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【詩】成人の日の歌
あの日ぼくはギターを弾いて、
歌をガンガンうたっていた。
絶叫していた。怒鳴っていた。
おかげで酔いがいっぺんに回り、
歌はだんだん無茶苦茶になり、
終いには過呼吸になっていた。
周りは白けたムードになって
誰も聴いてくれる人はいない。
とにかくあの頃のぼくは
どこへ行っても変人扱いされて、
どんなことを言ってもやっても
誰も相手にしてくれない。
声をかけても振り向かれない。
だから彼女も出来やしない。
自分を表現出来る唯一のことが
歌をうたうことだったんだけど、
それもその日は様にならない。
「何が大人だ、ふざけるな」
そういう心の鬱憤が、
絶叫になって怒りと変わった。
あの日ぼくはギターを弾いて、
歌をガンガンうたっていた。