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『出現する参加型社会』が出版!クラファンで応援してくださった皆さん、ありがとうございました。

2020年末に『出現する参加型社会』の発行支援をお願いするクラウドファンディングを行いました。

1,087,500円の支援金が集まり、メタブレーンから無事に出版できることになりました。

応援してくださった皆さん、ありがとうございました。

クラウドファンディングで出版することになった理由

2020年に、橘川幸夫さんが『参加型社会宣言』をクラウドファンディングで出版することを知り、そのような方法があることを初めて知りました。

同時に、出版社ともつながりがあり、多数の本を執筆してきた橘川さんが、なぜ、あえてクラウドファンディングで出版することにしたのかに興味が湧きました。

橘川さんが提唱する「参加型社会」とは、個人と個人の1対1の繋がりを基本としたネットワーク社会です。それの対極にあるのが、1対多の繋がりを基本とする中央集権的な社会です。

一般的な出版では、著者と読者とが1対多の関係になります。著者からは読者の顔は見えません。出版社が製作費を先行投資し、赤字にならないように「売れるノウハウ」を蓄積している編集者が著者にリクエストを送り、著者は、それに応じながら執筆することになります。これは、いわば、中央集権的な出版システムによる出版であり、出版社が「売れる」と判断した本だけが出版可能になります。

橘川さんが考えたのは、「参加型社会」における新しい出版の方法論です。それが、クラウドファンディングを使って出版費用を集めて出版するというものです。この場合、著者と読者とは1対1の関係になります。誰が応援してくれたのかが分かり、連絡を取り合うことが可能になります。また、製作費をクラウドファンディングで集めるので、出版社が赤字になるリスクがありません。そのため、出版社が「売れるかどうか」を判断して、「売れるノウハウ」に基づいて介入する必要が生じません。読みたいという読者がいて、応援してくれて、製作費が集まれば、どんな本であれ出版することができるのです。

出版社は、3000部以上売れそうだと確信できる材料がないとGOサインが出ないケースが多いです。過去に売れている類書があるかどうかが判断材料になることが多いですが、新しいテーマの場合、類書がないので却下されやすいです。出版社と時代感覚が合わないと出版できないというケースが発生します。

その点、クラウドファンディングであれば、共感してくれる仲間に向かって発信し、一定の応援を取り付ければ出版することができるので、ハードルが低くなります。この方法論で、これまでなら出版できなかった本が、出版できるようになるのではないかと思います。

また、実際にやってみて、執筆しているときの心持ちが全く違うことに驚きました。これまでは、編集者の考えに合わせて内容やレベル感を調整していましたが、今回は、クラウドファンディングを応援してくれている具体的な応援者を見て、その人たちへ向けて伝える気持ちで執筆しました。これは、これまでとは全く異質な体験でした。伝えたいことを歪めずに純粋に表現することができました。

橘川さんとの出会いから「参加型社会」が、私にとって重要なキーワードになり、『参加型社会宣言』の続編として、『出現する参加型社会』を執筆することになりました。出版方法も参加型社会の哲学に合わせて行ったことで、参加型社会を実感することができました。

在野の研究者だからこそ書ける本を書きたかった

かつて生物物理の研究者を志していた私は、28歳の時にアカデミズムから離れて以来、20年間、在野の研究者として生きてきました。

アカデミズムには、様々なリソースがありますが束縛もあります。

在野には、リソースはありませんが、その分だけ、自分自身を世界に投げ込み、全身で世界を感じ取って学び、それを言語化することができる自由があります。

20年間、人生をカオスに投げ込んで、実践の中から自分なりに掴んだことを、自分なりの言葉で語ってきました。

教育、組織、社会を横断して、自己組織化の原理によってシステムをハックする方法を試行錯誤してきました。

2011年にマレーシアに移住してからは、オンライン化するコミュニケーション環境が中心になる近未来を予感し、新しいコミュニティの作り方や、ファシリテーションのやり方などについて実験的な取り組みを重ねてきました。

『出現する参加型社会』の土台には、生命論的パラダイムが流れていますが、このテーマを、物理、教育、コミュニティ&組織、社会活動を横断した在野の研究者だからこそ、独自の角度から扱うことができたと思います。

宗教的でもなく、スピリチャル的でもなく、科学的な範囲に限定するのでもなく、自分の人生を実験台にして取り組んできた体験の言葉を織り込みながら、生命論的パラダイムを表現することに挑戦することができました。

在野の研究者としての20年間の取り組みを、今回、1冊の本にまとめることができたことをとてもうれしく思っています。このような本は、出版社には理解されにくく、そのままの形で出版することができないケースが多いのですが、今回は、私の本を読みたいと応援してくださる方のおかげでクラウドファンディングを達成することができ、思いのたけをぶつけた集大成の本を書き上げることができました。

その本の目次は、次の通りです。

『出現する参加型社会』の目次

1.新しい世界観の出現

1.1. 機械論的世界観がもたらしたもの

1.2. 複雑に絡み合った世界

1.3 量子もつれと共時性

1.4 ニューサイエンスとトランスパーソナル心理学

1.5. 教育と組織のパラダイムシフト

2.Zoomとの出会いとネットワーク実践記

2.1. 大切なことはすべて粘菌から学んだ~粘菌的な知性と南方熊楠

2.2 予備校講師とインターネット

2.3. 東日本大震災で感じた違和感とマレーシア移住

2.4 . 主体的な学び支援とは何だろうか?

2.5. Zoom でコミュニケーション革命が起こる!

2.6. コミュニティと組織のオンライン自己組織化

3.コロナ状況で起こったこと

3.1. 地球全体でロックダウン

3.2. 教育のオンライン化

3.3. 働き方のオンライン化

3.4. 社会運動のオンライン化

4.次世代コミュニティ生成運動

4.1. 学び3.0

4.2. 静的安定構造から動的平衡状態=自転車型へ

4.3. デジタルファシリテーション構想

5.参加型社会の探究テーマ集

5.1. 南方熊楠のフレームワーク Kumax

5.2. 物語生成力

5.3. 進化論再考

5.4. 参加型教育

5.5. 参加型メディア

5.6. 参加型貨幣

5.7. 参加型組織

6.参加型社会学会が目指すもの

6.1. 監視社会でも暗黒社会でもない第3 の道の探究

6.2. 非暴力アナキズム

6.3. 伝搬と出現

6.4. 参加型社会学会の設立宣言

今後の予定

クラウドファンディングで応援してくださった皆さんへは、3月11日から本の郵送を開始します。アマゾンなどで購入できるのは、4月からになりそうです。

応援してくださった皆さんや、本を購入してくださった皆さんと一緒に、継続的なオンライン読書会をやっていきたいと思います。

第6章で書いていますが、「参加型社会学会」も立ち上げていきます。

参加型社会学会HP

参加型の渦を起こしていきましょう。

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