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小枝と雛鳥 其の七
あれから、三週間が経った。
連日猛暑が続くなか、ようやく昨日、梅雨明け宣言が出た。
バゲットハットを目深に被り、洗濯物を干し終える。
朝日が燦燦と当たる庭は、我が家の長所の一つではあるが、早朝から灼熱の太陽が照り付くこの季節は、さすがに厳しい。
「置き配」を取りに、玄関側へ回る。
そのとき。ふと、玄関先の南天木に目が留まった。
枝が枯れている。
ほぼ丸一日、雛鳥が留まっていた、あの小枝だけが枯れているのである。
大暑の猛烈な日差しのなか。
かりかりに赤茶けた枝葉を見つめ、私は、暫し立ち尽くした。
(もしかして、折れている…?)
雛鳥とはいえ、長らく留まっていたのだ。親鳥も近付いた。
華奢な小枝である。何かの拍子に折れたとしても、不思議ではない。
皮一枚の状態で、かろうじて持ちこたえていたが、日照り続きで、とうとう生気を失ってしまったか…
恐る恐る、触れてみる。
折れていない! しっかりと幹に着いている。
胸が震えた。
つづく
(※写真を添えます。ご覧ください)
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