キャリア教育の3つの要諦①~Being is choosing。
ここ数年,私がキャリア教育科目を担当するとき,伝えることが3つあります。「Being is Choosing」「Courage to be」「Enjoy &Survival」の3つです。今回は,「Being is choosing」について考えてみましょう。
「Being is choosing」は,直訳すると「存在することは選ぶこと」となりますが,要するに「生きることは選ぶこと=人生は選択の連続」ということです。國分康孝・久子両先生が座右の銘の一つにされていた言葉で,久子先生が著書にサインをくださるときは「Being is choosing」と記してくださることが常でした。
「キャリアとは何か」を考えるときに,「今日,朝ごはんは食べましたか?」という問いかけから始めます。
ご飯派,パン派,シリアルやコーンフレーク派,スムージー派(学生ではなかなかいませんが…),食べない,という学生もいますね(朝ごはんは食べた方が良いですが,それは話の主題ではない。)
朝のご飯を食べるという,日々のちょっとした日常の中でも,人間は自分の行動を選択しながら生きている。そうした小さな選択を,日々無数に繰り返しながら私たちは生きている。「なんとなく」で選んでいるかもしれないが,そこには自分が意識していない「ものごとの好き嫌い」や「こっちがいいという判断」が含まれている。人は生きている限り,常に目の前の分かれ道での選択を迫られている。皆さんは卒業後の進路やキャリアを選ぶという大きな選択を目の前に(あるいは,数年後に)控えていますが,これも,日々の選択の延長線上にあるのです。そんな話をします。
ここで学生に伝えたいのは「キャリアの選択は日々の生活の中にある」ということです。だからこそ今過ごしている学生生活を,充実した,自分なりに満足できるものにする必要がある。では,どうすれば充実した・満足できる(これを「幸せな」と表現することもある)学生生活を送ることができるのか。ここが,キャリアデザイン・キャリアプランニングの最初のポイントになるのです。
そういうことを説明してから,エンカウンターのエクササイズを実施したり,他のワークや演習を実施したりして,「人生は選択の連続」ということを体験的に理解してもらいます。もっとも私の場合は,1年生の最初の導入期にこの話をすることが多いので,「学習ではなく学修をしよう」などの大学生活のアドバイスにつなげたり,朝食のネタを続けて「生活することと働くことの共通点と相違点」について話すことが多いですが…。
就職活動の時,企業は学生に「主体性」を求めます。一方近頃の学生は「受け身である」と感じられる場面も多いと思います。学生本人もそう思っている節があります。しかしほとんどの学生は,多かれ少なかれ主体性を発揮して生きているはずです。そのことに気づいてもらうとともに,学生生活を主体的に過ごしてもらい,将来の進路選択につなげるための第一歩として「Being is choosing」は重要な要点であると考えます。この記事をお読みくださる皆さんはいかがでしょうか。