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メシアン『トゥランガリーラ交響曲』 分析ノート 第2楽章

第2楽章 愛の歌1 Chant d'Amour 1

この楽章はメシアンによると、2 つのクプレと展開部を伴うルフラン形式。ルフランは常に、テンポ、ニュアンス、フィーリングが完全に対照的な 2 つの要素を交互に繰り返す。楽章後半ではさまざまな要素が、あるものは上昇、あるものは下降するなど、冒頭の宇宙的拡がりを音高の面で実現する。「非シンメトリックな拡大」とメシアンが呼んだ技法が展開されるのもこの楽章の特徴だ。利便のために練習番号の小見出しをつけている。では詳しく見ていこう。

なお本稿ではオリヴィエ・メシアンの以下の著作物から引用を行っている。引用元は

"OLIVIER MESSIAEN
TURANGALÎLA SYMPHONY
pour piano solo,onde Martenot solo
et grand orchestre
(1946/1948 - révision 1990)
DURAND Editions Musicales"


・冒頭

楽章の冒頭には凝縮されたエネルギーの爆発がある。それが分散されて空間に拡がりを見せる。私は音楽における「ビッグバン」の表現だと思っている。メシアンの描く愛が宇宙規模であることの一つの証だ。

冒頭、最初の8分休符(音価2)は全グループ共通のタメに当たる

オーケストラ全体は3つのグループに分かれる。それぞれがある規則のもとに持続を変化させていく。冒頭の8分休符(16分音符単位で音価2)は全グループ共通。爆発の前の「タメ」にあたる。

・グループ1
1st 2nd ヴァイオリン
音価の変化
(2) 3 5 8 9 11 14 15 17 20 → 1 2 3 の順に音価が増えていく
和音の組成
5-26 6-z11 4-16 5-26 5-23 4-16 の6個周期

・グループ2
ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット
音価の変化
(2) 4 7 11 13 16 20 22 25 → 2 3 4 の順に音価が増えていく
和音の組成
4-1 4-5 4-8 の3個周期

・グループ3
バスクラリネット、ファゴット、ホルン、トロンボーン、チューバ、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
音価の変化
(2) 5 9 14 17 21 26 29 → 3 4 5 の順に音価が増えていく
和音の組成
4-14 4-16 4-5 4-25 4-11 の5個周期

トランペット、コルネット、打楽器群、ソロピアノはどのグループの音にも関与していく。特にD管トランペットはグループ1,2の音を高音域で拾っていくため、輝かしいメロディーのように聞こえるのだ。

練習番号3番直前の16分音符2つはグループ3,2の音が連続する箇所である。グループ3の楽器群がグループ2の和音に加わり、このセクションの締めとなっている。音が連続することを利用してここでピリオドを打ったのだ。

すると小太鼓の軽快なリズムに乗ってc#音が迫ってくる。これは次に展開されるFis durの音楽の属音にあたる。

・4番

ルフランの最初の要素はトランペットを中心とするモティーフで、激しく情熱的。練習番号4番の4つの音は4音和音の連鎖である。PCセットは 4-5,4-8,4-5,4-8, 2つセットのゼクエンツである。これは楽章の後半クライマックスにも登場する。2小節目はF#₆のコード、メロディーを含めて2¹の音だ。

ルフランの開始部分

ソロピアノは上方共鳴音としてのカリヨン、その組成は 5-30,6-z38,7-6 である。7小節目の弦楽器の動きはメシアンが偏愛したバルトーク風の半音を後戻りするような音型。楽章後半36番での「非シンメトリックな拡大」の基本音型ともなる大事なもの。さらに第6楽章「愛の眠りの園」のフルートパートに全く優美な表情で再現されるが、それは第6楽章の際に触れよう。

一見無調の感覚に陥るが、和音はFis durの4度→1度→4度→1度→4度を感じさせ最後の音はG#7、つまりドッペルドミナントに進むため、サブドミナントとトニックを行き交うような調性感を感じることができる。締めくくりのソロピアノのカリヨンは3つの音とも 5-7 であり色合いが変化する。(5-7はこの後4楽章、5楽章、10楽章でも出現する重要なセットだ。)

最後のピアノは3つとも 5-7

・5番

ルフラン2番目の要素はオンドマルトノと弦のモティーフ(練習番号5番)。ドミナントの響きの上で夢見るような柔らかく穏やかな響きだ。練習番号7番で再び出てくる時はトニックの和音に変わる。

練習番号6番の最初の4つの音が、この作品の4つ目の循環主題「和音のテーマ」である。

「和音のテーマ」は4つの7音和音からなる

他の3つ、つまり「彫像のテーマ」「花のテーマ」「愛のテーマ」と違い認識することがなかなか難しいが、作品中至る所で彩りを添えるために使用される7音和音である。その組成は 7-7,7-16,7-14,7-31 である。(ピアノパートの3つ目の音は6音しかないが、弾きやすさを考慮してg#音は省いてある。1st Oboeのパートを見るとg#音があることがわかる。第8楽章冒頭のピアノパートも参照のこと。)

6番の最初の4つの音が「和音のテーマ」


このルフラン、A=トランペットを中心とする情熱的な部分、B=オンドマルトノを中心とする甘美な部分 とすると
A B A B'
と図式化できる。Bはドミナントで、B’はトニックで提示される。

・8番

練習番号8番でピアノの超低音域を含む特異な音色に導かれ最初のクプレとなる。物憂げな鼻声の音色(低音のオーボエとコーラングレ、シャリュモー音域のクラリネット)とピチカートの交代が聞こえてくる。ヴァイオリンのコル・レーニョと、ピアノの打楽器的要素が加わる。コントラバスとグロッケンは音域は甚だ違うが同じ音を演奏、F音からスタートし音価を減らしながらH音に下がっていく。同じパターンが繰り返されるたびにそのアインザッツ(入り)のタイミングが遅くなっていく。

9番 6 5 4 3 2 2 2
10番 (1) 6 5 4 3 2 2 1
11番 (2) 6 5 4 3 2 1 1
12番 (3) 6 5 4 3 1 1 1 (←Hに達しないといけないので音価2はなし!)

練習番号9番より第1クプレ

コルレーニョの音は 4-8、鼻声の木管とピチカートは 4-14 3-4 4-14 4-6 4-8 4-8 4-8 4-8 を3小節間繰り返す。 ピアノ(音は4-6 4-8)、ヴァイブラフォン、チューブラーベル、ウッドブロックで演奏されるカリヨンが印象的。4-8が支配的でありルフラン最初の和音配置との関連性は失われていない。そして最も耳につくオンドマルトノのグリッサンド、バスクラリネットの低音メロディー、ヴァイオリンソロのトリル、小太鼓の連打といった要素が渾然一体となる。

これに続きフルートとファゴットのユニゾンによる行ったり来たりするような音型が聞こえてくる。コルレーニョの箇所からこの木管のメロディーまでが1つのセットとなるがこれをCと表そう。この第1クプレは
C C' C C''
と図式化できる。4度ある提示の1回目と3回目は同じ(実際は低音のリズムが違うのだが)、2回目4回目の木管のメロディーの長さは変化する。
この節の締めのブリッジ(3/4の小節)がルフランへの回帰を促がす。上行形はMTL3-1 下降形はMTL2-2 である。

3/4のブリッジの小節、下降形は2² 上行形は3¹

・18番

ルフランが繰り返されると、第2クプレが現れる(練習番号18番)。

練習番号18番より第2クプレ

オーボエとヴィオラによる3音和音(3-5)が怪しく蠢くのをチェロとファゴットのスタッカート音型が支える。トランペット、トロンボーンの上昇形とホルンのゲシュトップフと木管ピアノの下降音型が聞かれると、練習番号19番からファンファーレ風の音楽となる。

上声部は3-5と完全4度、低音は完全5度の連続。3小節目の急速な下降音型は6-z26,6-z36の連続。

これは21番3小節目だが、19番の3小節目も同様

これらの要素が繰り返されるが音高は変化する。例えば21番では上声部は短3度上、低音部は半音上に変わっている。

音高だけでなくオーケストレーションの違いにも注目

・22番

するとピアノ、鍵盤打楽器のガムラン風の音楽が加わってくる。しかし互いの関連性はなく、独自のルールで動く。

ピアノ:オーボエ、ヴィオラ、トランペットのメロディーに連動して動く。練習番号22番から6,7,8音和音の分散形を弾く。
4-5 4-18 ‖4-17 4-16 4-17 4-z29 4-21 4-2 4-4 ‖4-5 4-18 4-23 4-8 4-5 4-18‖4-17 4-16 4-16 4-z29 4-21 4-2 4-4 ‖
続く5小節目は 2³と2²の和音 6小節目は2³
7小節目は 4-20 4-6 4-22 5-14 が2度繰り返される。
分散形を6,7,8音和音としてまとめると
7-13‖8-5 7-4 8-z29‖7-13 8-14 7-13‖8-5 7-4 8-z29‖2³ 2²‖2³‖6-18 9-9 6-18 9-9
と簡便に記すことができる。同じ種類の和音がどこで用いられているかわかる。

チェレスタ、グロッケン:5 (1) 13 のリズム、1周すると全音下で繰り返す

そしてウッドブロックが独自のリズムを叩き出す。音価は
8 2 2 3 2 2 2 1 3 2 3
8 2 2 3 2 2 2 1 3 2 3 2 2 2 3 3 (1)

メシアンが好んだ120のデシターラから抽出したリズム。詳しくはのちほど説明する。練習番号25番、35番でも同じ規則でリズムを叩く。

・26番

この第2クプレ前半の要素は大きく展開される。そして練習番号26番では各要素が混じり合い複雑さを増す。分解してみよう。

・ピッコロ、フルート、オーボエ:新たなメロディーの導入
・ファゴット、チェロの低音:完全4度、増4度、完全5度の跳躍が上昇、最後には2ndヴァイオリン、クラリネットも加わり短6度、長6度、短7度の跳躍になる。
・ヴィオラ:1stヴァイオリンの3人のSoliと共に3-5の要素が長3度ずつ下降する。
・ピアノ:前出の要素を全音ずつ上げていく
・チューバ、大太鼓、コントラバス:F#からCまで半音ずつ上昇、音価はだんだん縮まっていき(8 7 6 5 4 3 2) 音程と音価の半音階で切迫の効果。最後の3つの音にはトランペット、トロンボーンも参加するが、彼らは長2度下げていき最後は{c d}の音で終わる。27番でのc#音の回帰を効果的にする。
・ウッドブロック、チェレスタ、グロッケン:前出の規則で動く

第2クプレを図式化してみよう。オーボエ、ヴィオラによる3-5音形をD、ファンファーレ的な部分をEとすると、
D E D' E' D'' E''
となる。

・27番

練習番号27番で最初に聞かれた小太鼓とc#音の切迫が戻ってくる。ルフランのA部分が1度だけ再現されると、29番よりメシアンが「非シンメトリックな拡大」と呼んだ技法が現れる展開部となる。最初にスコアを示そう。

全管楽器と大太鼓、オンドマルトノ、コントラバスは6音の周期で同じモティーフを繰り返すが、その最初の2つと5つ目の音は半音ずつ上昇、3つ目と4つ目は不変、最後の音は半音ずつ下降する。

このようにある旋律の各音を、反復のたびに半音ずつ上または下へ移動させてゆく事で音域を拡大して行き、いくつかの音は上下の操作を受けず同じ音に留まる、この技法を「非シンメトリックな拡大」と呼んでいる。

次は弦楽器を見てみよう。練習番号4番、ルフランの開始4音(4-5 4-8 4-5 4-8)を素材として音高操作を行う。

ヴァイオリンは、最初の4つの音のグループを「半音ずつ上げながら」繰り返す。6回繰り返したのちスタートの音を
1stヴァイオリン、2ndヴァイオリンの下パートは半音上げて
2ndヴァイオリンの上パートは半音下げて
リスタートする。

同様にヴィオラとチェロは、最初4つの音のグループを「半音ずつ下げながら」繰り返す。6回繰り返したのちスタートの音を
ヴィオラの上パートとチェロは半音上げて
ヴィオラの下パートは半音下げて
リスタートする。

ウッドブロックと小太鼓は以下のリズムを刻む。

3 3 3 1   2 3 2 8 8 
3 3 3 1   3 3 3 1 1   2 3 2 8 8 
3 3 3 1   3 3 3 1 1   3 3 3 1 1 1  2 3 2 8 8 

2周目は最初の 3 3 3 1 の最後の 1 が増殖する。
3周目も同様に 3 3 3 1 1 の最後の 1 が増殖する。

楽譜は31番の2小節目から

管楽器の6音モティーフが9回繰り返されたのち、練習番号31番で金管楽器に明確なA-durのコードが鳴る。「非シンメトリックな拡大」が行き着いた先が協和音であることに一種意外な感覚を覚えるだろう。しかしその4小節後、A-durとb-mollの主和音が同時に鳴らされる。弦楽器の動きに使用される音を合わせると12音が全て聞こえてくる。木管楽器とピアノ、グロッケンには26番で聞かれたメロディー。

・32番

32番からの5小節間はまた複雑なテクスチャー。
・ピアノ:ルフランで聞かれたカリヨン。
・木管、グロッケン:6音周期を音量を変えて繰り返す。
・ヴァイオリン:最初の1stヴァイオリンの5音モティーフを、半音、全音、全音、短3度と上げながら繰り返す。2ndは1stのオクターヴ下。
・チェロ:最初の5音モティーフをその反行形とともに繰り返す。最初の小節をAとすると、A→A反行→A'(Aの完全4度下)→A'反行→A''(A'の完全4度下)→A''反行、ヴィオラはチェロの1オクターヴ上。

続いて低音のC、高音部のHにBが重なった3-1の間をオンドマルトノのグリッサンドが落下する。まさに星が一気に滑り落ちてくるかの如く!中を埋める弦楽器のトリルは8-9,6-34。

・33番

練習番号33番は管楽器とグロッケンとピアノソロの対話。和音構造を示す。
・管楽器、グロッケン:5-26 6-z11 4-16 4-18 5-26 5-4 5-23 4-16 5-26 4-18 6-z11 5-4 4-16
同種のPCセットを同一とみなした6種の和音は以下のように図式化できる。
a b c d a e f c a d b e c

配置が違ったり移高されていたりするが、和音の種類は6つ

・ピアノ:4-5 4-16 4-5 4-16 4-5 4-11 4-14 4-16 4-5
同種のPCセットを同一とみなした4種の和音は以下のように図式化できる。
A B A B A C D B A

冒頭「ビッグバン」に使用された和音群であることがわかるだろう。この3小節のまとまりは36番で再び登場する。

練習番号34番より第2クプレE部分が展開される。

・35番

練習番号35番から36番はクライマックスへの移行部分。それぞれの要素を分解してみよう。
・ヴィオラ、チェロは減7の和音が半音ずつ上昇する。それに対してファゴット、バスクラリネット、クラリネット、途中からチェロも加わるが、音域を変化させながら全音音階で下降する。出てくる音は2¹ 2² 2³を連続して提示することになる。
・c#の保続音が音域を変えながら聞こえている。基本調Fisの属音であるし、3番27番の持続音でもある。
・チェレスタ、ピアノはルフランA部分後半、半音でいったりきたりする音型をユニゾンで。
・ヴァイオリンは最初の4小節間は長2度の連鎖を16分音符で刻む。その後短3度、長3度、完全4度、増4度、完全5度と間隔を拡げた形に変化する。ピアノのリズムと一緒だ。
・ヴァイブラフォンは h-c-c# の和音を継続的に鳴らしていく。中心音はc#である。
・ウッドブロックは以下のリズムを叩く。一周すると繰り返し。
8 2 2 3 2 2 2 1 3 2 3
8 2 2 3 2 2 2 1 3 2 3 2 2 2 3 3 3 1 2 3 2 12

これらはメシアンが愛したインドのターラから取られている。120のデシターラから以下の4つのターラを抽出しウッドブロックのリズムとしているのだ。それぞれのリズム形(音価)を示す。冒頭の数字は120のデシターラのナンバリングである。

77 gajajhamba 8 2 2 3
8 simhavikrama 2 2 2 1 3 2 3
105  candrakalâ 2 2 2 3 3 3 1
93 râgavardhana 2 3 2 12

・サスペンドシンバルは以下のリズムを刻む。一周すると繰り返し。
1 11 3 2 2 3 1 7
1 11 3 2 2 3 1 7 2 2 2 1 2 1 2 1 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 6
40番直前は音価1の連鎖が最後まで継続される。

・36番

練習番号36番からの展開はメシアンの面目躍如たる部分。ここも要素ごとに分解してみよう。

・管楽器(低音のc#を除く):練習番号33番参照、3小節のパターンが終わると全音上→全音上と繰り返す。38番2小節目は38番の音型を長3度上げたもの(6-z11 5-4 4-16)。5回に渡りこれを半音ずつ下げていく。39番からは2/8に拍子が変わり、前の小節の16分音符2つ(5-4 4-16)を6小節かけて半音ずつ下げていく。このようにだんたんモティーフは「焼却」(短縮)されていく。40番4小節前からは3/16に変わり、4-16のみが全音ずつ下降していく。ここからは高音木管やトランペットは弦楽器のメロディーをなぞっていく。
・ピアノ:練習番号33番参照、管楽器と同様の変化だが、39番からは音高は不変となる。
・弦楽器:11音周期の音型の「非シンメトリックな拡大」。この音型は練習番号4番ルフランの7小節目、ヴァイオリンヴィオラに出てくる音列の最初の11音から採られている。最初の7音が半音下降、次の3音が半音上昇、最後のc#音は不変である。この低音c#はバスクラリネット、ファゴット、トロンボーン、チューバでも補強されるので大変目立つ。音域が拡大され音域外となった音は、ピッコロやコントラバスに当てられている。

開始部分(36番)の管楽器の周期は16分音符22個分、弦楽器の周期は16分音符11個分、ということで3小節ごとに周期はしばらく一致する。管楽器の焼却が始まるとこの一致は乱れていき混沌としてくる。

全体がテンポを落としていき、最終的に全てが弦楽器11音周期の最後の音c#に着地する。ピアノだけは同じ音型を弾き続けるため最後の和音は4-5である。

40番から4-5 4-8 そしてH₆のコードの上に3¹ 3¹ 2³ 2³ 2³
2³ 2¹ 2¹ 2³ 2² 2³ 2¹ 3² 3⁴ 3³と続く。最後の音は5-z38、次の4-5をサブセットに持つ

・40番

練習番号40番でルフランの要素が再現される。柔らかい響きであったB部分が強奏される。8分音符2つは 4-5 4-8 であり、ルフラン最初の提示と同じPCセットを持つ。しかも40番直前のピアノの和音は4-5であったことを思い起こそう。ピアノの配置を長6度上げた同種の和音が鳴るわけで、その連続性が担保されているのだ。シンバルを伴う輝かしいH₆和音の上にメロディーが展開する。MTL3やMTL2に属する和音と捉えることが可能だ。最後の3つの和音はMTL3であるが、むしろ
F₇に#9が付加、E♭₇に#7が付加、c#音上のD₇
と捉えた方がわかりやすいかもしれない。最後のc#音上のD₇は5-z38、これは4-5をサブセットに持ち、またしても次の音との関連性が保持される。

練習番号41番でルフランA冒頭の再現、しかしすぐ上行形の木管楽器と下降形のヴィオラ、チェロとピアノ、チェレスタ、グロッケンが加わってくる。木管とヴィオラ、チェロはMTL2-1
ピアノ、チェレスタ、グロッケンはMTL4-1
である。ヴァイオリンはメロディー最後のa# c#を繰り返す。

木管とヴィオラチェロは2¹、ピアノチェレスタグロッケンは4¹

第1クプレの冒頭が再現され、再び輝かしいファンファーレ。

43番からは 4-8 4-5 4-8

その組成は 4-8 4-5 4-8である。43番直前の各要素が全て4-8であるので(ピアノの和音、コルレーニョ、ピチカートの音)、ここでも連続性が保たれている。

最後はルフランAのヴァイオリンメロディーの要素がピアノと弦楽器により急速に落下し、この楽章の主音f#で終止する。

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