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【詩】青春ザラザラ

ぼくの青春時代はザラザラとした
砂埃のようなものに覆われていて
肝心な所で運命を変えられてしまった。
冬のバス停のシーンは本来はあの人の
呼ぶ声にぼくが立ち止まるはずだったが
ザラザラはそれを気づかせないで
ぼくを素通りさせている。もしそこに
ザラザラがなかったとしたら、きっと
ぼくは運命どおりに歩いていただろう。

思い出のスクリーン上には今もなお
ザラザラの砂埃がはびこっていて
所々で映像や音声が途切れてしまう。
秋の校庭のシーンではあの人が愛情を
目一杯に表現しているはずなのだが
ザラザラはそれを見せないように
ぼくの目を塞いでいる。もしそこに
ザラザラがなかったら、再会の時にも
素っ気ない態度を取らなかっただろう。

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