人の尊重を謳って、困っている家族に手を差し伸べようとはしません。
結果、家族だけではなく、近隣に暮らす多くの住人が我慢をするしかなくなるのです。
30人に1人は精神的な症状を訴える世の中です。
いつ、どのタイミングで自分にも症状が現れるかはわかりません。
どこでどういった症状の人と関わることになるかもわかりません。
その時になって困惑することがないよう、私達は精神障害についての基本的な知識は勿論、現場の実態も少しは把握しておいた方が良いかもしれませんね。
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