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車に轢かれて人生初、自転車で空に飛んだ

自転車に乗っていた僕は、いつの間にか、ハッリーポッターのように空に飛んだ。
飛べた。いやいや、飛ばされたのだ!たった数秒で人生にこのようなことが起きるなんて、未だに信じられない。

交通ルールを守りながら、いつものように気持ち良い風を感じていた。「お昼ご飯に何を作ろう」と自転車を漕いでいた、その時だった。大きな車に轢かれた。一瞬だった。

自転車はこんなに高く飛べるなんて、想像以上だった。
車線沿いにある白線の外側をマイペースに進んでいて、大通りではないから走る車が少なかった。信号が割と多くてスピードを出せる道でもない。毎日の風景だ。

毎日の風景のはずだった。反対方向から来ていた車は、僕の進行方向沿いにある駐車場に入ろうとしていた。その瞬間、僕はハッリーポッターに変身した。ハロウィンが終わったはずなのに、ハッリーポッターになった。

車線とその駐車場の間に白線があった。その白線の外側に僕が通っていた!数秒の差で無事だったけど、この日は無事に帰れる日ではなかった。車に気がついた時にはもうぶつかっていた。ブレーキをかけて車線ではなく、駐車場側に曲がった。そして駐車場に入ろうとしていた車に直撃したのだった。

ぶつかった瞬間、自転車は後輪が上がったことで、まるで石投げ器に変わった。悲しいことに僕が石に変わって、飛んだ後にボンネットに激しく着地した!その時に自分の足はどんな状態だったのか、どこに行ったのか現在もわからない。記憶がない。

そのあと、自転車が地面に倒れた。先まで行方不明だった足がちゃんと動いているのを確認できた。転けずに足で到着。ボンネットにぶつかった左の肩と腕は筋肉痛のような痛みだったけど、痛み以外の怪我はなし。右の手は無意識にずっと自転車のハンドルを握り締めていたせいか、右手から腕にかけてすぐ痛みが広がった。

運転していた相手はすぐ降りて、心配しながら僕の方に来た。謝りながら怪我があるかチェックして。そのあとはすぐ警察に電話していた記憶がある。その時、何も考えずに僕の口から出た言葉を、今も覚えている。

「もし大人ではなく、子どもだったら?お母さんとベビーカーだったら?」と。

怒りの言葉ではなく、「僕でよかった」という冷静さだった。相手の車は7人乗りの車だから、一般の車より若干大きくて急ブレーキをかけても高速20kmでも完全に止まるのは数メートル必要だと、よくわかった!運転免許更新の時によくある動画を思い出して、動画で見るのと自分の体で体現するのと、恐ろしい恐怖の差がある。わかっていても、自分の顔でぶつかるまで想像できない。

そのあと、パトカー2台が来た。警察官4人。写真を撮り絵を描いていた人がいれば、状況や個人情報確認の人もいた。事件の再現や状況の撮影、ぶつかり方の確認などの作業が始まった。

一瞬の間に「ハッリーポッター」から「踊る大捜査線」に変わって、周りの環境と自分の脳みそは失恋のような気分になった。警察官との会話など情報の多さに負けそうなところに、「日本語がお上手ですね」「日本は長いですね。もうベテランですね」などの会話のおかげでなんとか落ち込まなかった。

警察官と、自転車と車の再現をしていた時に、この交通事故の恐ろしさを目で確認できた。車のボンネットにぶつかった部分を見た時に、かなり凹んでいたのだ。しかも、その凹みは自分の左肩の形になっていた。車は割と弱いのか、思ったより高スピードでぶつかったのか。それとも、僕はハルクの親戚を持っていたとか?ここからはマーベル映画を思い出して、囲まれた交通事故の中、同時に3つの映画を見ているような気分になっていた。この場合は残念なことに、主人公は僕だった。

大体、1時間で終わった。帰る前に警察官の前にぶつかった相手と連絡先を交換した。警察官の名刺ももらった。先週新しくしたばかりの自分の名刺を、まさかここで初めて使うなんて。

僕は無事だったということで、事故の帰りも自転車で帰路についた。家に着く前にスーパーで買い物して、その日のランチは白米と魚にした。いつもより美味しかった!

交通事故の1ヶ月半前に買ったほぼ新品の自転車は、色んなところが曲がっていたり傷ついたりしていた。保険がおりるようでよかった。車の凸凹をさせた僕の方はまったく怪我がなかったことを思い出すと、不思議でたまらない。子どもやお母さん、赤ちゃんではなくてよかったと、その日からずっと思っている。

いくら気をつけても何か起こるかわからないから、毎日を大切にしておこうね。
そして、ハッリーポッターになりたいならUSJに行こうね!

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マッシ|エッセイスト・ライター
みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。