トゥランガリーラ交響曲と私
メシアンの最初の大規模な管弦楽曲である「トゥランガリーラ交響曲」は彼の代表作として、今日最も演奏される機会に恵まれている。
私は高校生の時にこの曲に出会い、取り憑かれ、沼にはまった。高校時代は一日に全曲を3回聴くこともあるほどだった。ピアノパートが弾きたくて写譜して練習した。今でもMTLの和音連鎖を手が覚えているのはその時のお陰である。
いくつもの実演にも接してきた。この曲が演奏されると知れば万難廃して駆けつけた。そんな私の実演体験のベスト2を紹介しよう。
まず挙げるべきは、1991年2月4日、サイモン・ラトル指揮バーミンガム市響の来日公演、これが後にも先にも最高の演奏だった。藝大作曲科の提出課題をさっさと出して東京芸術劇場に出かけた記憶がある。それまで穴が開くほど聴いていた彼らのCDとおんなじ音がしたのだ。バランスやテンポに至るまで!それが生の空間で味わえたことが幸せすぎた。
もう一つは何と音大オケ、国立音大学生オケ定期である!2017年7月3日のオペラシティ公演。この時は国立音大の川島素晴先生(私にトゥランガリーラを教えてくれた張本人)より依頼されて作曲科学生向けの《トゥランガリーラ交響曲徹底分析講座》を受け持ったこともあり、公演を楽しみにしていた。まあゆうても学生オケだしなあ、くらいの気持ちで会場に行ったのだが、みな気合いが入りまくり、準・メルクルの抜群の統率力に学生が積極的に食らいついていき、驚異的な演奏を繰り広げたのである!
今後もこの作品についての話題を書き綴っていくつもりである。ご存知の方はより作品を好きに、そうでない方も作品の奥深さに触れていただけたらと思っている。