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『魯肉飯のさえずり』
読んでる最中も読み終わった後も魯肉飯食べたくなる。
『魯肉飯のさえずり』温又柔
ママがずっとわたしの恥部だった―「もしも、あたしが日本人ならと思う」就活に失敗し、逃げるように結婚を選んだ桃嘉。優しい台湾人の母に祝福されるも、理想だった夫に一つ一つ“大切なもの”をふみにじられていく―ことばを超えて届くのは、愛しいさえずり。台湾と日本のはざまで母娘の痛みがこだまする。心の声をとり戻す長篇小説。(Amazonより)
『流』、『路』に続く台湾を舞台にした作品三冊目。読むたびにどんどん魅力が増して惹かれていく。海外旅行したことないけど一番興味あるし行ってみたい。
日本人・台湾人・中国人、統治する国が変われば呼び方も変わっていく移ろいやすさと、それでも自身のルーツや生きてきた道程に誇りを持って掲げる主張。このコントラストは台湾という近代では特殊な変遷を辿った国だからこそ色濃く表されるんだと思う。
外国人であったことや、外国人であった家族を持つことでの、他者との根本的でのわかりあえなさや、会話の端々から感じる決して交わることができない人間もいるんだという小さな哀しみと諦めが印象的だった。
だけれど、そんな人ばかりでなく、自身をそのまま受け入れてくれる人との出会いがいかに幸せなことか、そして協調や疎通の仕方が拙くてもしっかり伝えることがどれほど大切なことか、丁寧な文章からじんわり伝わってきた。
そしてそれらの行き違いや意思を疎通の難しさは、決して国籍や人種が同一でないから起こるものではなく、だれとでも起き得る普遍的なものであるってところ大切だし、言語が同じでもわかりあえていないっていう皮肉さも効いていた。
表紙も綺麗で惹かれるし、見かけ以上に読みやすい文章だし、知らなかった歴史や感情も知れて面白かった。
年末から海外を舞台にした作品をちょいちょい読んでいて、自分の読書経験の範囲が広がっている気がして楽しい。