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『サンスクリット入門』を読んで

24年7月、中公新書の新刊で赤松明彦『サンスクリット入門』が刊行されました。

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「仏教文献をがんがん読むぜ」なんて思い上がりは当然していなくて、どういう言語なのか知りたいんですよね、以前から。
かつて辻・鎧のゴンダ文法は難しくて挫折し、萩原『実習梵語学』はまんどぅーかさんのサイトで知り歯が立たなそうだなと敬遠し、それならばと東洋大のインド哲学科で教科書に指定されている上村・風間『サンスクリット・その形と心』だなと入手したものの、こちらもやはり途中まで読んでそれっきり……それから数年、『実習梵語学』を現代語にした新版が出たときには、もう諦めムードでした。

(『形と心』で挫折するならサンスクリットに手を出すなとお叱りを受けそうだね)

おせっかいついでに載せておきますね。
まんどぅーかネット
管理者のまんどぅーかさんは亡くなりましたが、ご友人の方々によってサイトは維持されています。

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それから数年。その間何度も『印欧語比較文法』に齧りついたり、吉田和彦先生の本を開いたりを繰り返して多少知識増えた今なら、ついていけるかもしれない!と喜んで書いました。

もうすでにみなさんおっしゃる通り、ひとことで言えば、「すげー本が出たな」に尽きます。解説は一歩一歩、かなり丁寧。ただし新書のフォーマットとは思えない
分量と深さなので、ごろ寝して読める本ではありません。すごい!

というわけでいま読み進めています。今度こそは!

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この記事を書くために、久しぶりにまんどぅーかさんのサイトを見ましたが、書評がおもしろいですね。きちんと語学書と向き合った人のレビューだからですね。

ついでに、サンスクリット語関係書籍のAmazonレビューも読んでみたのですが、道具としての語学書の、合う合わないが垣間見えておもしろい。ある人は菅沼を評価しているし、辻が一番という人もいるし、結局ゴンダに戻ってきた人もいる、みたいな。

みなさん、”文献を読むためにどれかを使わざるを得なかった人”たちのレビューなので、真面目に書かれている。これ、ネット空間上のレビューとしては大事ですよね。
言語を学ぶ目的がはっきりしているので、とにかく参考書と向き合わなければならず、たぶんたくさん疑問を抱えつつ奮闘した姿が想像されます。

ここから考えると、やはり「語学書」は道具ですから、手に馴染むもの、馴染まないものがあり、それは出来とは別の評価軸だよなと思います。
「評価の高い本が必ずしも」だし、「目立たぬ本が自分には意外と」もある。
オススメの語学書を尋ねてもいいけど、最後は自分で使いこなしていく必要があるのですね。道具に合わせて、時に自分側のスタンスを戦略的に変えることも重要なのかなと思います。

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そこから少し話がずれるのですが、最初に使っている本を、難しいなと思いつつ進めた後、全く違う方針で書いてある本を使うと、”これまで知っていたこと”に対して別角度からスポットライトが当たるような格好になり、スッと理解できる、という経験をしたことがあります。
”知っていること”を”わかる”に錯覚する、と私は言語化しています(もし名称をご存知の方がいましたらご教示くださいませ)。なので、「む、難しい」と感じてもある程度は読み進めて、その後他の教材に移るのは、間違いではないのです。他の本を見てはじめて、1冊目で得た知識を相対化できるし、活用できるようになります(これは出版社勤めの人間によるポジショントークです。つまり、みなさん本を買おう。

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