詩03|行く末
「上へ参ります」
扉の先の闇は深く、
この箱の外に出れば地獄の底まで落ちていくかのように見える
ぼんやりとしていた私は、
どのくらい上まで来たのか、どのくらいこの箱の中にいたのかも分からない
「どのくらい上まで来たのか」
そう尋ねても
「上へ参ります」
そういうものかと思って私はボタンを押した
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「上へ参ります」
扉の先には線香ほどの灯りさえ見えず、
この世で輝くものはこの箱の中のものだけであるかのように思える
草臥れた私は、
どこへ向かうのかも分からず、どこへ行きたいのかも分からない
「どこまで上るのか」
そう尋ねても
「上へ参ります」
そういうものかと思って私はボタンを押した
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「上へ参ります」
扉の先は墓場の夜のように冷たく僅かばかりの温もりはこの箱の中にしかないかのように感じる
うんざりした私が
「上には何があるのか」
そう尋ねても
「上へ参ります」
そういうものかとは思えずに、私はボタンを押した
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扉の外に出た私が見たのは
無難でありきたりな私のデスクだった