千年の旅路:第一章(3)
牢獄内の広い部屋で、ふたつの影がぶつかり合う。
ひとつは、獣人ラルク。
もうひとつは、ラルクのかつての呪われし姿……鉄巨人ラルク。
ラルクの歪んだ心根が生み落とした、忌まわしき怪物である。
まるで馬のような力強い四脚を持つその怪物は
巨体に似合わない速度で、縦横無尽に部屋の中を飛び回る。
さらに禍々しい鎧に包まれた剛腕から繰り出される攻撃は
下手な受け方をすれば、肉と骨が砕け散るほどの破壊力を持っていた。
大昔の戦争にて、いくつもの砦を唯ひとりで陥落させ
「砦落とし」と