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詩No.92「雪」

群衆は依然として

唇の乾燥する

耳を澄ますと
僅かに聞こえる
静かな靴音が
遠くで消えた

醜いささくれと
僕達が行方不明になった日

芯から寂しく
垂れ流した咳唾
とめどなく堕落を続ける
凍える日


ふと外を見ると
いつの間にか暮れている

気がついた頃には
ゆっくりと暗く
底の無い
深海のような

咳払いをしても払いきれない
虚しさをずっと
患っている


どこにいくの?
こんな冬のような無機質な日に

僕達は行方不明になった


心は鎌鼬
切り刻んで
バラバラ


せめて僕達だけは
逸れないように
手を繋いでいても


無情にも霜焼け
骨の軋むことでしか
ここに居ることを示せない

吸い込んだ空気さえも痛々しい
歯痒く 悴む
ドアノブを掴んだ瞬間


雪が

静かに僕達を消した

さよならって
不正だらけの手を
窓に擦り付けた

微かに聞き取った君に届いてくれ
僕達はそこにいたんだ

窓際の机

雪の降る街にて

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