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【詩】幼い日

月の作る影の中に虫が鳴く
虫の鳴く声はススキを揺らし
ススキが揺れると声は止む

声なき夜のしじまの中に
小さな妖怪が潜んでは
時間とともに成長する

長い長い時間の中で
巨大に育った妖怪たちが
じっとこちらを窺っている

今にも襲ってきそうな気配の中
幼いぼくの直感は
必死に涙を呼んでいる

寂しい線路脇の小径だった
遠くかすかに浮かぶ街の灯りだけが
あの夜のぼくの正義の味方だった

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