見出し画像

多様な個性が共存できる社会を目指して(デジファシ構想7)

デジタルファシリテーション構想について連載しています。

デジタルファシリテーションが必要になる背景には、均質な社会から多様な社会へのシフトがあります。

私は、現在の社会課題の中には、均質な社会の中で形成された私たちのマインドセットが創り出しているものがあるのではないかと考えています。

本日は、「均質な社会」が生み出している社会的病理について考えていきます。

本来は多様な人間を均質化するという暴力性

デジファシ構想2でも述べたように、人間の思考を規格化して均質な社会を作ることは、組織や社会の秩序維持を、個人の自由や幸せよりも優先する行為です。

それは、本質的に「全体主義」へ向かう行為であり、そこには、暴力性が潜んでいます。

その暴力性を正当化するために、「誰もが勝手なことをしたら大変なことになる」という言葉が使われることが多いです。

紛争を自分たちで解決できないから、「先生、A君がひどいことをしています。叱ってください!」と言いつけることができる「先生役」が必要!

「先生」から認められて承認されることで安心したい!

そんなマインドセットが、いつの間にか、私たちに刷り込まれていて、自分たちから進んで、自由を明け渡してしまっているのではないでしょうか?

「誰もが勝手なことをしたら、大変なことになる」は、本当でしょうか?

どのくらい大変なことになるのでしょうか?

自分たちでハンドルできる大変さの範囲は、どの程度でしょうか?

その範囲を超えないために、どんな工夫があるのでしょうか?

紛争解決に向きあうことは、人間として成熟していく道だと思います。

そして、成熟していった先に、自分らしく生き、周りと調和するという世界が立ち現れてくるのではないかと思います。

社会の中で均質な価値観が設定されて、それが暴力的に押し付けられると、それを内面化した人は、社会で否定されている部分を抑圧するようになります。

主流と反主流

自分の内面で抑圧している部分があると、その部分から自己嫌悪が発生します。自己嫌悪は否定的な感情を生み出し、その対極が肯定されます。

自己嫌悪の対象と同質なものが外部に現れると、攻撃的になったり、逃避的になったりします。攻撃的なエネルギーは、同調圧力を発生させます。一方で、逃避的なエネルギーは、社会で設定してある「正解」へ同調し、均質化していくエネルギーになります。

社会の中で否定される要素を多く持つ人は、それを内面化して自己否定してしまうか、それに反発して新たな価値感を生み出すかの選択を迫られます。

社会の主流派の価値観のアンチテーゼとして、反主流派の価値観が生まれ、白黒反転した同じ構造が発生します。

主流派と反主流派は、肯定ー否定の軸が反転し、同調したり、攻撃したりする相手が反転します。

そのため、主流派と反主流派の対立は終わることはありません。

私たちが、組織や社会の秩序維持のために、「均質化」という暴力を振るうと、それによって傷ついた心が自己嫌悪を生み出し、そこから派生する2次的な暴力によって傷ついた心が、反主流派の信念を形成するのです。

この暴力と抑圧の連鎖を、どのようにして終わらせればよいのでしょうか?

自分の中の多様性を受容し、多様な個性を受容する

外部に現れている現象は、私たちが作りだしているもの。

だから、私たちの信念体系を見直して、アンラーニングしていく必要があります。

「均質化」による社会秩序の維持は、もしかしたら、かつては必要だったのかもしれません。

しかし、21世紀の今、本当にそれが必要なのかどうかは、検討する必要があると思います。

私たちが、外部から組み込まれた社会秩序維持のための信念体系をリセットして、自分の内部の多様性を受容すると、外部に存在している多様な個性に対する反応が弱まってきます。

今まで否定的に捉えていた相手に対して、「そういう部分は、自分の中にも少しはあるなぁー」と許せるようになってきます。

感情が発生する原因は、私たちの信念体系にあるからです。

自己受容

多様な個性が生かされる社会を実現するためには、私たちが、自分の内部の多様性を受容する必要があります。

そのためには、自分の心が反応的になってしまう相手と向き合って対話し、自分の信念体系の構造を明らかにしてアンラーニングしていく必要があるのです。

私たちは、世界の抑圧構造を緩めていくために、私たちの内面の抑圧構造を緩めていく必要があります。

そのためには、多様な人たちとの数多くの対話の機会が必要になります。

対面やオンラインで、様々な境界を越えて対話を繰り返していきましょう。

その対話をホールドするために必要なのが、デジタルファシリテーションです。これは、世界が変容していくために新しく必要となる仕事です。

その8へ








いいなと思ったら応援しよう!