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インスリン、糖尿病、生活習慣病(3)血管の生命学

眼底網膜症で失明を予告された僕は眼底網膜症の専門書を読んだ。もろくなって眼底の毛細血管から出血するのがこの病気である。血液が漏れ出すのは元々の毛細血管ではなく毛細血管から眼底に伸び始めた「新生血管」だと知ったのです。

問題はなぜ新生血管が伸び始めるということです。決して高血糖が毛細血管をボロボロにしているのではない。眼底の細胞たちが「血管誘導因子」を使い「血管」を呼び寄せていたのです。眼底の毛細血管は「特別な形=眼底血液関門」なのです。この仕組(血液関門と呼ばれる)を調べるうちに血管というのは血液の単なる配管ではないと知りました。そして「細胞」と言う生命の単位が様々な機能を持つことが分かってきました。

高血糖は毛細血管をボロボロにして、壊死、腎不全、失明の原因だといいます。1990年以降の電子顕微鏡と分子生物学の進歩が「すぐに特効薬を見つける」と言われながら見つかる気配ありません。違ったところを探しているようにしか見えません。「血管がボロボロ」になるという分かりやすい表現は「本当の病の姿」を隠してしまいます。

血管という臓器

血管は5000kmの動脈・静脈と95000kmの毛細血管からなる全長10万kmの大きなの臓器です。「20兆個の赤血球」を閉じ込めて循環させるのが大事な役割です。

心臓からでた血液が戻ってくるのに10秒程度かかるといいます。2mの距離を10秒で流れます。おおよそ時速720mです。赤血球の直径は 1/250mmなので、1.5mの身長にスケールするとゆうに音速を超速度で血液は流れています。

こぶし大の心臓の脈動で10万キロの血管の循環は無理です。血液の循環は、「動脈・静脈」の筋組織が、「凝縮ー弛緩」を繰り返してその力で血液は流れています。スポーツ観戦のスタジアムなどで見られる「ウエイブ」を思い起こせばいい。運動会の大玉送りでもいい。一生で65億回の脈動を「動脈・静脈(全長5000km)」はするのです。決して心臓がポンプとして全身に血液を循環させてはいません。

心臓は、毛細血管の塊である「肺」の血液循環をコントロールします。肺は1億個とも言われる小さな部屋から出来ています。その小さな泡のような部屋の周りを高速で赤血球は循環しながらガス交換を行います。

一つの赤血球には「1億個のヘモグロビン」が閉じ込められていて、1つのヘモグロビンには4つの鉄の分子が組み込まれています。つまり、一つの赤血球に4億個の鉄の分子が入っています。赤血球というのは鉄を入れた小さなカプセルなのです。

鉄は周りの液体の「酸素=二酸化炭素」の濃度比率と同じになろうとします。「肺胞」は粘膜の小さな泡のです。粘膜に接している外気と粘膜の内側の血液の「酸素ー二酸化炭素」濃度は同一になります。

肺胞の仕組は爬虫類の皮膚呼吸を裏返しにしたものです。私達は肺胞の内側の粘膜を常に湿潤にすることで、細胞で使う酸素を迎え入れ、細胞でブドウ糖(C6H12O6)から分離した「炭素=C」を「二酸化炭素=Co2]に乗せて外気に放つのです。ブドウ糖の「H=水素」は酸素と結びついて「水=H2O」となって外に排出されます。肺胞の内側は湿潤で細菌やウイルスにとっては

「肺胞」の周りを取り囲む毛細血管の血液の「酸素=二酸化炭素」比率は「肺胞」に入って来ている大気と同じになります。その毛細血管の中を流れる赤血球内側にある「ヘモグロビン=鉄の分子」と結合している「酸素=二酸化炭素」の比率も同じになります。つまり、外気と同じ酸素と二酸化炭素を赤血球は閉じ込めて流れていくのです。

赤血球は体内に張り巡らせられた血管網を循環します。体液に浮かんでいる細胞は常に酸素を使っています。ブドウ糖をミトコンドリアで代謝する過程で水素と炭素が大量に発生します。その水素は酸素と結びついて「水=H2O」となり、炭素は酸素と結びついて「二酸化炭素=CO2」となります。

細胞内で、酸素が不足すると「ADP+P<->ATP」の反応は止まります。つまり、細胞のレベルでの窒息です(虚血死といいます)。

赤血球のガス交換は「赤血球が触れている水」の僅かな範囲でしか起こりません。身体の中を高速で流れながら「鉄の分子」は二酸化炭素と結びつき酸素を手放していきます。血の流れが止まるとあっという間にどす黒い色に変わります。あの色の変化は血の流れが止まった付近の細胞が酸素を消費して、二酸化炭素を使っていることの現れなのです。赤血球は周りの血液と同じ濃度になります。

血管という臓器の中に密閉されている赤血球は20兆個あると言われています。120日しか寿命がありません。脾臓では一秒で120万個の赤血球が破壊されます。そして破壊された赤血球の材料は血液の中に放出され、骨髄では一秒で120万個が生まれているのです。

動脈・静脈は脈動して血液を押し出す

一日でドラム缶一本分の血液が心臓を通過するといいます。

「動脈・静脈」の筋組織は表皮組織と外皮組織にサンドイッチされている。そのサンドイッチ構造はタイトジャンクションと言われる密な結合で繋がれている。特別なタンパク質が細胞膜同士を縫い付けているのだ。そこに「ほころび」が出来て隙間があくとプラークになる(と言う考え方に僕は一票です)。血液がドロドロで詰まるというのは「下水道的発想」です。間違えていると思います。

ではどうすればいいのかということが「幸運な病のレシピ」の考えていることでなのです。

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毛細血管には「赤血球が通り抜けられない大きさの穴」が空いていのです。そして毛細血管は「赤血球」より少し狭いのです。毛細血管の中を赤血球は少し折り曲がるようにして流れます。

そして、血液の赤血球以外の「水(血漿と言われ細胞が浮かぶ海の水)」はシャワーのように吹き出されます。そして細胞の間を抜けながら様々な情報を細胞に与えて・受け取り、リンパ腺を通り静脈に合流します。

細胞の間を流れぬける間に、寿命フラグ(?)の立っている細胞を貪食することもあるでしょう。

中国医学における「経穴」の考え方にも近いものです。鍼灸は、医学からは否定的に捉えられています。しかし、効果があることは疑いのない事実です。事実を認めそれをも包括的に説明できる仮説こそが「自分の命を守る」行動なのです。一時期「リンパネージュ」という言葉が流行りましたが、それはこのリンパの流れをマッサージするというものです。この件はまた後日触れることになります。

第三の血管リンパ腺、免疫系は無慈悲な壊し屋

細胞は間質液の間を流れ「リンパ腺」を通り、全身600箇所以上の「リンパ節」でフィルタされ、白血球は静脈流に乗る。ガンなどの場合「郭清」と言われる手術がある。ガン近辺のリンパ節を取り去りがんの転移を防ぐものだ。、高速道路の乗口を潰すようなものである。僕はがんの転移以上にがんが生まれやすい(免疫に見逃されやすい)「身体の中の海」の状態を問題視する。これについてはまた今度。

血液の循環に伴って「間質液」は全身を均一になろうとする。細胞の外側の「海」は常に均一なのだ。食事から入ってきた様々な要素も門脈〜肝臓〜静脈を経て全身を循環する。

細胞は海に浮かぶ孤島のようなものだ。細胞膜に埋め込まれたタンパク質(受容体)が外部の声を聞き、細胞自身は様々なメッセージ(サイトカイン)を細胞の外に送り指す。

白血球は細胞のSOSを受け取り、敵味方関係無く、壊すべき相手を壊すだけなのだ。そして白血球はリンパ線で自分自身も破壊されながら、貪食した細胞生命の残骸を「海」に放出する。身体というコロニーにおいては「老廃物」など無いのだ。貪食を繰り返す白血球の寿命は数時間から数日である。「無慈悲な生命の壊し屋」は、コロニーにおける「生命のリサイクラー」でもある。白血球は私を守る兵隊ではない。

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血管のライフサイクルは?

「血液がドロドロ」になるとか言われるが、雰囲気ワードである。血管は下水道ではないのだ。血液が凝固しないよう血管の内側のシート(細胞でつくられている内皮)には血液が凝固しない工夫がされている。血管はものすごいスピードで毎日入れ替えあっているのだ。なにせ10万キロメートルである。

作り直さえる時に適切な食事がなされていないと、起こる病だと僕は思っている。問題は、どんな食事が適切なのかである。



臓器や機関の組織特異性、それを守るための血液関門

脳や神経系、甲状腺、膵臓、腎臓、肝臓....、「身体という海」の中には「特別な役割」をなす細胞たちが存在します。また、外部と接している神経末端は常に外部からの「細菌やウイルス=マイクロバイオーム」と接しているために簡単に毛細血管から身体というコロニーに入られては困ります。

これらの組織は「お代わりの無い細胞」、一旦死滅すると同じ役割を果たす細胞が現れないのです。膵臓の「β細胞」が一度死滅するとインスリンを分泌する機能はなくなります。甲状腺も(分泌の細胞が死滅したら)元のようには戻りません。神経や脳は一旦死ぬと同じ役割を果たす細胞は生まれません。「目・耳・鼻・口」から脳に向けての神経、全身に広がる神経網、そして脳は髄膜という膜でシールドされています。

組織や臓器は周りから細胞のシートで隔離されるように区別されています。それだけ重要なのです。

しかし、ガス交換は必要です。毛細血管はそれらのガードされている組織の内側も流れます。毛細血管を猛烈なスピードで赤血球は移動しながら周り(毛細血管の外側)の酸素濃度と同じ濃度になります。

そしてそれらの組織を流れる毛細血管も特別な仕様になっています。身体全体に張り巡らされている毛細血管は血管に小さな穴が空いています。しかし、この血管達は穴がなく、ガス交換はスムースに行われますが、物質の交換は細胞を通して行われるのです。

「血液☓✗関門」と名付けられています。英語でいうと「☓✗-brain barrier」なのです。血液から組織を守り、その内部に細胞たちが特異性の高い処理を行っています。

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僕はこの本で直感的にわかりました。大事なことは、この穴の空いていない毛細血管でも、細胞を通じて特定の物質は入り込んでいけるのです。その機能があるから特異性の高い臓器は守られているのです。

またこの厳しいガードは、脳に直接働きかける薬が、患部に届きにくい原因でもあります。

血液関門

名著「血管生物学」より、児玉龍彦先生は「血管研究・システム生物医学」がご専門です。この本は少し前の本ですが、これ以上網羅的で気が付かせてもらえた本はありません。少し難しいです。


何と言っても、この本です。出版されてから20年以上経っていますが、入門には最適です。ブルーバックス恐るべし。




血管のちょっと詳しいお話

血管の生理学は面白い、2015年以来のスタディで一番勉強になった。とにかく血液というシステムが分からないと理解できないことが多い。



老廃物というミスリード

腸からの回収は静脈流になる。門脈という血管が腸からの回収された体液を肝臓に運ぶ。肝臓は食事たちが最初に通る関門である。毛細血管の塊である肝臓を通り抜けながら、肝臓組織で様々な代謝が行われる。アルコールの処理も行わえるが処理速度以上のアルコールは体内の循環経路にのって全身おほろ酔いを進める。そして何度も肝臓を通りながら繰り返し肝臓で処理が行われる。腎臓も同様である。身体というコロニーを流れる「水」を処理能力に応じて外に排出する。決して「老廃物・汚物」を濾過しているわけではない。腎臓の細胞は「身体の中に広がる海」を判断しない。自分自身の持っているプロトコルに従って反応をしているだけなのだ。外側に取り込んで内側に通す物質があったらそれを実行しているだけなのである。


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幸運な病のレシピ
厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。