COURTが生まれるまで①
「『COURT』ができるまでとこれからと」マガジンでは、僕が入社してからどのような経緯でブランドを発表するにいたり、どんな苦悩があったのか?をできるだけ具体的にご紹介できればと思っています。また、「ブランドの立ち上げ」はあくまでもスタート地点にたっただけで、ブランドをどのようにマネジメントしながら、会社として向かいたい先にむかっていくのか?ということは、立ち上げ以上に苦労します。立ち上げ、どう成長し、現在どうなっているのか?ということを紹介することは、今ブランドを立ち上げようとしている方々に、少しは役にたつのではないかと思っています。また、自分自身の整理のためにも、きちんとした文章で残していこうと思っています。
生き残る道はブランディングしかない!
僕が堀田カーペットに入社したのは、2008年3月、まさしくリーマンショックの真っ只中でした。翌月に織るものがなく、社員にも休んでもらわなけれえばならず助成金をもらっていた時期もありました。入社したとき、率直に「なぜ、こんなに良い商品が売れないのか?」と疑問に思うとともに、漠然と生き残る道はブランディングしかない!と思うようになっていました。
当時は、まだ「ブランディングとは何か?」ということはよくわからず、何から初めて良いのかもまったくわかっていませんでした。僕は、日々悶々としながらブランディングに関わる本を読み漁っていました。
そのときに読んだ本を一部ご紹介します。
ブランドをデザインする! 西澤明洋
奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり 中川淳
マイクレド 村尾隆介
僕は本を読みながら、それでもどうしてよいかわからず、著者にコンタクトをとってお会いしにいく、ということを繰り返していました。今思うと来られるかたには迷惑な話だったのだと思いますが、もちろん会いできなかったかたもいらっしゃいますが、お会いできた方は真摯に僕のよくわからない話に耳を傾けてくれ、多くのアドバイスをいただきました。感謝しかありません。
その中で、僕がブランディングを進めていく最初の第一歩になったのは、当時中川政七商店の社長で、現在は奈良のサッカークラブ奈良クラブの社長である中川淳さんとの出会いでした。(今でも経営者としての師匠です)
最初に本を読んで、中川さんにアポイントをとって話をきいていただいたとき、最後にいっていただいた言葉は、「覚悟ができたらまた来てください。」と言われました。僕はそこから半年間また悶々とする日々を送りましたが、一歩前に進めないと何もかわらない、という思いから2011年に正式に中川さんにコンサルティングをお願いすることにしました。
啓蒙活動ブランド「carpetroom」の誕生
中川さんとともに、約1年をかけて啓蒙活動ブランド「carpetroom」を立ち上げました。当時、僕は中川さんに「ラグブランドをつくりたい!」」とお願いに行きました。でも、自社のこと、業界のこと、自分がやりたいこと、を整理していく中で、「僕がやりたいことは、『ラグ』ではなく、『敷込みカーペット』を広めること!」という整理ができ、当初ラグブランドを立ち上げる予定を、カーペットの暮らしを啓蒙していくブランド「carpetroom」を立ち上げる、ということになり、2012年にcarpetroomが立ち上がりました。
carpetroomでは、掃除機メーカーDysonとのコラボレーションや、バーグハンバーグバーグというウェブコンテンツを一緒に叶えてくれるパートナーとともに、啓蒙活動のためのウェブサイトの立ち上げを行い、「VS規格」というコンテンツでは、「カーペットVSお寿司」をやってみたり、お坊さんにカーペットの供養をしてもらう映像コンテンツをつくったり、チームメンバーの皆さんのおかげで様々なコンテンツを立ち上げました。
ですが一番難しかったことは、「啓蒙活動ブランド」であるために、「売上」や「利益」といった一番わかりやすいKPIへの貢献が、どれほどあるのか?ということが非常にわかりにくかったことです。また当時の僕は、まだブランディングということに対する理解があさく、結局維持していくことが難しくなり、COURTを立ち上げた2016年に、ウェブを閉じることを決めました。
carpetroomが立ち上がったのが2012年、COURTが立ち上がったのが2016年、僕がブランディングの成果を実感できるようになるまでに、4年以上の時間がかかっています。堀田カーペットのように、いわゆるBtoBビジネスをしている会社は、「自社ブランド」に対する憧れがあります。でも、ブランドを立ち上げて、それを軌道にのせることは、そんなに単純ではありません。当時、中川さんに、「経営をよくする一番はやい方法は『改善』である」と言われました。ブランドを立ち上げる、ということは、成果に結びつけるまでに、ある程度の時間もお金もマンパワーもかかります。
自社のコンディションをしっかり見極めながら、今やるべきことは何か?将来どんな風になりたいのか?ということをしっかりと考え抜き、ブランドが立ち上がってからも、勉強を続け改善に取り組み、やり抜いていくという姿勢こそが、ブランドを成功に導く何よりも大切なことなのだと思います。
次の記事では、carpetroomを立ち上げてからCOURTにいきつくまでの4年間、何をしてきたのかについて、ご紹介をしたいと思います。
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