【トルクメニスタンを知るためのテキスト講読】パンに関する逸話【初級】
【テキスト】
Gapydan gelen myhmanyň öňünde çörek goýýarlar. Şu dessurda näme many barka? Ataňdan uly hesap edilýän myhmana iň mukaddes zadyňy hödür edýärsiň. Ýene bir manysy: öýe gelen kim? Dostmy ýa-da duşman? Eger ol çöregiň duzuny datsa, diýmek, hoş niýet bilen gelen adam.
【翻訳】
(一般に)扉からやってきたお客さんの前にパンを置く。この文化には何の意味があるのか。君は父よりも重要だと考えられているお客さんに最も神聖なものを提供しているのだ。もう一つの意味としては、家に来たのは誰か。友達だろうか的だろうか(ということに関連している)。もしそのパンの塩を確かめたならば、それすなわち、好意的な意図をもってやってきた人だ。
【語彙・文法】
Gapy-dan 扉ー奪格
gel-en 来るー形動詞過去
myhman-yň öň-ü-n-de お客さんー属格 前ー3人称単数所有人称接尾辞ー挿入子音ー位格
çörek パン
goý-ýar-lar 置くー現在ー3人称複数
Şu この
dessur-da 文化ー位格
näme 何
many 意味
bar-ka あるーか(感情を表す語)
Ata-ň 父ー2人称単数所有人称接尾辞
uly 偉大な
hesap ed-il-ýän 勘定される(勘定 するー受身ー形動詞現在)
myhman-a お客さんー与格
iň mukaddes zad-yň-y 最も 神聖な ものー2人称単数所有人称接尾辞 ー対格(zat もの)
hödür ed-ýär-siň 提案 するー現在ー2人称単数(=hödürle-)
Ýene bir もう一つの
öý-e gel-en 家ー与格 来るー形動詞過去(ここでは「来た人」の意)
kim だれ
Dost-my 友達ー疑問符
ýa-da または
duşman 敵
Eger もし
ol 彼は
çöreg-iň duz-u-ny dat-sa パンー属格 塩ー3人称単数所有人称接尾辞ー対格 味わうー仮定
diýmek すなわち
hoş niýet bilen よい 意図 をもって
adam 人
【補足】
・パンにまつわる逸話は多く、裏返しにおいてはいけない、旅行に行くときには必ず持っていく、差し出されたら必ず食べなければいけないなど多く聞く。差し出されたら必ず食べなければいけないというのは、敵か味方かというに繋がるのかもしれない。
・トルクメン語ではçörekというと土窯で焼いた日常的に主食としているパンを指す。アゼルバイジャンやトルコ東部でもçörekと言っていたのを聞いたことがある。パン全体を指すのにnanも使う。
・焼き立てのçörekは最高。いつも家に着く前に食べ終えていた。
・「父よりも重要だと考えられているお客さん」というのはMyhman ataňdan uly.「お客さんは君の父よりも偉大だ。」という諺に依拠している。ataはトルクメン語では「先祖」を表すことが多いが、諺では「父」と訳されることが多い。
・形動詞を用いた表現で「来た人」を表すのにgel-en(来た)と表している場合があるが、形動詞のみで人や物を表すこともある。ただし、トルクメン語では形動詞は述語にはなりにくいようだ。
【引用元】小学校3年生向け国語教科書(2001)より