「できっこない」はこう超えた!リブセンスP&M Fesの運営舞台裏
はじめに
こんにちは、ひとや組織がつながり価値がふくらむ日常をつくりたい、まさよふです。現在、株式会社リブセンスで転職会議のPdMをしています。
P&M Fesという社内イベントの運営リーダーをしたので、その舞台裏をご紹介します。
(これは Livesense Advent Calendar 2024 DAY 8 の記事です)
リブセンスの「P&M Fes」とは?
P&M FesはリブセンスのP&M(プロダクト&マーケティング:PdMとマーケターの横断組織。以下P&M)が中心となった社内共有会です。
2024年11月15日に、秋葉原のレンタルスペースで実施しました。
立ち上げの背景と目的
P&M Fesの立ち上げ背景
リブセンスではP&Mの役割の再定義および組織課題の解決に向けた横断プロジェクトProject Montageに約1年間取り組んでいました。私は途中からこのプロジェクトにコアメンバーとして参画し、グループワークのファシリテーターや、P&Mのありたい姿の定義、言語化に関わりました。
このプロジェクトで挙がった最重要テーマのひとつが学習文化の醸成でした。その一環として、P&M Fesの立ち上げを決意しました。
リブセンスのエンジニア組織にはTech Fesという毎年開催される社内LTイベントがあり、それのP&M版を立ち上げることでP&M組織全体の学習文化を促進しようと考えたのです。
P&M Fesの目的
P&M Fesには次の二つの大きな目的があります。
相互理解と協力文化の向上
LTの共有や懇親会を通じて、お互いが何をしているのか、何が得意なのかを知ることで、自然に助け合える環境を作る。
学習意欲と知識の向上
自分の知識やスキルをシェアすることで、新たなチャレンジ意欲を高め、スキルアップのきっかけを作る。
立ち上げ当初の課題
ゼロからのスタート
最初の課題は、全くのゼロからのスタートだったことです。
毎年恒例行事として運営方法や予算の確立されているエンジニア組織のTech Fesと異なり、P&M Fesは年度途中に実施することになりました。メンバーや内容についてどうやって決めたらいいか、予算をどのように確保すればよいかなど、すべて手探りでの開始でした。
成功イメージの描きづらさ
P&M職種には、社内外でLT登壇経験のあるメンバーがとても少なく、LTをするイメージがしにくかったこともハードルでした。
「LTはエンジニアがやるもの、というイメージなのでP&MはLTに向いてないのでは?」
「リブセンスのP&M職種はシャイな人が多いから登壇者は集まらなさそう」
という声が周囲からあがっていた状況です。
初期メンバーの集まりづらさ
実際に、やりたい!と手をあげてすぐの時点では、運営メンバーがなかなか集まらず、LT登壇にも戸惑いや不安の声があり、大きな壁を感じました。
人も内容もお金も、何もかも決まっておらず、全てにおいて調整が必要です。Project Montageの他のコアメンバーも立ち上げのときは多忙で、私自身も余裕はなく「こんな状況でイベントを開催なんてできっこないのでは?」と、一度は開催を断念しようかとも考えたところからのスタートでした。
イベント準備の具体的プロセス
運営メンバーの募集
運営メンバーの募集はアンケートを通じて意向を確認し、少しずつ声掛けを行いました。最初は2名から運営ミーティングを始め、少しずつ方向性を言語化、共有しながら声掛けを続けて、最終的には5名の運営メンバーが集まりました。
LT登壇を増やすアプローチ
テーマや発表時間のハードルを下げて設定することや、集まった運営メンバーをキーパーソンとして、各事業部への連絡、登壇の呼びかけをすることで、LT登壇者が集まりやすくなりました。
ナレッジやノウハウ集め
社内のP&M以外の方に頼って、社内イベントでのオンライン配信、素敵なケータリング情報、撮影や広報連携体制なども整えていきました。先行事例であるTech Fesの運営ミーティングやSlackチャンネルにもお邪魔して、ドキュメントや経費精算の方法など、真似できるところは真似させてもらうことで、イベントの詳細の設計を行いました。
こうして集まった仲間やナレッジのおかげで、調査や試算をすることができ、それをもとに社内の稟議手続きを進め、予算の課題もクリアできました。
会場選び
会場については、午前中の業務や備品運びの接続性を考慮して、オフィスからの距離の短さを前提としました。想定参加人数よりも10人多い着席人数で、レンタル費用ができるだけ安いことを意識しました。
しかし、うれしい誤算で参加人数が増え、会場に余裕がなくなる問題が発生。また、撮影した写真等の商用利用プランに変更する必要が生じ、時間あたりの単価が上がる問題も発生しました。最終的に、条件に合う候補を絞り、運営メンバーによるSlack上で投票と話し合いで決定しました。
ケータリング
ケータリングはATELIER Perch.にお願いしました。オーダーメイドケータリングが予算内でできる選択肢が限られており、最初の問い合わせ先には断られるなど苦労しましたが、最終的にATELIER Perch.さんに頼むことができました。
「初の試みとなる企画職種だけの事例共有発表会を盛り上げるため、社員のモチベーションを高め、活発な交流を促すような、見た目も味も楽しめるメニュー構成を希望します」という要望を伝え、軽食との重複を避けてもらいました。結果、提供されたフードはどれも美味しく、見た目も華やかで、参加者に大変好評でした。
使用したツール
イベントの準備および運営には主に以下のツールを使用しました
Slack: 運営チームおよび社内コミュニケーション。
Google Meet: オンライン配信とリモート参加者との連携。
Google スプレッドシート: 各種ドキュメント共有。
Googleドキュメント:当日の運営マニュアル
模造紙と付箋:後述の「LT登壇者へのお手紙」で使用。
Miro: ふりかえり会議(KPTA)やオンライン配信構成のビジュアル化に使用。
成果とハイライト
参加者数と登壇者数
立ち上げ初期の目標は参加者は15名前後、LT登壇7名でした。P&MのみんなLT登壇に不慣れであることや最初のアンケートの参加意向や、多忙な状況などを考えての想定でした。
しかし、実際には26名が参加し、うち16名がLT登壇する、想定を大きく上回る参加数、登壇数のイベントになりました。
印象に残ったLT
P&M Fesでは、さまざまな発表が行われました。特に印象に残ったLTをいくつかご紹介します。
「はじめての◯◯」
「はじめての◯◯広告出稿」や「はじめての管理画面」など、2024年に初挑戦したエピソードが語られました。初めてならではの試行錯誤がありのままに伝えられ、共感を呼びました。
「ブランディングのおはなし交換会」
最近入社された方による、ブランディングの思考プロセスとアプローチ方法についてのおはなし。事業のブランディングの具体例が紹介され、「続きは次回のフェスで」と期待させる内容でした。
「イエシルとマッハバイトの狭間でビビりまくる話」
2024年に社内異動を経験した方の驚きや気付きがコミカルに発表されました。特に、スライドの宇宙猫のページでは共感の笑いが起き、場がとてもあたたまりました。
「異動したらカンファレンス協賛担当だった件〜大マルチタスクの処理方法〜」
技術カンファレンスへの協賛を強化した転職ドラフトでのマルチタスクの工夫が紹介されました。7月〜10月にかけて7つのカンファレンス協賛をほぼ一人で回している点に脱帽し、「やり切るぞ」という精神が印象的でした。
LT登壇者への手書きのお手紙
P&M Fesの当日は、LT登壇者へ向けてオフライン参加者から手書きのひとことお手紙を書いてもらう取り組みも行いました。リモートワークではなかなか経験できない手書きの温かみを通じて、登壇者への感想や感謝の気持ちを伝えることができました。
イベント終了までに、全員に対してたくさんのお手紙が寄せられ、LT終了後、それぞれの登壇者にお手紙をプレゼントしました。登壇者からは「現場でお手紙をもらえて、とても嬉しかった」「やっぱりLTに挑戦してよかった」といった声が上がり、温かい交流が生まれました。
P&M Fes実施後のふりかえり
参加者からのフィードバック
イベント終了後には参加者アンケートを実施しました。以下は、参加者から寄せられたフィードバックの一部です。
ポジティブなフィードバック:
他事業部のプロダクトマネジメントがどのように行われているのかが知れた。結構事業部ごとに流派が異なりそう
自分にも直接役に立つ内容(ブランドや広告の施策など)もあれば、仕事のモチベーションにつながること(みんな頑張ってるんだなぁ、という感じ)もあり、すごく学びと気づきが多かった
改善のフィードバック:
会場に入って来られた後の導線・オペレーションはもう少し検討できるとよかったかも
オフライン前提で想定されていたところ、オンライン配信やつぶやき(実況)部屋作成が急遽決まったが、進行にもう少しオンライン参加の方への配慮があるとよかった
開催時期が予算策定の時期と重なって忙しいタイミングだった
これらのフィードバックをもとに、次回の会場のオペレーション、オンライン連携、開催タイミングなどの改善に活かします。
運営メンバーのふりかえり
開催後には運営の全員でmiroを使って、KPTAのフォーマットでふりかえり実施しました。
そのときの運営メンバーからの声を紹介します。
「クオリティを求めすぎると、今後の運営も大変になっちゃうので、振り返りした上でバランス取りたいですね!」
「お疲れさまでした!オンラインなど小さな問題は発生すれども、無事終わってよかったです。継続できる目的が叶うかたちで来年も運営していきたいですね!」
「想像していたものより、かなり素敵な会になったと、振り返りを通してあらためて思いました」
「無事に運営・開催できてよかったです!K・Pどちらもみんな思っていることは似たようなことだった印象です!」
学習文化の醸成と相互理解
P&M Fesの開催を通じて、お互いの業務内容や得意分野、経験が明確になり、事業部を越えた相談が活発になりました。
具体的には、開催後の半月余りで、メールのブランドアイコン施策や各種ツール導入の意見交換などが実際に行われています。
これらは、立ち上げ前に思い描いた理想状態そのもので、非常にうれしい変化です。こんなに早く、新たなつながりでの助け合いが生まれ、行動に変化が起きたことに感動しました。
意外な効果
あまり想定していなかった、意外な効果にもたくさん気づきました。
まず、LTパートの最初の頃に「イエシルとマッハバイトの狭間でビビりまくる話」のエピソードで、大きな笑いが生まれた瞬間が本当に印象的でした。
思わず吹き出すような共感の渦が広がって、Fes全体の雰囲気が一気にほぐれました。みんなが心から楽しんでいる様子を対面で見ることができて、このFesをやってよかったなと思えました。
さらに、いくつかの発表では失敗談も包み隠さずシェアされていました。みんなの前で「こうして失敗しちゃいました」「もっとこうすればよかったんじゃないか」と勇気をもって振り返る姿が見られました。
失敗だって大切な学びなんだと、堂々と発表され、それにP&Mのみんなが実感していることに胸が熱くなりました。
P&M Fesが単なる発表の場にとどまらず、リモートワークで滞りがちな心理的安全性の構築にもつながっていることを実感しました。
みんなが自由に話し、笑い合い、教え合うことで、新たな信頼関係や協力関係が生まれていました。
P&M Fesが私たちのつながりを深め、リブセンスのP&M全体のコミュニケーションを豊かにしてくれていると感じることができました。
個人的に一番うれしかったこと
私が個人的に一番うれしかったのは、LT登壇に抵抗があるのではと思っていたP&M職種のみんなが、本当に楽しそうにLTを通して対話し、学び合い、互いに称え合っている様子を生で見られたことです。
「できっこない」と思われていたハードルを笑顔で飛び越え、私が本当に見たかった光景がそこにあったのです。
学んだことと次回への展望
P&M Fesの立ち上げ・運営を通じて、私たちは多くの学びを得ました。
思い込みを取り払い「やってみる」重要性
最初はゼロからのスタート、「できっこない」ような先入観のハードルがありました。しかし、実際に行動することで解決策が見つかり、挑戦することの大切さを実感しました。失敗を恐れずに挑戦し続けること。その過程で得られる学びや人とのつながりこそが、私たちの成長を支えることを知りました。
情熱を持って協力を求めれば、道は開ける
「言い出しっぺ」として情熱を絶やさず、周囲に協力を求め続けることが、成功の鍵だったのかなと思います。みんなの力を借りることで、不可能だと思ったことも実現可能になる、リブセンスでできないことはないんだ、と思えました。
より良いP&M Fesにするために
次回に向けて改善したいことにも数多く気づくことができました。
運営の効率化と役割分担:片付けやタイムキーピングなど、細かな部分における役割分担、計画をする。
参加体験の向上:オフラインはもちろん、オンライン参加者の体験を向上させるために、登壇や会場の様子がわかるカメラ追加や、リアルタイム配信コメント対応を検討する。
これらの課題を改善することで、次のP&M Fesはさらに良いものにできるはずです。
おわりに
このnoteを気に入ってくださった方は、ぜひスキやシェアをしていただけると、今後の大きな励みになります!
また、リブセンスには、組織の課題解決に真摯に取り組み、社内LTイベントを一丸となって実現できるようなP&M組織があります。
PdMもマーケターも中途採用を強化しているので、もっと詳しく話を聞きたい方は、ぜひ私や他のリブセンス社員に声をかけてくださいね。