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自宅で喫茶店を化学合成する
本日、頼まれていたポストモダン論がいったん書けた。ちくま新書で刊行が始まった『世界哲学史』シリーズへの寄稿。ポストモダン、というのは場合によっては人聞きの良くない言葉で、僕の専門としてはフランスの「ポスト構造主義」なので、まあ総じてポスト構造主義論を書いたのだが、元のお題がせっかくポストモダンなので、ネット上で時々目にする、また僕自身に向けられることもある「ポモ批判」をいくらか念頭に置いて、反論する機能を持たせた。
ちなみにソーカル問題には触れていない。ツイッターで前に言ったが、ソーカルがやった「偽論文をわざと投稿する」というのは学術共同体を支える基本的信頼の毀損なので、そもそも「起こった行為として認めるべきでない」というのが僕の立場だ。「あの事件をふまえて何事かを語る」というだけでソーカルの蛮行に一定の承認を与えることになる。ゆえに僕はあの件には反論どころか言及もしない。
この間、喫茶店に行くのを一応控えて自宅で書いていて、やっとそれに慣れてきた。喫茶店の環境から受ける「有限化圧力」を活かして書くのがいつものやり方だったが、ならば「自宅で喫茶店を化学合成する」のはどうかと考えた。
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