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『ランチ酒』

早くテレビ東京でドラマ化してください。


『ランチ酒』原田ひ香

犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール…今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。(Amazonより)



まずなによりもタイトルが良い。昼飲みとかじゃなくてあくまで「ランチ」ありきの酒。ここの塩梅で物語のアルコールへの依存度というか、どのような存在なのかが示されている気がする。

夜中に「見守り屋」という風変わりな仕事をし、その後の一杯。各エピソードの依頼社宅でのエピソード、ランチの内容、主人公が抱える問題の進行具合、全てのバランスがすごく良かった。それぞれ悩みもあるし、朗らかな場面ばかりだけではないけど、仕事終わりの食と酒が、その人たちを労い、少しの忘却と許しを与えてくれるように感じる。

また、主人公が吹っ切れたように「仕事を頑張ろう」っと決意するところは様々なことを考え始める30歳過ぎには、なにかに力を注ぐ踏ん切りのようなものを教えてくれる。

そうだ、ずっともやもやしていた原因がわかった。自分に力がないからだ。自分がだめでただ悩むだけで、ぐだぐだと考え続けているからだ。

明里がこれからどんな選択をするかはわからない。けれど、こちらはちゃんと準備をしておこう。少なくともいざとなったら引き取れる、自信のある自分でいたい。


この後の登場人物それぞれのストーリーも気になるし、早くシリーズ全部読みたいし、集めよう。そしてテレビ東京のドラマ24シリーズで早くドラマ化してください。


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