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次世代コミュニティ生成運動の全体像(デジファシ構想8)

デジタルファシリテーション構想について連載しています。

私は、管理統制型の組織や社会へ個人が適合していくのではなく、個人の生き生きとした活動から出発して、創造的集団行動が自己組織化していく参加型社会を目指しています。

デジタル技術によって多対多の双方向コミュニケーションが可能になったことによって、参加型社会のインフラが整ってきました。参加型社会の実現のために、創造的集団行動を舵取りするファシリテーションの考えをワークショップという範囲に限定せずに、デジタル技術を活用して、組織や社会へと拡張する必要性を感じて、デジタルファシリテーション構想を立ち上げています。

「参加型社会宣言」の著者の橘川幸夫さんは、「次世代コミュニティ生成運動」として、次のような構造を提案しています

また、さとのば大学を主催している信岡亮介さんは、学び3.0という概念を提案しています。

学び1.0  秩序領域の学び
学び2.0  カオス領域の学び
学び3.0  秩序とカオスの混じり合ったカオスの縁領域の学び

信岡さんとは、毎週、学び3.0とはどのようなものなのか?どのようにして実現できるのかを議論しています。

これらに触発されて描いてみたのが次の図です。

コミュニティ生成運動

コミュニティ生成運動を生み出しているのは、私たちのいのちのはたらきです。何かしらの呼びかけに共鳴した人たちがオープンスペースに集まり、それぞれが感じているリアリティを語り合っていくのが「Zoom交流会」です。

ここでは、各メンバーに平等に時間が与えられ、お互いがお互いの想いを聴きあい、違いから学び合っていきます。驚くほどの多様性が出現します。私は、このような学びを、学び2.0と位置づけています。

自由に話しているうちに、場が開かれた意図に沿った、様々な探究テーマが見つかってきます。各メンバーが、それぞれの興味関心に応じてグループになり、研究会が立ち上がっていきます。

このときに重要になるのは、何かしらのゴールが最初に設定されて、そこに誘導されるのではなく、メンバーの想いや活動から研究会が立ち上がっていくことです。カオスの中から徐々に構造化していくときに重要になるのが動的編集の考え方です。

ビッグデータやAIと群衆心理学を融合したSNSプロパガンダが出現している時代にあって、プロパガンダと動的編集の違いはどこにあるのかというテーマは、今後、デジタルファシリテーション構想を立ち上げていくときに、重要な研究テーマになってくると考えています。

各研究会で、学びを深めていったら、社会に向けてアウトプットしていくフェーズが来ます。その過程で、必要に応じて、体系化や構造化、クオリティを高めていくということもやることになると思います。このような学びを、私は、学び1.0と位置付けています。

社会的アウトプットをすることで、新たな人たちと出会い、想いに共鳴した人たちがオープンスペースに入ってきてくれることで、多様性が維持され、生命的な活動が継続していきます。

学び3.0とは、このサイクルをグルグル回すことで、カオスと秩序の間をよろめき歩きながら進んでいくような学びだと、私は捉えています。

学び1.0(秩序)と、学び2.0(カオス)のどちらかを選ぶのではなく、それらをプロセスのフェーズとして捉えて、移り変わっていくような学びが、学び3.0(カオスの縁)だというのが、私の理解です。

かつては、数十年で1サイクルを回していたかもしれませんが、インターネットの影響で時代の変化が加速度的に速くなっている時代には、数年で1サイクルが回るようになるでしょう。それは、組織や社会の安定状態が、静的安定構造から動的平衡へとシフトするということを意味しています。サイクルが回る速さが増すことで、秩序かカオスかを選択するのではなく、それらを統合したサイクルを回すのだというように、私たちの意識が変化していくのです。

私は、2016年ころに、そのようなサイクルを「共存在サイクル」と名付けました。

秩序かカオスかの信念対立を超えて平らに回る動的平衡の参加型社会の実現へ向けて、私のできることをやっていきたいと思います。

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(お知らせ)

「参加型社会宣言」のオンライン読書会を通して、コミュニティ生成運動の社会実験を実施中です。


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