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なぜ文系は重要か:そのあまり言われない理由
言語は厳しいよ。『ライティングの哲学』でそこをもっと楽にするように言ったばかりだけど、そうだとしても、言語というのはやはり厳しい。その認識はつねに大事だと思う。以前僕は、言いたいことを書こうとしても、形式的要請によって書けないことがある、くらいの「言語マゾヒスト意識」が重要だとさえ思っていた。書くというより、「言語様に書かせていただく気持ちで臨む」というフレーズさえ頭に浮かぶことがあった。今思えばそれは過剰だった。
まあでも、「言語様」との闘いは終わらないのである。
Wordじゃなくてパワポを使いたがるのは言語の厳しさから逃げている。僕は、公的な文書というのはリニアにガチガチに言語のみでつくるのが第一だという硬派なので、上下左右に図が展開しているパワポみたいなものが出てくると、なんと軟弱な、と思ってしまう。
この「言語様」の厳しさから、文系の存在理由へと話を進めたい。
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