『失くした体』(I LOST MY BODY)
みなさん、お久しぶりです。6月の更新以来、気づいたら夏が終わって秋も終わろうとしています。
今日久しぶりに記事を書こうと思ったのは、『失くした体』のNetflix配信開始がもうすぐだから。この映画を僕が知ったのは、今年の6月。アヌシー国際アニメーション映画祭の授賞式で、本作が長編部門のグランプリを受賞した時でした。授賞式の席に座りながら、手がパリの街を這い回り、鳩の首を掴んで落ちてゆく暗いシーンに衝撃を受けました。
作品の監督はジェレミー・クラパン。5月に行われた第72回カンヌ国際映画祭の国際批評家週間でも話題になったようですね。
ストーリーは割と単純で、失った体を求めてパリの街を右手が彷徨う姿を、そしてその持ち主であるナウフェルが右手を失うまでを並行して描いています。ピザの配達をしながら、好きな女の子ガブリエルに近づこうと、あれこれ手を尽くすナウフェルの姿は健気で切なく、それが時々流れる音楽も相まって、なかなか心をえぐられます。
別に過度に残酷な映画でもないし、大きなどんでん返しがあるわけでもない。一見すればわりとストレートな青春映画なのだけど、手がネズミに襲われたり、ビルとビルの間を飛ぼうとして落ちて行ったりするのを見てハラハラしたり、単純にナウフェルの不器用さに応援したくなったり、一筋縄ではいかないエグさがそこに見え隠れしている気がします。
今年の見た作品の中では、一番良いと思った作品。スタイルもストーリーも含めて、こういうアニメーション作品を作りたいと思った1本でした。Netflixで11月29日から配信開始です。