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「祖国は国語に宿る」:藤原正彦さんのエッセーに学ぶ国語の力
「国家の根幹は、国語教育にかかっている」。
そんな強いメッセージで始まる藤原正彦さんのエッセー『祖国とは国語』を読んで、改めて国語の大切さを考えさせられました。
『祖国とは国語であるのは、国語の中に祖国を祖国たらしめる文化、伝統、情緒などの大部分が包含されているからである。血でも国土でもないとしたら、これ以外に祖国の最終的アイデンティティーとなるものがない。』
この一節が特に印象的でした。
その国の「国民性」はDNAや地理的な場所ではなく、むしろ「国語」にこそ宿っているという考え方です。
最近では、SNSでの炎上やインターネット上でのトラブルが目立ちますが、テクノロジーの発展と共に、国語力が低下している国が増えているように感じます。特に先進国でその傾向が顕著です。
IT業界に身を置く私がこんなことを言うのは少し皮肉かもしれませんが、情報化社会が進むにつれて、情報そのものの価値は下がっていると思います。
今求められているのは、「情報がたくさん入ってくる」ことではなく、
「情報から有益な意味を引き出す力」です。
そのためには、国語力を常に磨いていくことが重要だと感じました。