シューベルト 「ます」「死と乙女」1950年の超名盤100円なり!
CDを買わなくなって久しい。
これまで僕が購入してきた膨大なクラシックCDも手の平のiPhoneに収まっている。
最近では、音楽の定額サービスも充実していて、
僕は、アップルミュージックとナクソス・ミュージック・ライブラリーを愛用している。
もう、CDを購入する理由が見つからない。
そんなある日、札幌の古本屋に立ち寄ったところ、
めずらしくクラシックの中古CDコーナーがあったので、一通り眺めていた。
そのなかで、「幻の名盤ウエストミンスター復刻〜ウィーンのシューベルト」を見つけた。
2枚組でDISC1に収録されていたのは、
ピアノ五重奏曲イ長調「ます」弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」
DISC2には、弦楽五重奏曲ハ長調、弦楽四重奏曲第12番ハ短調「四重奏断章」でした。
ほぼ新品で、値段を見ると100円でした。
「100えん?やす」
理由はDISC2が欠品しているためでした。
それでもDISC1には「ます」と「死と乙女」が入っている。
しかも、しっかりとしたライナーノーツがついているので、
この解説書だけでも100円以上の価値はある。
100円払って超名盤を購入、なんだか気分がいいので、
ワインと生ハムとチーズを買って自宅にもどりました。
久しぶりに、わざわざCDをプレーヤーにセットすると、スピーカーからヴァイオリン、ヴィオラのハーモニーが流れ、それにピアノが続くと、部屋にシューベルトが広がる。
ハムとチーズをワインで流し込むと、もうウィーンにいる気分。
何という贅沢だろう。
ライナーノーツを読むのも楽しい。
1950年に録音された、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏は、
まさにウィーンの音、シューベルトの気持ちに寄り添うような演奏が素晴らしい。
そうこれは、ウィーン市民としての等身大のシューベルトだ。
これは想像だけど、演奏者たちは、シューベルトのレア情報を持っているんじゃないだろうか?例えば、「曾祖父さんは、シューベルトと友達でさ、よくワインおごったらしいよ」というような話が自然とされている感じがする。
1曲めの「ます」も、ピアノがいい。どうしても、この曲はピアニストのブランドで評価されるところがあるけれど、パドゥーラ=スコダのピアノは、心に染み込んでくる。誰もが聞いたことがある第4楽章はあまりにも素朴で泣けてくる。
「死と乙女」の方も、シューベルトの死への恐怖への激しさを現しながらも、その気持ちをわかろうとしているぬくもりを感じる。現代の録音ではもっと立派で、音もきれいなものもあるけど、最もウィーンらしく、最もシューベルトらしい演奏だと思う。
今の時代探せば100円で、大きな幸福も買えるものです。