見出し画像

心笑(こえ)



暗く   静かな夜だった…

「ねぇ……誰かの笑い声が聞こえる」
深夜2時
僕は  彼女に起こされる

どんなに耳を済ませても
風の音も 虫の声も聞こえないほどの
静かな夜に……

彼女は不安そうな目で僕を見つめる

そうか……
「本当だ……誰かが楽しそうに
笑ってるね」

安心したように  にこりと微笑んで
また彼女は 眠りにつく

いつの頃からだろうか
音のない世界で暮らす彼女が

心の声を聞くようになったのは……

いいなと思ったら応援しよう!