
必殺!2 ニルヴァーナ取材。純粋カート・コバーン、かく語りき
1992年2月19日 六本木プリンス
ほぼ永遠の楔(くさび)。ニルヴァーナは売れたら結果全部オーライへの疑問を投げつけて、今も解かれない呪縛数学のようだ。
偶像にはならないと言うし、ファンにサインもしない。それどころか、違うからと説教まで垂れる。それを半ばムキになってまでインタヴューで言う。
この妙ちきりんなスタンスに、カートの本質的な何かがあったはずだ。
インディー・ロックによくある、有名税は払いたくないし、音楽に埋没してそこそこに暮らしていければそれでいいとかも思っていない。それならば「フランシス」や「レイプ・ミー」などの強烈なメッセージ・ソングは打ち出せない。「カム・アズ・ユー・アー」もない。あの誤解された大ヒット「スメルズ」もない。
一方でそれまでのロックの、セレブとか金儲けとか、男性原理にはうんざりしている。自分の音は、フェミニンで楽しくて優しくて、しかもああした80年代勢力には攻撃的かつ革命的に作用すべきと考えている。
さらに音楽演奏者とその著作物が別個との考え方にも真っ向から対立していた。匿名性の欠片もない。
こうした挑戦と矛盾の数々を昇華するのは困難だと思う。だけれどもこれは、彼の死から演算反芻して考察すべきことではない。あのパワフルな音楽から見えてくるのは、彼は実際、非常に強かったということなのだ。
例えばストーン・ローゼズの2枚目はどうなったか?ガンズの2枚目はどうなったか?彼らは誇大妄想に陥った。1枚目が売れて、有名になり、金持ちになり、名誉も手に入れたが、それをまぐれではないと証明する次への悪戦苦闘は、等身大の自分を見失ったままで行われた。両者、時代錯誤のダブル・アルバムで大袈裟。要のドラマーを失ってスウィングが消滅し、やたらとヘビーに叩く変更までそっくり。ところがニルヴァーナはどうか。「イン・ユーテロ」はさらに深いところまで平常心で持って行った。
ジョン・ライドンもオネストだったが、カートも相当だという意味で続編にした。オネスティは一般には他者に対して使われるが、この二人は自分に対してである。
俺だって適当に手を振ったり、愛想を振り撒いたりもするよ
●「ネヴァーマインド」がどうしてこれだけ売れたのかという質問はこれまで何回受けましたか。
C(クリス)「全てのインタヴュー毎だね」
K(カート)「二千回くらいになるのかな。実際、どのくらいやったんだろう、二、三千回くらいかな」
●ひょえー、そんなにやってんの?
K「うん、多分。まぁ、とにかく、その質間はアルバムが売れた枚数と同じくらい聞かれてるよ」
●(笑)で、その答えというのがことごとくいつも控え目なものなんですけど、「売れたのはやっぱり俺たちがすげーからだぜ!」ってどうして言わんのですか。
K「んー、まぁ……。とにかくレコードを数百万単位で売ってきたバンドは多いけど、お金をそれだけ稼いでいろんな恩恵にあずかるに値しないバンドもまた多いと思うよ。で、そういうバンド、例えば、ガンズン・ローゼズよりも自分たちは偉いんだと言い切るつもりはないんだ」
●じゃあ、ニルヴァーナがなぜ売れたかという問いに対して、それは彼らがティーン・スピリットを代弁していたからなんだと言われるとどう思いますか。
K「なんか、まぁ……そういう十代の反乱が本当に起きたとしてもそれは偶然に過ぎないというか、そんな大げさなもんじゃないんだよ、あの曲は。それにあのアルバムが売れたのも単にあの一曲だけのせいじゃないと思うんだ。他の曲もあれと同様に力強いはずだよ。だから、あのアルバムが売れたのはやっぱり皆があれを全体として聴いてくれているからなんだよ」
●ただ、レコードがこれだけ売れてしまったりするとインディー・バンドとしての自分たちのアイデンティティが崩れてしまうっていうことはありませんか。
K「それは特に考えることじゃないんだけど。聴く分には未だにインディーものはすごく聴くし、そういう音楽が持つ理想っていうのかな、そうしたものには相変わらずどっぷり漬かったまんまだし、そういう音楽も昔と変わらず大好きだよ。だから、未だに単なるファンのままなんだ」
●でも、あなたの持っているそういう理想っていうのは、例えばあなたに一目会いたくて外でずーっと待っている女の子とか、そんな状況とはおのずから衝突してしまうと思うんですけど。そういうファン体質や発想と自分の間に接点を見いだせます?
K「でも、彼等にしてみればそれ以外に、他に何も持っていないわけじゃないか。そういった意味では接点を見いだせるよ。ああいう連中はあんな風にふるまうものだと教えこまれているからこそ他のやり方を知らないんだよ。だから、こうやってインタヴューをやることによって、そういうロック・スター幻想は嘘なんだと説明することもできるんだよ。そういうものは音楽を楽しむことほど重要なことじゃないんだとね。もちろん、そういう行為を大々的に非難したり、嘲るわけじゃないし、俺だって適当に手を振ったり、愛想を振り撒いたりもするよ。でも、やっぱりああいうファンがやっていることって分別のないことだと思うし、だから、かわいそうだとも思わないんだ。俺にできるのはただただ、いつかものの見方が変わるといいんだけど、そう願うだけだよね。俺たちの力で無理なら、他のパンドでいいから、わからせてやってくれとね」
●ヒーローっていうのはメディアが作り出すものなのだと思いますか。それとも選ばれた一部の人間がなるべくしてなるものなのか、あるいは、そんなものは端から存在しないと思いますか?
C「そうだな、でも人によってはある種のカリスマがあってそれが魅力になっているとは思うよ。だから、存在しないと思っているわけじゃないんだ。でも、むやみにそうやって人を祭り上げてしまうのはそれだけで既に自分で自分を貶めているようなものだからな。やっぱり、人生を通じて人が何をしたいのかといったら、自分を向上させるということなんじゃないかと俺は思うからなおさらそう感じるな。でも、確かにある特定な人を偶像視するというのはかなりはびこっていることではあるよね。っていうか、それだからこそ、世の中にはこれだけ宗教もある」
●でも、自分たちもまたスーパースターとして祭り上げられてしまっているわけじゃないですか。
K「ある意味じゃそういうことになっていると思う。それに一部のキッズはそういうとらえ方で俺たちと接しているはずだし。でも俺たちの意見をちゃんと自覚してくれていて俺たちがどういうバンドだかわかってくれているキッズだったら、そんなことは絶対にしないと思うんだ。俺たちはそこいらの誰とも同じでただ混乱して困っている人間に過ぎないんだよ。だから、俺たちの中をいくら捜したって答なんかありゃあしないんだ。俺達は偶像視は拒否するよ」
●しかし、実際問題として偶像視を拒否するといっていてもラチが明かないんじゃないですか。むしろ積極的に引き受けていかないと。
K「いや、だからこそ毎日こうやってこの問題と取っ組み合っているんじゃないか。それでいろいろと説明しているわけだよ。で、インタヴュアーがそういう話題の核心に触れそうな挑戦的な質問を自粛しちゃっている場合にはこっちから積極的に説明したりするんだ。それで俺としては今年が終わったくらいに、もともとなら俺たちを崇めていたはずのキッズが、サインをねだるのをやめてそれが正しいことじゃないと考えてもらえるようにと、そのくらいわかるようになってくれたら嬉しいんだけど。インタヴューとか読んだ結果ね」
超毒舌カートコベイン参上!ここまで言うか
●全く、なんて真面目なんですか、あんた方は。じゃあ、ちょっと話題を変えますけど、先日スラッシュにインタヴューした時に、ガンズを始め、ニルヴァーナ、パール・ジャム、メタリカ、サウンドガーデンなどといったバンドがアメリカのシーンを変えたと言ってて、ある種の同胞意識を持っていたようなんですけど、あなたたちとしてはどうですか?
K「まー、サウンドガーデンだったらそうでもないかも」
C「パール・ジャムはシーンなんか何も変えちゃいない」
K「この先もないだろうよ。っていうのはパール・ジャムこそがロック・スターになりたいためにアンダーグラウンド・シーンを利用しているバンドだからなんだ。連中は偶像視されたがっているだけだよ。インタヴューなんか読むとそうでもなさそうだけど、連中は本当にインタヴューのやり方がうまいんだ。俺はね、連中がどういう人間なのかよく知っているからそう言うんだ。あいつらはただのロック・スター願望を持った連中で成功以外は何も欲しくないんだ。金持ちにはなりたい、かといって人のためになるようなことには自分の金はビター文たりとも出す気はない、そういう人間だよ、あいつらは。連中は単なる毒だよ。で、俺はそれを人々に忠告するのを自分の義務とさえ考えているよ。全く大嫌いだよ、あんなのは」
C「で、ガンズン・ローゼズとメタリカとなるともう全くシーンが違うし、俺たちがあれと同じシーンにいたことなんてただの一度もないからね。メタリカのレコードもガンズン・ローゼズのレコードも一度も買ったことがないんだからさ。ただ、メタリカはやっぱり曲がいいんだろうって認めざるを得ないけどね」
K「連中はいいソングライターだし、多分、俺たちと同じような理想、価値観を持っていてもおかしくないバンドだよね。連中は間違いなくアンダーグラウンド・タイプで、成功しても理想を失わなかったバンドだよ。まあその辺がガンズン・ローゼズとは決定的に違うよな。ガンズン・ローゼズはロック・スターに単になりたかっただけなんだ」
●しかし、ロック・スターはだめだだめだと言いますけど、でも、カートはすごい、クリスはグレイトだっていう僕の素直な気持ちはどうしてくれるんですか。
C「……どうしてグレイトだなんて思うの」
●ライヴみたらすごかったから。
C「何だ、パフォーマンスならいいんだよ!」
K「そういうのは全然いいし、嬉しいことこの上ない。音楽を好んでくれるのを拒否する気は全然ないんだ。ただ、俺たちをむやみにやたらと祭り上げて、俺たちのことを俺たちの音楽以上に評価したりするのが困るということなんだよ。音楽以外のことで。社会的な意味合いとかそういうものを求められるとやってらんないし、やっぱりそういう責任が自分たちにあるとも思わないよ」
C「例えば、ミック・ジャガーとビアンカ・ジャガーとなると、もうまるで王室報道のようなものがあったじゃん? ああいうのが困る」
●じゃあ、例えばヴァン・ヘイレンとかブルース・スプリングスティーンとか、ああいうのはほとんど古のバカ、ですか。
K「そもそも連中の音楽が好きじやないからな。まずそれが一番肝心なことだよね。それ以外のことでいろいろ決めつけたくもないし。といってもインタヴューは何度か読んだことがあるけど、ん!でも、ヴァン・へイレンのファースト・アルバムは好きだな。あれはいいロックンロールだったな、やっぱり。でもね、ブルース・スプリングスティーンが誠実で地に足がついた労働者階級の男だなんて、違うぜ。あやつは、支持されている連中とは全く違う人間なんだ。きっとああいうイメージよりは遙かにエゴイスティックな人間に違いないよ。っていうのはね、あいつはかつてクリスの故郷のワシントン州タコマに演奏をしにきたんだけど、この町は製紙工場で成り立っているようなところなんだ。それで製紙工場のせいであまりに臭いもんだから、演奏をとりやめた人間なんだぜ。これぞ労働者階級の町だっていうのにな。くせえから嫌だってよ」
シンプルであろうと真剣に思うと、いい曲を書くのはものすごく難しい作業になってしまう
●(笑)。「ブリーチ」から今度の「ネヴァーマインド」の間に飛躍的にサウンドが向上したと思うんですけど、この差を自分たちではどう考えていますか。
K「そうだなぁ、まず、ソングライティングは「ネヴァーマインド」の方がすぐれていたとは思う。といっても、俺はサウンド・プロダクションはそれほどよくないと思うよ。でも、曲によってはああいうプロダクションが必要だったわけだから、難しいところだ。でも、俺個人としてはもっと「ブリーチ」っぽいプロダクションがほしかった曲もあったんだ。「インヒューマン・ブリード」とかね。だから、次のアルバムでは絶対「ブリーチ」っぽい、以前のサウンドを何曲かで打ち出したいと思う」
●じゃあ「ネヴァーマインド」の時は逆にプロデューサーに仕切られちゃったとか、そういうことはない?
K「いや、そういう風にコントロールを握られたっていうことはないんだけど、「ブリーチ」じゃまず機材が8トラックだった。おまけにレコーディングそのものの作業が早かったし、マイクも違ったし、スタジオもやたら狭くて部屋中が絨毯で覆われていたからエコーもかからなかったんだ。反対に「ネヴァーマインド」じゃ三週間も時間をかけたし、部屋もでかくてエコーがかかったし、プロデューサーも違うし、さらにコマーシャルなアルバムをこれまでかなり手がけているプロのミキサーまでいたからさ。だから、機材とかそういう問題だったんだ。実際問題として最新の機材を使っていると多少なりとも手の込んだ、コマーシャルなサウンドにならざるをえないし。で、そういう雰囲気から逃れるのは難しいんだよね、っていうのはデジタルってある種、薬づけにされているようなところがあって、アナログほどリアルな感じがしないからなんだ」
●なるほど。それじゃあ、ロックそのものが終わってしまいスタイルの変遷も終わってしまったからこそサンプリングやらハウスが出てきたんだという声についてはどう思いますか。
K「サンプリングなんかはロック・パンドを使うよりはかなり消極的な音楽の作り方だと思うけどな。既に録音されているものをサンプリングするっていうのはあまりぞっとするもんじゃないな。といってももちろん、ギター演奏には制約もつきものだよ。音符なんて11個しかないし。ロックンロールなんて二十五年も続いているけど、ロックンロール・ビートでわかりやすいリズムなんていったらそれこそちょっとしかないわけじゃないか。人々にわかってもらえるようにシンプルであろうと真剣に思うといい曲を書くのはものすごく難しい作業になってしまうんだよ。でも、ロックンロールを必要とする若い子たちがいる限り、ロックンロールを提供するバンドも存在し続けるはずだよ。だからこそポイズンとか、ガンズン・ローゼズとか、あまり本質を持ってもいなけりゃさほどいい曲も書いていないバンドがあれだけ売れてしまうんだ。キッズは何でもいいからロックンロールが必要だし、手に入るものなら何でも取っていく。それだけロックンロールがキッズに必要なものだということなんだよ。ああいうハイエナジーが絶対に必要なんだ」
●例えばレッド・ホット・チリ・ペッパーズとか、フィッシュボーンとか、ああいった西海岸バンドについてはどう思いますか。
K「要するにあのファンク/メタル系?」
●ええ。
K「あれは好きじゃない。とのバンドも好きじゃないし、特にああいった連中が書いた曲は一つもよくないと思う。どれも自分にとって魅力がないということ以外に特に意見もない。まぁ、レッド・ホットとは一緒にツアーをしたんだけど、音楽が嫌いだから親しくもならなかったよな。すごい昔に決めちゃったことでさ、それでどういうバンドだったかわかった時にできるだけ中止したかったんだけど、抜けられなかったんだ。告訴されるからやめろって弁護士たちにも説得されて、それでしかたなくやったんだよ」
●一番親しいバンドとなったらやっぱりダイナソーJRですか。
K「連中とは確かに親しいね」
●Jマスシスにインタヴューした時には、もうこんなやる気のない奴はこの世にいないんじゃないかと思ったんですけど、個人的につき合ってみるとどうなんですか。
C「前に奴にあった時は、わりと元気でかなり話し込んだけどな」
K「話す分には面白い奴なんだ。でも、きっとインタヴューじゃやる気を見せないんだろうなぁ。取材なんて無意味だと思っているからあまり自分たちの姿を見せないんだよ、きっと。といっても、本当の所はどうなのか知らないけどさ。同じ質問ばっかりされるのに嫌気がさしている上にそれを耐えるのにも意味がないと思えるんだろ」
●そういうあなたたちはどうなんですか。嫌気はささない?
K「そりゃあさすよ。もううんざりだよ。といってもしばらく取材も休んでいたからこの数日は特にどうということもないけど、取材を数か月やりっぱなしだとやっぱり頭が変になってくるし、そうなるとやっぱり断らざるをえなくなったりする」
自分は頭がおかしいんじゃないかという疎外感をもっていた
●他に親しいバンドとしてソニック・ユースなんかはどうですか。
K「うん、ツアーにも二回同行したよ。連中のことは友達だと言えるし、お互いにすごく尊敬し合ってもいるよ。連中からは常に影響を受けている」
●じゃあ、今言ったようなバンド群がこれからのアメリカのシーンをいい方向に引っ張って行けると思います?
C「うん」
K「まぁ、その可能性はあるよね。でも、メジャー・レーベルとやってくとなると、これもまた落とし穴が多いからなぁ。でも、一つ前向きに考えられるのは今、デヴィッド・ゲフィン・カンパニー(DGC)がやたらと、それもことごとく俺がアンダーグラウンドではベストだと思ってるバンドばかりと契約しまくっていることなんだよ。おまけにDGCはソニック・ユースと俺たちに関してはかなりいい仕事ができることをちゃんと証明しているからね。だから、このシーンを押し立てて盛り上げて行く上ではきっとこのレーベルが一番力を持つことになるはずだ」
●アメリカのシーン全体を変えて行かなきゃならないんだという使命とか、そういうものを感じたりはしますか。
K「これを使命と言い切ってしまうのは大げさだと思うけど、でも、少なくとも自分たちじゃこれを信じてやっているんだ。で、それはこの音楽が心から好きだからやっているんであってやっぱりこれが生き甲斐なんだよ。この音楽から俺が受けた影響とか感動はやっぱり他の何ものにも変えられないと思う。これなしで生きてきたら今いる自分とは全く違う人間になっていた」
●じゃあ、もう本当にこれこそがあなたのアイデンティティなんですね。
K「そりゃそうだよ」
C「一番大きいものだよね」
K「パンク・ロックを知った時、俺の人生も変わったんだ。俺の姿勢そのものを変えたっていうか、自分もそれまで内に抱えていたけれども、どうして自分はそうなったのかよくわからない、そんな人生への姿勢をより強固にしてくれた。自分はどこか疎外されているんじゃないかっていうその心情を、パンクを知ったことで自分だけじゃないんだと、強く打ち出せるようになったんだね。で、それは小さな町で暮らしてそこで疎外されて、同じ価値観を持つ人なんか誰もいなくて、自分は本当にどうかしてるんだ、おかしいのかと悩んでいるところへ、全く似たような状態の人たちの声を聴いたという衝撃だったんだよ」
C「それにいいバンドだと思えるバンドっていうのはやっぱり、純粋なバンドだからね。やっていることをひたすら追求してきて、何をやりたいのかよく意識していて、メジャー・レーベルがそれを変えようとするのにも抵抗できるっていうね。でも、そういう本物のバンドの上に乗っかって安直にやっていこうとするバンドもまたごまんといるんだ」
K「メジャーはうようよあるし、俺たちもほとんどのレコード会社と折衝はしたからよくわかってんだけど、とにかく連中のほとんどは自分が何を聴いているのかさえよくわかってない連中なんだ。ああいう連中の手にかかったら、それこそ終わりだな。でも、今起きているようなアンダーグランドものをコマーシャルな領域に引き込もうとする動きは必ず十年に一度は起きることだし、これからもずっと行われるはずだからな」
●じゃあ、最後の質問になりますが、「ネヴァーマインド」の赤ちゃんのちんぽがむけてんのはどうしてですか。
C「アメリカで生まれる男子はまずたいていは生まれたときに割礼させられるからだよ」
K「だから、別に割礼された赤ちゃんの写真を捜してくれと頼んだわけじゃないんだぜ。ただ水中を泳いでいる赤ちゃんの写真が欲しいって頼んだんだ。割礼していようが、いなかろうがそんなの当然関係なかったよ」

次回はカートのこんな宣言を受けてのベックの発言を読んでもらいたい。