
3/3放送 NHKあさイチ『「男らしさ」って?』を見て思った事
3月3日放送のNHK「あさイチ」をNHK+で見ました。
少し前に購入した本の著者、清田隆之さんが旧Twitterで
【📢3/3(月)朝8時15分から📺】
— 清田隆之(桃山商事)📘『戻れないけど、生きるのだ』 (@momoyama_radio) February 26, 2025
NHK「あさイチ」に出演します🙌街の人々の声、特撮ヒーローの変遷、辞書とジェンダーなど、様々な角度から「男らしさ」の今について考える特集です。こんな風にしっかりテレビ番組に参加するのは初めてなのでドキドキ…よかったらぜひ!https://t.co/mhH2drb1pk
出演するという情報を投稿していたので、子供の頃から「男らしさ」の世界から脱出した者として見た感想などを書いてみました。番組はぜひNHK+でご覧ください。
小さい頃から男らしさとは違う感じだった話は下記note記事からどうぞ。
街頭インタビューでも様々な意見がありましたが、NHKの朝の番組という事もあり、おそらく過激な回答は使われなかったのかなと思いました。実際の世の中では強固な男らしさをぎらつかせたり押し付けたりする人がまだいる感覚なので、そのあたりの意見も聞いてみたかったです。ただインタビューの中では70代男性で「男らしさというのは古い考え」と言っている方もいて、昔よりは明らかに「男らしさ」についての考えが変化してきているというのはインタビューからわかりました。
それから「男性あるある 謎のノリ」の一例が紹介されていて
「2日連続で徹夜だわ~」と不健康自慢
回転ずしで何皿食べられるか勝負
キャンプで「橋から飛び込もうぜ!」と度胸試し
朝の番組なので例えば「下ネタを話す」「風俗に行ったエピソードで盛り上がる」「すぐ脱ぐ」などで盛り上がるというノリは紹介されませんでしたが、男性あるあるだと「自分のすごい経験を話す事で結束を深めた(気になる)」というたぐいもあるはずです。
このあたりでは「ホモソーシャル」と言うワードは用いられず(用語としてまだ一般的ではない、あるいは「ホモ」の部分だけが際立ってしまうのを避けるため?)「男子カルチャー」みたいな感じでふんわりと表現されていました。(清田さんも出ているポッドキャスト「桃山商事」ではよくホモソーシャルについての話が出てきます)
https://open.spotify.com/show/4CFYwK1OjR5LwVVvHQecer
こうした男子カルチャー、あるいは男らしさがあまりに当たり前すぎてかえって何の疑問も持たなかった人たちからすると、昨今の「男らしさへの疑問」というものは面倒くさいと思うかもしれませんが、それはもしかしたら自分の生き方とか思い出を否定されたように感じるからなのかもしれませんね。
橋から飛び込もうぜみたいな「みんなでやっちゃおう」内輪ノリとか本当に怖いなと思っていて(高所よりもそちらの方が怖い)ホモソーシャルとかに入ってしまうと、ノリが悪いと思われたくない、弱いとか情けないと吹聴されたら嫌だ、そんな事を考えてしまってそこから抜けるのも難しくなってしまうのではないでしょうか。
男らしさというものが自分を表すワード、目指すものという支えになる一方で、それに「固執」してしまって周囲が見えなくなってしまう人、そして「呪い」になってしまう男性もいるはずです。
男らしさが自分をアピールするポイントなのだとは思いますが、そこがかえって自縄自縛にもなってしまいます。その姿はまさに虜囚(男が字に入っているだけに?)
今回のあさイチはわりとマイルドな感じで「男らしさ」について取り上げていましたが、ここから展開していき「有害な男らしさ(トキシック・マスキュリニティ)」なども別の時間帯で構わないので番組として踏み込んでほしいところです。
男らしさの果てに男性の自殺や孤独死などがあるような気がするので、男らしさというものをほどいていくと、マッチョな精神ではなくもっと健康的な考えができる生き方にいける気がします。
番組の中では「あなたの男らしさはどこから?」というアンケートがあり、男らしさがどこから影響を受けたのかがわかりました。
親・きょうだい 28(20.50.60.70代でトップ)
学校 10(10代でトップ)
テレビ・漫画など 34(30.40代でトップ)
パートナー 12(60代でトップ)
職場 12(70代でトップ)
SNS 3
私はぎりぎり40代なのですが、周囲を見るとアニメや漫画から男としての生き方、カッコよさの影響を受けた人が多い気がします。
男らしさを主張する人が知り合いに全然いないので厳密にはわからないのですが、やはり「女性を守る、女性にモテる、女性を養う、女性を悦ばせる」という事をするのが男であるという話が多く、それをしなくてはいけないという事を刷り込まれていたのではないでしょうか。
あと10代は学校が自分を構成する世界のほとんどなので当然の結果だと思いますが、先に書いた男子カルチャーがまさにそれでしょう。そこでの強い人への憧れ、あるいは男らしさという勝手な決め事になじめない人へのいじめなどがその後にも大きな影響を与えるような気がしました。
10代の若い子にはぜひこれを読んで欲しい!
こういう番組のように、少しずつでも「男らしさ」とは何なのかと考える機会が増えるのは良い事だと思います。特に学生とか早いうちから「〇〇らしさ」とは何か、それは自分も他人も縛り付けるものなのではと伝えてほしいものです。
番組終盤にこんな言葉があったので、紹介しておきたいと思います。
人間は「~らしい」という考え方を捨てると世の中を整理できなくなる
典型的な物をイメージして世の中を理解することは大事だけど
人間に関する限りそれをやってしまうと
ひとまとめにされた人の個性は失われてしまう
「それでいいのか?」と立ち止まって考えてみたほうがいい
(辞書編さん者 飯間浩明)
街行く100人に聞きました【「男らしさ」って?】
ジェンダーギャップとかフジテレビの問題(上納とか言っているけど性犯罪だし人権問題)あるいは家父長制などもそうだし、この国の構造と男らしさは本当に根深いので、まずは周りの「男らしさ」について少しずつでも取り上げて考える機会を作ってもらえるような番組をこれからも放送してほしいです。
あと男らしさと「乱暴」「粗雑」「下品」「衛生観念のなさ」を一緒くたにしている人、それから「男の子(男の人)だから仕方ないか」みたいな感じで諦めてしまう人もいますが、そこ切り離していく事も少しずつ皆さんの周りからやっていってください。それ男らしさと関係ないからね!
男らしさについて書かれた書籍がたくさんあるので、少しでも多くの男性に読んでもらいたいです。