【瞑想の流派まとめ】マインドフルネス/仏教瞑想って種類ありすぎ!と思ったら読む記事
こんにちは!
マインドフルネス教師の枡田です。
マインドフルネスなどの仏教瞑想に興味を持ち調べてみると、いろいろな情報がでてきます。瞑想の講座や書籍も、たくさんでてきます。
それぞれ似ているけど微妙に違っていて、なにがなんだか、どれを選べばいいのか、わからなくなるかもしれません。
マインドフルネスなどの仏教瞑想には、いろいろな流派があります。
そこで今日は、その中のメジャー所をざっくりと解説し、みなさんが全体感をつかめるようにしたいと思います!
※私も個々の流派を細かく知っているわけではないので、詳しい方から見ると「それは違う!」と思う記述もあるかもしれませんが、なにとぞご容赦ください。
※マインドフルネスの歴史について、こちらの記事(マインドフルネスと瞑想の違いとは?)に書いてありますので、こちらを読んでからだと、より理解しやすいと思います。
まずは、宗教色が薄めで、一般向けなマインドフルネスの流派であるMBSRとSIYから、ご紹介していきます。
MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)
MBSRは、1979年にマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン教授が、医療用に開発したプログラムです。
このプログラムは、うつ病や慢性痛の治療、患者の精神的ケアなどで大きな成果を上げ、マインドフルネスが世界に広まる原動力となりました。
1960年代以降、アメリカでは東南アジアの上座部仏教の瞑想や、チベット仏教の瞑想、日本の禅などが広まっていて、ジョン・カバット・ジン教授もそれらに取り組んでいました。そして、それら瞑想法を医療に応用するために、MBSRを作りました。
治療の一環として行われるため、宗教色をなるべく排除して、患者さんたちが抵抗なく取り組めるように作られています。
取り組む瞑想法としては、以下のようなものがあります。
・呼吸瞑想
呼吸の感覚に意識を向けます。途中で思考が出てきて、呼吸から意識がそれたら、思考に気づいて呼吸に意識を戻します。
・ボディースキャン瞑想
体の感覚に意識を向けます。足や手やお腹など、各部位に順番に意識を向け、全身の感覚をくまなく感じていきます。
・歩行瞑想
歩きながら、地面につく足裏の感覚や、歩くときに起こる体の感覚に意識を向け、感じていきます。
・ヨガのアーサナ
ヨガのポーズをとりながら、体の感覚や呼吸の感覚を感じていきます。
これらのメソッドを、いくつか組み合わせて行います。
基本的には、8週間のプログラムになっていて、週一回のレッスンと、各自で毎日瞑想を行います。
SIY(サーチインサイドユアセルフ)
SIYは、2007年にGoogleが開発したマインドフルネスのプログラムです。
とりくむ瞑想法はオーソドックスで、呼吸瞑想、歩行瞑想、ボディースキャン瞑想など、MBSRでやるものとかなり近いです。
それ以外には、
・他者の幸せを願うコンパッション瞑想
・心に浮かんだことを全て紙に書き出すジャーナリング
・相手の話をただひたすら聞くコミュニケーションの瞑想
などがあります。
SIYは「心の知能指数といわれるEQを高める」という目的をかかげています。EQはビジネスの世界で重視されていて、コミュニケーションやチームワーク、リーダーシップの能力を高めるのに必要とされています。
MBSRが医療用に作られたのと比べて、SIYは元々Googleのビジネスマン向けに作られたため、その辺りの雰囲気に差がありますね。
Googleがマインドフルネスをやっている!
というフレーズは、ビジネスマンにはかなり響くようで、SIYの影響で、Google以外の企業にもマインドフルネスが多く取り入れられるようになり、日本にも入ってきました。
やはり一部の瞑想に興味のある人や、医療用に行われていただけでは、一般にはなかなか広まらなかったでしょう。
特に日本では、オウム真理教の事件もあり、「瞑想=怪しい」というイメージが強かったです。SIYはそのイメージを払拭し、マインドフルネスの普及に一役買ったといえるでしょう。
プラムヴィレッジ
マインドフルネスをアメリカに普及させた功労者であり、ノーベル平和賞の候補にもなっていたベトナムの禅僧ティク・ナット・ハン師(1926年-2022年)が開いた瞑想コミュニティーが、プラムヴィレッジです。
プラムヴィレッジの本拠地はフランスにありますが、世界各地にコミュニティがあり、マインドフルネス瞑想会や法話会などを行っています。
ハン師は1960年代に渡米し、精力的に瞑想の指導をしていました。著作も多く、どれもわかりやすく書かれていて、アメリカでとても人気があります。
マインドフルネスという言葉を多く使い、マインドフルネスをアメリカに普及させた第一人者と言われます。
GoogleもSIYのプログラム作成時に、ハン師を招いて瞑想指導を受けていたようです。
プラムヴィレッジでは、呼吸瞑想、歩く瞑想、ボディスキャン瞑想などを中心に行います。
MBSRやSIYよりも、仏教色は当然強めです。
しかし、仏教色強めといっても、厳しく修行するというよりも、今ココに意識を向け、ありのまま気づいていく、というマインドフルネスの基本を重視した、穏やな雰囲気が特徴的です。
さて、ここからはより仏教色強めな、伝統的な仏教瞑想についてご紹介していきます。
ヴィパッサナー瞑想
仏教瞑想を調べていると、ヴィパッサナー瞑想という言葉に、必ずたどり着きます。ヴィパッサナーというのは、古いインドの仏教用語で、「観察する」という意味です。
つまり「ヴィパッサナー瞑想」とは「観察する瞑想」という意味です。
仏教の修行では伝統的に、心と体をありのまま観察することがとても重要とされます。そのため、仏教のあらゆる流派が「観察する瞑想 = ヴィパッサナー瞑想」を行います。
しかし、流派によってやり方に差があって、同じ「ヴィパッサナー瞑想」という名前でも、何種類もの瞑想法があります。そこが混乱しやすい所です。
ヴィパッサナー瞑想は、マインドフルネスの源流となっていて、やり方もとても近いです。
お坊さんが教えていることも多く、仏教色は強めです。
もっとも代表的なヴィパッサナー瞑想としては、マハーシ式ヴィパッサナー瞑想と、ゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想があります。
マハーシ式ヴィパッサナー瞑想
マハーシ式ヴィパッサナー瞑想は、ミャンマーの仏教僧マハーシ・サヤド―(1904年-1982年)が開発した瞑想法です。
やり方は、
・座って呼吸を観察する
・歩きながら、足の動きに意識を向け観察する
・瞑想中に現れる思考や感情を観察する
などで、「心と体を観察する」という基本的なスタンスは他の瞑想法と変わりません。
しかし、マハーシ式ヴィパッサナーで特徴的なのが、ラベリングと呼ばれる手法です。
ラベリングとは、観察対象に言葉でラベル付けをすることです。
例えば、呼吸瞑想では、呼吸する時のお腹の膨らみや縮みに、「ふくらみ」「ちぢみ」と頭の中で言葉を使ってラベリングします。
歩行瞑想では、右足が地面についたら「みぎ」、左足が地面についたら「ひだり」とラベリングします。
怒りが湧いたら「いかり」とラベリングします。
ラベルすることで、対象に意識を引きつけつつ、客観的に観察できるようにするわけです。
言葉を使ってラベルするやり方は、人によってけっこう好みが分かれます。苦手な人は苦手でしょう。上手くハマる人はハマるでしょう。
マハーシ式ヴィパッサナーは、日本では、スリランカ出身のアルボムッレ・スマナサーラ長老が所属する「日本テーラワーダ仏教協会」で習うことができます。
スマナサーラ長老は日本に長年住んでいて、たくさん仏教や瞑想の本を出していて、とても人気のある方です。
他には、地橋秀雄さんの「グリーンヒル瞑想研究所」でも習うことができます。
ゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想
ゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想は、ミャンマーの在家仏教徒のS.Nゴエンカ氏(1924年-2013年)が、世界に広めた瞑想法です。
アメリカやイギリス、フランス、オーストラリアや日本など、世界各地にゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想センターがあります。
この瞑想法は、10日間の瞑想合宿に参加しないと習うことができません。10日間も時間を取るのは、一般の方にはちょっと難しいかもしれませんね。
瞑想合宿では、瞑想に集中するため、なんと参加者同士の会話は禁止です。スマホやTV、本なども禁止で、食事も全て菜食です。かなり気合が入ってますね。
日本で瞑想合宿と言ったらコレ、というくらい有名で、毎回すぐに満席になります。
「ヴィパッサナー瞑想合宿」で検索すると、参加した人の体験記がたくさんヒットしますので、読んでみるといいでしょう。
合宿では、まず最初の3日間は呼吸瞑想を行います。目を閉じて座り、呼吸にひたすら集中します。
それで集中力を鍛えて、4日目からは、体の感覚を頭から足先まで順にスキャンしていくボディースキャン瞑想を行います。
一日10時間くらい瞑想しますので、かなりハードです。途中で脱走する人もいるくらいです(笑)。
毎日夜に、2時間くらい仏教の法話を聞く時間があります。
禅
禅は日本人には一番なじみが深いですね。
禅はもともとは中国で起こった仏教の流派で、それが鎌倉時代に日本に伝わったものです。
アメリカでマインドフルネスが広まったのは1960~70年代ですが、禅はそれよりも少し早くアメリカに入っています。
なので、アメリカでもマインドフルネスと禅は区別されることが多いですが、マインドフルネスの一つとしてとらえられることもあります。
日本では、マインドフルネスと禅は区別されるのが普通ですね。
禅には主に曹洞宗と臨済宗の二つの宗派があり、やり方がだいぶ違います。
お寺や指導者によって差があるようですので、あくまで私の知っている範囲で説明いたしますと、
曹洞宗は「只管打坐」といって、ただ何もせず座ることを重視します。
座る姿勢や足の組み方、手の置き方などは決まっているのですが、それ以外は、特にテクニックを使わずに、目的も意図も持たず、ひたすら座り続ける、というスタイルです。
一方、臨済宗は、丹田に意識を集中させて座ります。
さらに、「公案」というナゾナゾのようなものを与えられて、それをひたすら考えます。
公案とは例えば
「あなたが生まれる前の顔はどんな顔か?」
というような、答えの出せない問題です。
答えの出せない問題を考え続けることに、意味があるそうです。
難しすぎてよくわからない話、という意味で「禅問答のような」という表現がありますが、その元になったものですね。
禅をやりたい場合は、お寺の坐禅会にいったり、禅のお坊さんがやっている坐禅教室などにいってみるといいでしょう。
全体的な仏教の流れについて
仏教の全体的な流れがわかっていると、マインドフルネスや仏教瞑想について、圧倒的に理解しやすくなります。それをここで説明しておきます。
仏教は大きく次の3つの流れに分けられます。
・上座部仏教(テーラワーダ)
・大乗仏教
・密教
上座部仏教(テーラワーダ)は、タイやミャンマー、スリランカなど東南アジアで広まっている仏教です。
出家して厳しい戒律をしっかりと守り、ストイックに修行して悟りを目指すスタイルです。
大乗仏教は日本、ベトナム、中国などで広まっている仏教です。出家しない民衆でも皆救われる、という考え方で、戒律なども上座部仏教よりは比較的ゆるめです。
密教は大乗仏教をさらに発展させたスタイルです。仏教の中で最も後に成立したスタイルで、ヨーガやヒンドゥー教の要素も取り入れられた仏教の最終形とも言われます。チベット仏教と日本の真言宗が密教です。
この3つの流れを知っていると、全体の見通しがよくなるでしょう。
ここからは、代表的な仏教国のくくりで、瞑想を紹介していきます。それぞれの瞑想法の発祥国がわかっていると、とても理解しやすくなりますよ。
ミャンマーの瞑想
ミャンマーは、世界で最も瞑想が盛んな国です。マハーシ式ヴィパッサナー瞑想もゴエンカ式ヴィパッサナー瞑想も、ミャンマーが発祥です。
それ以外にも何種類もの瞑想法があり、泊りがけで瞑想修行のできる瞑想センターもたくさんあります。
瞑想センターでは、出家していない一般人でも修業ができるため、世界中から瞑想の愛好家たちが、ミャンマーの瞑想センターを訪れます。
1960年~70年代には、多くのアメリカ人がミャンマーで修業し、その瞑想法を持ち帰り、アメリカに広めていきました。
ミャンマーは上座部仏教の国です。上座部仏教は戒律が厳しく、欲を捨て、ストイックに修行して悟りを目指す宗派です。お坊さんたちもとてもストイックで、民衆からの尊敬を集めています。
そのためか、ミャンマーの瞑想法の指導者は、わりとピリッとした厳しめな方が多い印象ですね。
先ほど紹介したスマナサーラ長老や地橋さんも、ピリッとした雰囲気です。二人はミャンマー人ではありませんが、ミャンマーのマハーシ式ヴィパッサナー瞑想を学び、それを指導をしています。
日本では、ゴエンカ式とマハーシ式ヴィパッサナー瞑想が主で、それ以外のミャンマーの瞑想法は、継続的に習えるところはあまり見当たりません。
単発の瞑想講座などはあるようなので、興味ある方は探してみるといいでしょう。
タイの瞑想
タイも上座部仏教の国です。タイは「ほほえみの国」ともいわれ、穏やかな方が多いようで、瞑想指導者も穏やかで優しい雰囲気の方が多いです。少しミャンマーの方とは雰囲気が違う印象があります。
日本で有名なのは、プラユキ・ナラテボー師です。
プラユキ師は日本人ですが、タイで出家して修行された方です。
プラユキ師は、チャルーンサティという瞑想法を主に教えています。チャルーンサティは、目をあけて座り、手を決まった動作で動かしながら、その手の動きに意識を向け、気づいていく瞑想法です。
なにか一つの対象に強く集中するのではなく、動く手という対象に軽めに意識を向けていきます。
「瞑想は静かに座って集中するモノ」というイメージが一般的にはあるため、だいぶイメージと違うと感じるでしょう。
ただ、瞑想中に眠くなりにくく、仏教瞑想で最も重要な「気づき」を鍛える効果がかなり高く、初心者でも取り組みやすい瞑想法です。
他にはアチャン・ニャーナラトー師も有名です。ニャーナラトー師も日本人で、タイで出家された方です。
プラユキ師もニャーナラトー師も、定期的に瞑想会やお話し会をやっていますので、興味ある方は調べてみるといいでしょう。
チベットの瞑想
チベットは密教の国で、仏教が国の中心となっています。チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマが、国のトップも務めています。
しかし、チベットは1950年代に中国に軍事侵攻され、多くのチベット仏教の僧が弾圧を受け、国外に亡命しました。
そのため、アメリカにも何人ものチベット僧が亡命し、チベット仏教の瞑想が伝えられ、一部がマインドフルネスにも取り込まれています。
例えば、SIY(サーチインサイドユアセルフ)にトングレンという瞑想法があります。トングレンは、イメージの中で自分や他者の苦しみを吸い込み、浄化して吐き出す、という瞑想法ですが、これはチベット仏教の瞑想法から来ています。
チベットの瞑想は、日本で習える所はあまり多くありませんが、例えばテルガル・ジャパンという瞑想コミュニティでは、チベットの高僧であるヨンゲ・ミンギュル・リンポチェが瞑想のワークショップなどを行っているようです。
さて、長々と紹介してきましたが、いかがでしょうか?
「イロイロあってなんとも……」というのが正直なところかもしれません。
瞑想法は、人によって向き不向きがあります。同じ瞑想法でも、人によって上手くいったり、上手くいかなかったり、ということはよくあります。
また、指導者やコミュニティの雰囲気も、人によって合う合わないがあります。
なので、実際に瞑想会に参加してみて、その瞑想法を体験したり、指導者やコミュニティの雰囲気を肌で感じてみて、自分にあっているかどうか見極めてから、始めた方がよいでしょう。
その際に、今日お話しした全体的な流れがわかっていると、見通しがよくなると思います。
この瞑想法はどの流派から来ているのか、どの国、どの宗派の流れから来ているのか、などがわかると、理解しやすくなるでしょう。
面白いことに、教えている瞑想法やバックグラウンドとなる宗派が、指導者の性格やコミュニティの雰囲気に、かなり関係してきます。
「この先生はこの流派出身だから、こういう雰囲気なのかな」
という感じで、結構納得できることが多いです。(決めつけすぎるのはよくありませんが……)
今日ご紹介したのはメジャーな所だけで、紹介できていないものもありますので、そこはご自身で調べてみてください。
他にもっと瞑想について聞きたいことがあれば、以下の私のHPの問い合わせフォームからご連絡いただければ、答えられる範囲でお答えします。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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