葬儀の時、心付け(チップ)って必要なの?
こんにちは、仮面の葬儀屋です。
葬儀の打ち合わせの時に、必ずお客様にお伝えすることが有ります。
それは心付けのことです。
日本は日常生活のなかでチップを渡す習慣がほとんど無いため、いざお葬式の時になって、その渡し方が分からないという方がほとんどです。
特に自分が心付けを渡す立場、すなわち喪主になるなんてことは、一生に一・二度あるかどうか?という出来事なので。その存在すら知らない方も多いかと思います。お葬式の時に渡すって、聞いたことはあるけれど、
そもそも心付けってなに?
というところからお話ししていきたいと思います。
心付けって何?
葬儀関係者にわたすチップのことです。
結婚式などお祝いの席などで配る「ご祝儀」の反対で「不祝儀(ぶしゅうぎ)」とも言われています。
お葬式を手伝ってくれた方に、感謝の気持ちを表し、労をねぎらうために渡すお金です。
自分の家の葬式だけど、ご友人やご近所の方、また会社の人などに受付・会計などの手伝いをしてもらった場合、先方は当然無償でいいよ、と言ってくれるでしょうが、お世話になってる以上、タダというわけにはいかず、何かお礼をしたいという気持ちが湧いてくると思います。
気持ちで働いてくれているものに対して、「日当」として渡すわけにもいかないので、「志」・「寸志」と書いた不祝儀用のポチ袋に、「お気持ち」としてお金を入れて渡すというのが心付けです。
ところが、無償で働いた方以外にも、例えば
火葬場のスタッフ
霊柩車、送迎バスの運転手
料理の配膳人
花屋
返礼品屋
そして・・・
葬儀屋
にも渡すという風習がいまだに残っているのが現状です。
これらの人々は無償で働いているのではなく、サービスの対価として代金を受け取っている「業者さん」なんですが、これらの人々にも
心付け=お気持ち
を渡す必要があるんでしょうか?
昔は必要だった
私が知っているのは東京だけのお話になってしまうのですが、約20年ほど前までは、葬儀に携わるあらゆる人に心付けを渡していたので、一度の葬儀で5万円~10万円ほど、また、携わる人が多くなる社葬のような規模の葬儀になるとさらに多くの金額を包んでいましたし、それが普通でした。特に
火葬場のスタッフ
霊柩車、送迎バスの運転手
最低でもこの2か所に関しては、心付けを渡さなければいけない、という暗黙のルールが有り。たまに心付けを渡し忘れたりすると、
「まだ、○○家の分貰ってないんですけど?」
と言いに来るほどでした。
どうしてそんな高額に?
20年ほど前まではまだ、「家族葬」という言葉もなく、お葬式といえば親戚はもちろん、ご近所や会社関係、故人や家族の友人、知人にまでお知らせをしていたので、一般の方でも会葬者が100人、200人ということは珍しくなかった時代でした。
その規模になれば受付の係は家族からではなく、知り合いに頼むことにもなるし、業者として葬儀に携わる人数も多かったので自ずと心付けを渡す人数も多くなりました。
また、葬式を立派に挙げることがステータスでもあったので、祭壇やお棺なども高価なものを使っていましたし、会葬者が多いということはその分お香典も多かったので、高額の心付けを出しても全体の収支に比べたら、割合は小さなものだった、ということもあります。
心付けの相場は?
今も昔も大体、一か所2000円~5000円くらいというのが目安になると思います。
料理の配膳人さん、お花屋さん、返礼品屋さんなどには、「今日は何人で来ていますか?」などと聞いて、それぞれ2000円ずつ人数分配るか、
何人で来ていようが一業者ごとに「皆さんでお茶でも飲んでください」といってまとめて5000円くらい渡すか、
どちらかの方法が一般的です。
ただし火葬場に関しては別で、
特に東京都内の火葬場には火葬をする炉に等級があり、それによって心付けの相場が変わるという風習も残っています。
例えば桐ケ谷斎場の例を出すと
最上等(一番下のランク)3000円~5000円
特別室(真ん中のランク)5000円~10000円
特別殯館(一番上のランク)10000円~20000円
といった感じになっています。
さらに火葬場では上記の金額の他に、事務所のスタッフや、場内の案内や休憩室での飲み物の手配などをしてくれるサービス課と呼ばれるグループに対しても心付けが必要になります。
また霊柩車にも等級が有り、実際は霊柩車の会社によって車種はバラバラなんですが、一例をあげると
クラウン(一番下のランク)2000~5000円
リンカーン(真ん中のランク)5000円~8000円
キャデラック(一番上のランク)8000円~10000円
という感じで使い分ける、というのが昔ながらのやり方です。
因みにバスは一台3000円~5000円が相場です。
そういったことをが面倒だ、とか煩わしいという場合は、担当の葬儀屋にあらかじめ心付けの見積もりを出してもらって、それに応じた額を包んでおくか、
もし、信頼できる担当者ならば、まとまった金額を渡して、「しかるべきところにしかるべき金額を渡してくれ」と、完全にお任せすることもできるでしょう。
最近の事情
ところがこれは、だいぶ昔の常識で、最近はそんなに心付けを渡さないということも増えてきました。
一つには家族葬が主流になり、携わるスタッフの人数も減ってきたということがあります。
もう一つは、会社のコンプライアンスの問題で、心付けに関して突き詰めてしまうと、税務上も難しい問題になってきているということがあると思います。
そんな心付けに関する最近の流れや、
じゃあ結局、心付けって必要なの?要らないの?
といったことは、また次の記事でお話ししたいと思います。
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