新・モビリティビジネス論 [自動運転マップが全てを牛耳る日]
#自動運転 #電気自動車 #人工知能 #コネクティッド #IoT
様々な技術的ブレイクスルーが起きモビリティにビジネスモデルの変革が起きつつあります。そこで、新・モビリティビジネス論は、新しいモビリティビジネスを図解し考察するマガジンです。
新・モビリティビジネス論 [一覧]
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自動運転用ダイナミックマップとは
ダイナミックマップとは、静的な高精度3次元地図に、渋滞情報や事故による通行規制などの動的な情報を組み合わせたデジタル地図のことです。高精度3次元マップには、車道の中心線や道路と道路のつながり、横断歩道、停止線、交通標識、看板などさまざまな情報をベクトルデータとして格納し、車両が必要なデータをあらかじめデータベースとして保持することで、認識処理の負荷を低減するとともに、車載センサーでは判別できない遠くの道路状況を先読みすることもできる技術になります。さらに、悪天候のためセンサーによる検知が難しい場合でも、どこを通っているのかマップ情報と照らし合わせて確認できるので、安定した自動運転が可能となります。
ごちゃごちゃ、技術的な話はしてますが、要するに「自動運転に必要な超精度の良いグーグルマップ」のようなものです笑
● 複数の層が共存するビジネス
まずはじめに、完全自動運転に必要な高精度ダイナミックマップを実現するためには、それぞれの層で多くのデータ(参加者)が必要になります。ゆえに、単純な一つの地図メーカーがすべてを提供するのではなく、国、企業の枠を超えてデータを扱う必要があります。確かに、信号のリアルタイム情報や、渋滞、工事、道路情報等、バラエティに富んだ情報をなかなか一つの企業が扱えないですよね(笑)
よって、ビジネスモデルの形もその層によって変わってくる可能性があり、それぞれの層でキーとなる企業または団体が出てくると思われます。
● 基盤データは国策企業へ
また、道路情報や、工事情報は、国土交通省などが把握している場合が多く、国の協力なくしては中々難しいビジネスになります。案の定、自動運転用高精度ダイナミックマップは、国が主導する組織SIPの大きなプロジェクトの1つです。そこで、静的情報等の基盤データを扱う企業は「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」とよばれ、国の戦略機構である「産業革新機構」が主要株主になっており、基盤データをそこで管理する体制を作っています。良くも悪くも国が関与した体制でのビジネスになることは念頭に置いた方がいいかもしれませんね。
● 車両データの新しい活用方法
最近よく聞くのが車両のコネクテッド化。車両をインターネットに繋げデータを収集することによって、新しい価値を提供できると考えられています。
簡単な例だと、車載カメラが撮影した道路標識の情報などがあります。これらは、個々の車にとってはあまり重要じゃないかもしれませんが、地図を運営する事業者にとっては有用な情報になります。365日24時間日本中の道路を常に最新の情報にアップデートすることは容易ではないですが、自動運転車両が撮影した道路標識情報を利用すれば、「あ、新しい標識ができたな」とか「最高速度が変更されたな」など、その場に行かなくても最新情報に変更することが可能になります。
他にも、路面の状況や、交通事故の情報など、その場にいる車両でしか知りえない情報は、実は隠れた価値を持ち合わせていることがわかりますね。複数の層が混在するダイナミックマップだからこそ隠れた価値を見出し、幅広く活用させることで新しいビジネスが生まれてくるかもしれません。
● 付加情報をビジネスへ
そもそも従来のカーナビビジネスはどのような仕組みだったでしょうか。
従来のカーナビのシステムでは、購入してから無償のアップデート期間は長くて1年だったりと、リアルタイム性を担保するものではありませんでした。また、新しい道路が増えたりした場合、ドライバーがわざわざマップを更新する手続きをしなくてはならず、Google Mapsの様なリアルタイム情報を無料で提供するビジネスモデルが主流になり、必要性がなくなってきました。
ただ、自動運転車が普及した場合、Google Maps以上に詳細な情報が必要になり、逆に言うと、道路やそれを取り巻く環境に関する詳細情報(例えば、道路の凸凹や歩行者情報など)を持っている事業者は、付加価値を提供できる可能性があります。移動に関する付加価値を提供でにる事業者はもしかすると大きなビジネスチャンスにつながるかもしれません。
現実化条件
では、これを実現するためには何が必要になるでしょうか。
まず、技術についてですが、一番重要なのはデータの標準化。複数の事業者とのデータ送受信を必要とする技術ですので標準化された言葉で会話をする必要があります。また、そのデータの信頼性もどのように定量的に評価するのかも難しい問題になりえます。あくまで、自動運転の為に使用する情報ですので、間違った情報を提供した場合に、人身事故にまで発展する可能性も考えられます。ダイナミックマップを実現する為には、信頼度の高いエコシステムを形成しなければなりません。
一方、ビジネスモデルの描き方は非常に複雑になります。言い換えれば、それをシンプルにまとめれる事業者が勝つのかもしれませんが、需要と供給のバランスを取りつつ、どのようにビジネスを発展させていくかは今後注目の内容かなと思います。
まとめ
面白いところ
● 複数の層が共存するビジネス
● 車両データの新しい活用方法
● 付加情報をビジネスへ
今後の課題
▲ データの標準化
▲ データの信頼性
▲ ビジネスモデルの描き方
大規模かつ、複雑なビジネスになり得る自動運転用ダイナミックマップですが、新しいビジネスへ発展する可能性は大いに秘めています。また、従来の自動車メーカーではないデータを扱う事業者や、それをマイニングする事業者など、様々な分野の事業者がキープレーヤーになり得る市場です。
What3wordsという地球上を57兆に分割しそれを3単語で表現する地図サービスを手掛ける英国スタートアップが地図の分野で脚光を浴びています。情報系のスタートアップや、データマイニングを得意とするベンチャーにとっては、夢のある分野なのは間違いないですね!
まとめは、以下より
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