
「文章書くの無理ゲー…」と思ったあなたへ。村上春樹も実践する“凡人”が書けるようになる秘密
「文章を書くなんて、自分にはハードル高い…」
――そんな風に思っていませんか?
でも実は、毎日の積み重ねや推敲の作業を淡々とこなすうちに、誰でも“書く人”になることはできるかもしれない。今回の対話では、村上春樹や森博嗣といったプロ作家の言葉を通じて、「書くって実はもっと自由で、もっと地に足がついた作業なんじゃないか?」という気づきがたくさん生まれました。
小説を書いてみたい、でも何をどう書けばいいのか分からない――そんなあなたに向けて、今回の対話から見えてきた“書く営み”のエッセンスを整理してみます。書きたい気持ちはあるけど尻込みしている人に、少しでもハードルを下げるヒントになれば幸いです。
※この記事は、日米のIT業界で働く友人同士で対話したポッドキャストの内容を元に文章化しています。実際の音声へのリンクは最後に掲載しておきます。
村上春樹を読んで見えた“小説家”のリアル
書くことへの敷居が下がった
「小説家って天才のひらめきで一気に書き上げるんでしょ?」――そう思っていた人も多いのではないでしょうか。ところが村上春樹のエッセイ『職業としての小説家』を読むと、毎日のルーティンを守りながらコツコツ書く姿や、何度も推敲を重ねる地道な作業の大切さが語られています。
1日数時間は集中して原稿を書く
書き終わったら走ったり泳いだりして体を動かし、リフレッシュ
次の日また同じペースで書き進める
そんな健康的で長期スパンの生活リズムに、「案外、自分にもできそうかも…」と感じたという声が上がりました。ひらめきの天才じゃなくても、“積み重ね”で書けるらしい――これは大きな気づきです。
ひらめきより“積み重ね”が大事
職業作家って「速筆でザッと書けるから才能がある」だけではなく、最初の草稿が荒くても何度も書き直して形にしていく習慣こそが勝負なのだと分かります。
初稿は思い切り書いて、あとから削ったり付け足したり
何度か読み返し、必要に応じて再構成し、さらに磨く
このプロセスを粘り強く繰り返すからこそ作品が完成する。いきなり完璧を目指さなくていいと思えば、書くことのハードルがぐっと下がるのではないでしょうか。
主観的文章をベースにする
村上春樹の小説は、ストーリーの妙もありますが、“主人公の感覚”にどっぷり入り込む主観的描写が大きな魅力。
世界全部を客観的・正確に描かなくてもいい
まずは「主人公(書き手)の視点」で感じたことを素直に言葉にする
そう考えると、「書くって、自分の感覚をまるごと活かしていいのか」と気が楽になるかもしれません。だって、世界を正確に説明する義務はないんです。主人公の見え方を描けばそれが物語になるんですから。
森博嗣の「面白いとは何か」から見えたヒント
“秘密にしておく”楽しみという考え
森博嗣の著書『面白いとは何か?』では、「ベスト7を聞かれても上位3つは秘密にする」など、言語化や共有をあえてしない姿勢が印象的です。
「自分だけが楽しむ領域はあえて語らない」
「言葉にした途端、その感動が変質する」
これは一つの独特な美学。すべて言語化する必要はなく、書くことも書かないことも自由に選べばいいという発想でもあるでしょう。
自分にしか見えないものを書いていく
森博嗣の小説にも共通するのが、“自分なりの視点”を最優先する姿勢。村上春樹とも共通するのは、「作家は天才的アイデアより、コツコツ書き続ける地道さと、“自分の感性を信じる”強さ」の掛け合わせで作品を作る、ということ。
自分も小説を書きたくなる理由
書くことは思考の整理
村上春樹や森博嗣だけでなく、多くの書き手が「書くことで自分の頭の中が整理される」と語ります。日常のモヤモヤを言葉にする作業が、精神衛生上もかなり大事だと感じる人は少なくない。
「書くのは排泄みたいなもの」
書かなければ頭の中にゴミが溜まっていくような感覚がある
といった表現を僕はよく使いますが、ブログや日記で実感している人もいるのでは?
“才能”より“習慣”に近い
プロ作家が“努力と習慣”で成り立っているなら、われわれ素人が書き始めるときも、まずは時間と手間をかけるアプローチが効くはず。創作は敷居が高そうに見えるけど、実は「やればやるほど形になる」現実的な作業なんだ、と気づくと少し気が楽になりますよね。
どんな物語を書きたい?──旅、SF、旅行記など
旅の小説/海外の街を舞台に
沢木耕太郎の『深夜特急』みたいに旅先での出来事を通じて主人公が変化するストーリーとか、海外の街を舞台にして“目的もなくさまよう”感じを描きたい――対話中、そんなネタが盛り上がりました。
リアルな旅行の記憶(夜の怪しい雰囲気、朝の光、食べ物の香りなど)が、物語の風景描写の種になる
“自分が納得できない人生を抱えてる主人公”が旅を重ねるうちに少しずつ変わる… そういう成長物語を楽しみたい
SFやファンタジー世界
逆に、完全架空世界を自由に作ってみたい派も。「もしこの世界に魔法があったら?」「未来の社会はどう進化している?」みたいな仮想ルールを設定しながら書くと、読者も自分も“未知のパラレルワールド”を探検できる。
構造的な仕掛けを考えるのも醍醐味。伏線、成長、喪失と再生…などをどう配置するか
書く動機は何? 誰に向けて書く?
評価されたい or 自分が楽しければOK?
小説を書くと聞くと「賞に応募する」「出版社に売り込む」を連想しがち。でも今回の対話では「最初は自分が面白ければいい」という結論が主でした。評価を意識しすぎると、かえって筆が進まなかったりする。
まずは「書きたいから書く」
できあがったら「誰かに読んでもらえたら嬉しい」と思うかもしれないし、思わないかもしれない
どちらにせよ、「書くことが面白い」気持ちがスタート地点
キャラのモデルは身近な人?
リアリティのある登場人物を作るには、「昔の上司」「ちょっと変わった友人」などを参考にすると描きやすい。実名そのままはアレなので多少アレンジして、それが人間ドラマの深みを生む――これもよくある手法。
まとめ: 「書きたくなったら、まず書いてみる」
村上春樹流の“普通の書き方”が下げてくれるハードル
ひらめきと天才だけで書き上げるわけじゃなく、地道な習慣と何度もの推敲が当たり前という現実を知ると、「自分でも一歩踏み出していいかも」と思える。
自分のモヤモヤを文章化する作業
小説に限らず、エッセイやブログでも、書くことで考えが整理される。最初は下手でもいいからアウトプットしてみると、自分の頭がクリアになる。書いたあとで書き直せばいいだけ。
物語の構造 vs. 主観
物語をどう設計するか(伏線、クライマックスなど)も大切だけど、「主人公がどう感じるか」を描くだけのシンプルな形でも十分面白くなる。まず書き出してみるのが肝心。
誰のため? とりあえず自分が面白けりゃOK
他人からの評価を気にしすぎると挫折しやすい。自分が書くことを楽しいと思えれば、それで充分。それに読者が乗っかってくれたらラッキーぐらいのスタンスが続けやすい。
最後に: 「書きたいと思ったら、もう書くしかない」
文章を書くことのハードルを下げてくれる村上春樹や森博嗣のような作家の姿は、意外と“ふつうに地道にやっている”という現実を見せてくれます。特別な才能を持たないと書けないわけではないし、むしろ「時間と手間で磨く」作業型アプローチが基本。
だからこそ、あなたも「自分の中の世界を形にしてみたい」と思うなら、とにかく書き始めてみるのがおすすめ。最初は短いメモでもいい。後でいくらでも直せるんですから。
書く=自分を知る
文章化するうちに「そうか、私はこんなことを考えていたんだ」と発見する物語を創る=世界を作る
自分だけの設定やキャラを作ってもいいし、リアルな体験をアレンジしてもいいアウトプットの楽しさ
誰かに読まれるにせよ読まれないにせよ、書いた瞬間に頭の中がスッキリする
「文章を書くって、意外とやれるんだな」と思えたなら、あとはちょっとずつ試してみるだけ。書いてみると、“自分にもこんな世界があったんだ”と驚くかもしれません。案外、それが人生の新しい面白さにつながるのではないでしょうか。
こちらの記事の、元となった対話音声はこちら↓
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