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【詩】西から風が吹いてきたら
西から風が吹いてきたら
朝一番の汽車に乗って
懐かしいふるさとに帰るんだ
向かい風をたどってね
雨が降ったってかまわないよ
傘の一本もいらないよ
だってぼくのふるさとは
いつだって晴れているんだから
小さな思い出をたどっても
ぼくは懐かしいとは思わないよ
だって東京の風はいつだって
雨を誘うんだから
何も告げずに行くよ
恋人よ、ぼくのことは忘れとくれ
会おうとも思わないでおくれ
本当に、もう二度とね
小さな思い出をたどっても
ぼくは懐かしいとは思わないよ
だって東京の風はいつだって
雨を誘うんだから
西から風が吹いてきたら
朝一番の汽車に乗って
懐かしいふるさとに帰るんだ
向かい風をたどってね
(1980年2月作)