【詩】論敵
1+1は絶対に2だと言う人がいる。
必ずしも2にはならないと言う人がいる。
どちらも必死で、
なかなか自説を曲げようとはしない。
そんなことに興味のないぼくは、
いつもそのやりとりを見て笑っている。
それが癇に障るのか、
「じゃあ、あんたはどう考えるんだ」
と二人して絡んでくる。
元々興味がないわけだから
そんなことを考えたことすらない。
だからいつも
「おれにはわからん」と逃げていた。
ところがあまりにしつこく聞いてくるので、
ある時思わず
「1+1は1+1だ」と答えてしまった。
すると論敵は二人して、
『またあんたはいらんことを言う』
といった顔をしてぼくを見た。
実はその答こそが論敵二人の、
究極の妥協点だったらしいのだ。
ということで論敵二人は、
再び必死に自説を唱えながら、
新たな究極の妥協点を探している。