#小説
小説『喫茶店のマドンナ』#25(終)
吉野おいなり君さんが書いたこちらの小説の最終話になります。1話と最終話以外のお話は、僕含めて皆さんの頭の中にありますのでよろしくお願いします。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
情熱的な愛だとか、見も心も焦がすような恋だとか、ゲレンデが溶ける様なキスだとか、そう言うのは全部小説や漫画、ドラマや映画の中の話で、画面の向こう側の【嘘っぱち】で、ありもしない【空想】で、自分には関係の無い物だとばかり思っていた。
小説『OWARAI SAMURAI』EPISODE:SHIBUYA
渋谷109のネオンが酸性雨で濡れたアスファルトを妖しく照らす午前零時過ぎ。かつて若者の街と呼ばれたそれは見る影も無く、風が砂埃と人々の悲しみを運んでいた。
『ネオ渋谷居住特区は区民の皆様の安寧の日々を保証いたします。』
何の意味もない文字列を浮かべるAR広告が、彼のサイバネティクスゴーグルを介して雪崩込んでくる。あいも変わらず五月蝿い街だ、と男は旧世代の紙タバコをネズミの群れに放り投げる。シケ