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【詩】卒業
雪は残り、花は遅れていた。
しかし、彼らは知り尽くしていた。
一つの旅が、終わったことを。
皆、どこでもいいから吹き飛びたいと言った。
というのも彼らの行くところはなかったから。
一つの旅が、終わった時に。
薄暗い空から、雨も降り始めていた。
でもちょっと見回すと、晴れ間も見えていた。
誰かが死んでもいいと言った。
でも、もう死ぬところもないだろう。
一つの旅が、終わっているから。
何か一つ元気が欠けた。
大人たちは喜んだ。
一つの旅が、終わっていた。
薄暗い空から、雨も降り始めていた。
でもちょっと見回すと、晴れ間も見えていた。
雪は残り、花は遅れていた。
しかし、彼らは知り尽くしていた。
一つの旅が、終わったことを。
昭和51年3月1日に高校の卒業式があった。式の最中、ぼくは体育館の窓からずっと空を見ていた。
その日は小雨のぱらつく曇天の日だった。たまに雲の隙間から日が差し込むのだが、何か気の落ち着かない時間だった。うっすらと希望は見えているのだが、不安のほうが重くのしかかっていた。そういう気持ちを表すのにもってこいの天候だった。
この日からぼくは、学生でもなく、社会人でもない生活を5年間強いられることになった。