雪の練習生(読書感想文)
出会い
約1年前、書店で目にとまったのは、白い装丁に赤い帯のコントラストが冷たさを感じさせる本。
結局、読み始めたのは最近のこと。
惹き込まれて、なかなか忘れられない作品だった。
(このnoteは、本の内容には触れずに書きます。)
解説を読んで
作品が終わって、ひと呼吸おいてから解説を読んだ。
以下の文章を引用してみる。(引用の方法が正しくないことは、どうか目をつぶっていただきたい…)
不思議さ、踏み込んだらきりがないほどのテーマ。
私はこの2点に深く共感した。さすが解説。
この作品について言葉にしたくても、140字でおさまらないことは確かだった。それでも文章に残して向き合いたかった。
ここからは、私のことも織りまぜて書いていく。
不思議な感覚
不思議だなぁと思うことはときどきある。誰かと私をつなぐ縁。季節が変わっていくのを感じ取ることができる身体。ふとんの居心地のよさ。
今回は、読んでもつかめない気がしてならない感覚がする、そんな“不思議”だった。
本のタイトル・イラストから、ホッキョクグマのイメージが伝わってくる。そのつもりで、読みながらホッキョクグマを探してみても、ぽやんとしたまま進んでいってしまう。
「たぶん、ホッキョクグマ?」が積み重なっていく。
中心人物(熊?)に感情をよせてみよう、溶け込もうとしても難しい。自分の感覚で読んでしまうから、ことごとく失敗する。
頭のかたいところを取り除いてみなさい、もっと自由に視野を広げて、と言われている気がした。
動物愛護
途中、動物愛護団体のワードが出てきたとき、私は一瞬だけひやりとした。どんな見方で綴られるかどきどきして読んだ。
あっけなく淡々と終わってしまったので安心しつつ、私はあるシーンを思い出したのだった。
大学の講義で視聴した、イヌイットの映像。
迫力あるパフォーマンス、有名人が広告塔となって押し進められる運動。アザラシがかわいそう…という理由だけだったかは覚えていない。動物愛護団体の活動によってイヌイットの収入源が減り、生活に困るシーンが続いた。
同時に思い出すのは、南にある島の人々の暮らし。
クジラを食料とする彼らの暮らしは、文化として認められていた。エンジンの付いた船をもらったが、スタイルに合わず、手放す場面がみられた。
ヒトが決めたルールに沿って振り分けられる、動物と人々の暮らしを、教場のスクリーンでみていた。
イルカショー
もうひとつ、この作品を読んでいるときに思い浮かんだニュースがある。「イルカショー廃止」というものだ。
こちらは動物福祉に関わるものらしい。
生きている環境よりも狭い水槽とショーのための調教、特にこの2つが強く批判されているように思えた。
少し前に水族館へ行った。
何も気にせずイルカショーを観るために席に座って、「久しぶりだなぁ」なんて考えていた。
始まってみると、そのショーは私が観てきたものとは違っていて、イルカの個性と気持ちを尊重する時間になっていた。純粋に楽しむ、そんな雰囲気が心地よかった。
イルカの性格や好きなことを紹介してから、「今は何をして遊びたいか」を探して楽しむ。だから、一斉に飛ぶような大技がみられるかはイルカ次第。
「イルカたちと楽しんでいます」
ショーを観ながら、私たちに何度も投げかけられた。
こうやって文字に起こすと白々しいかもしれないけれど、トレーナーの熱のこもった言葉は「お願い、知ってほしい。」と叫んでいるみたいだった。
おしまい
守ることは一方的なのかもしれないと思う。
自分勝手で、簡単にくずれ落ちるもの。
私たちは勇気を持って対話するほうがいい。
あるものを守るために、押しのけられた他の何かが消えていくのを、どんな気持ちで認識していなければならないんだろう。
ほとんど作品の内容に触れずに、つらつらと書きなぐってしまった。淡々としていて怖かったかもしれない…と反省しているところです。話しにくいけど、外に出しておきたいことだったので満足…かな。たぶん。
雪の練習生!私の好きな本です。
本当に出会えてよかったと思う作品。
あらすじを読んで、手にとって見て下さい!
(とってもやわらかい、雪のような小説です)
次はもう少し上手く伝えられるように…📚