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『ノマドランド』:アカデミー賞への道のり
中国出身のクロエ・ジャオ(Chloe Zhao)監督&サーチライトピクチャーズ製作の『ノマドランド』が12日、第77回ベネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)で、金獅子賞を受賞したそうです。
サーチライトピクチャーズといえば、ご存知の通り、元FOXサーチライト。アカデミー賞作品賞ノミネートの常連でした。ディズニーのFOX買収によってこのブランドはどうなるのかと一時危ぶまれたりもしたようですが(というか、今も安心はできない)、今の所は低予算でアート性の高い映画を手がけるレーベルという位置付けは変わっていないようです。
この『ノマドランド』は、ジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション本『ノマド:漂流する高齢労働者たち』(2017)を元にした長編映画で、2017年の映画『スリー・ビルボード』でオスカー主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンドが主演をつとめます。
2008年のリーマンショック前後における不況で全てを失った60代の女性ファーンが、一台のバンで生活をし、アメリカ西部を旅しながら、新しい人に出会い、自分の過去に対峙するというストーリー。
毎年アカデミー賞の前哨戦と言われるトロント国際映画祭でも上映されたということですが、この後さらにニューヨーク映画祭などでも上映が予定されており、現時点で作品賞ノミネートが高く期待されている一本。もしクロエ・ジャオ監督が監督賞にノミネートされた場合、史上初のアジア系女性のノミネートということで、受賞まで行く可能性も多いにあるのではと思ったりもしています。
ここで、そうか、と立ち止まって考えてみると、今までアジア系の女性監督は監督賞にノミネートされたことすらなかったんですね。もう90回以上も授賞式をやっていて、その度に5本もノミネートされているのに。たぶんそこに行くつくまでのハードルがいくつもあったんでしょう。若手の時になかなかチャンスが与えられない=監督候補のリストに上がらない、上がったとしても選ばれない、選ばれたとしても資金調達に至らない、資金調達に至ったとしても配給がつかない、そういう結局その存在が表に出ないので、新しい機会も巡ってこない、という悪循環なんでしょうね。でもその才能が陽の目を見る機会がないまま埋まってしまうのは社会全体の損失です。
『ノマドランド』アメリカでは12月4日公開らしいですが、早く見たいですねー。