八木正人

SQUARE ENIX ゲームディレクター&プランナー:DQⅪ S(開発ディレクター)…

八木正人

SQUARE ENIX ゲームディレクター&プランナー:DQⅪ S(開発ディレクター)/DQⅪ(チーフプランナー)/聖剣RoM(ディレクター・シナリオ)/ラスト レムナント(イベントリーダー)……等

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  • 千年の旅路

    千年の呪いを受けた獣人ラルクが、呪いを解くために様々な次元に旅をするお話。聖剣LOMドラゴンキラー編の続編みたいなものと思っていただければと。拙筆ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。

記事一覧

「千年の旅路」復活させました。拙筆なので恥ずかしくはあるのですが……好きだと言ってくださる方々もいらっしゃるようなので。
よろしくお願いします。

八木正人
1年前
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千年の旅路:第一章(5)

牢獄全体を震わすような咆哮が再び響く。 その声を聞いて、茫然自失となっているラルクとクロエ。 ナキリは、声がどこから聞こえてきたのかを探るためか 辺りをゆっくりと…

八木正人
1年前
6

千年の旅路:第一章(4)

不敵な笑みを浮かべたまま、ラルクとクロエを見下ろすナキリ。 ラルク、その笑顔をしばらく見つめた後、眉をひそめて呟く。 ラルク 「ふん……確かに性格の悪そうな顔だ。…

八木正人
1年前
4

千年の旅路:第一章(3)

牢獄内の広い部屋で、ふたつの影がぶつかり合う。 ひとつは、獣人ラルク。 もうひとつは、ラルクのかつての呪われし姿……鉄巨人ラルク。 ラルクの歪んだ心根が生み落とし…

八木正人
1年前
6

千年の旅路:第一章(2)

森の中を歩くラルクとクロエ。 ふたりの間で会話が交わされることもなく、黙々と歩き続ける。 ラルク、道が分からないので歩きづらそうな様子。 対してクロエ、迷うことな…

八木正人
1年前
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千年の旅路:第一章(1)

暗闇をひとりの獣人―名をラルクという―が歩いていた。 ラルク 「千年の呪いがどういうものなのか。  愚かな俺にはわかりようもない。  だが、以前わずかな間だけ会え…

八木正人
1年前
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とりあえずnoteのアカウント作ってみました。何を書くかは全く未定ですが。企画のアイデアとか、シナリオのネタとか、会社に迷惑が掛からない程度にやるかもです。

八木正人
4年前

「千年の旅路」復活させました。拙筆なので恥ずかしくはあるのですが……好きだと言ってくださる方々もいらっしゃるようなので。
よろしくお願いします。

千年の旅路:第一章(5)

千年の旅路:第一章(5)

牢獄全体を震わすような咆哮が再び響く。
その声を聞いて、茫然自失となっているラルクとクロエ。
ナキリは、声がどこから聞こえてきたのかを探るためか
辺りをゆっくりと見回している。

クロエ
「……どういうことだ。
 あの声を聞いてから、私の身体が
 いうことをきかん……

ラルク
「馬鹿な……
 何故、ティアマットがここに?
 あの時、滅びたのではなかったのか?

ナキリ、ラルクとクロエの様子に気付

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千年の旅路:第一章(4)

千年の旅路:第一章(4)

不敵な笑みを浮かべたまま、ラルクとクロエを見下ろすナキリ。
ラルク、その笑顔をしばらく見つめた後、眉をひそめて呟く。

ラルク
「ふん……確かに性格の悪そうな顔だ。

ナキリ
「うん? なんだい獣人くん?

ラルク
「……何でもない。

そう言うと、ラルクはクロエを抱えたまま立ち上がる。
クロエ、ハッとしてラルクの腕を振りほどき、床へと降り立つ。
慌てて手を差し伸べるラルク。

ラルク
「おい、ク

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千年の旅路:第一章(3)

千年の旅路:第一章(3)

牢獄内の広い部屋で、ふたつの影がぶつかり合う。

ひとつは、獣人ラルク。
もうひとつは、ラルクのかつての呪われし姿……鉄巨人ラルク。
ラルクの歪んだ心根が生み落とした、忌まわしき怪物である。

まるで馬のような力強い四脚を持つその怪物は
巨体に似合わない速度で、縦横無尽に部屋の中を飛び回る。
さらに禍々しい鎧に包まれた剛腕から繰り出される攻撃は
下手な受け方をすれば、肉と骨が砕け散るほどの破壊力を

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千年の旅路:第一章(2)

千年の旅路:第一章(2)

森の中を歩くラルクとクロエ。
ふたりの間で会話が交わされることもなく、黙々と歩き続ける。

ラルク、道が分からないので歩きづらそうな様子。
対してクロエ、迷うことなく楽々と進んでいく。

元々寂しがり屋のラルク、長時間の沈黙に耐えられず
幾度かクロエに話しかけようとするが
いまひとつタイミングが合わず
口を少しパクパクするだけで、すぐに噤んでしまう。

それを何となく悟っているクロエ、面倒そうにラ

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千年の旅路:第一章(1)

千年の旅路:第一章(1)

暗闇をひとりの獣人―名をラルクという―が歩いていた。

ラルク
「千年の呪いがどういうものなのか。
 愚かな俺にはわかりようもない。

 だが、以前わずかな間だけ会えた
 我が姉、シエラによると
 俺は今後、様々な次元において
 贖罪の旅と闘いを強いられるのだそうだ。

 様々な次元での闘い……

 いいだろう。
 それでこの身の呪いが解けるのであれば。
 闘って、闘って、闘い続けるだけだ。

 

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とりあえずnoteのアカウント作ってみました。何を書くかは全く未定ですが。企画のアイデアとか、シナリオのネタとか、会社に迷惑が掛からない程度にやるかもです。