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夢見モグラは空を待ち侘びて 29日目

モグラはトンネルを掘り進めるにあたって、
1人で作業をする限界も感じていた。
カキンカキンと岩を砕いて、
その岩屑をゴロゴロと外へ運び出して、
それを邪魔にならないところに、
綺麗に並べ、道として均していく。
少なくとも、あと4人いてくれるとちょうど良い計算だ。
オジジは毎日適当なメロディーを指でなぞって追いかけているだけだし、
あまり役には立ってくれない。

そうだ、
右手で岩を砕いて、
右足でそれを運び出して、
左手で綺麗に並べて、
左足でそれを踏み均していく、
なんて名案なんだと思って、
自分の体を4等分しようと試みたが、
チョンっとシャベルをあてがっただけで、
いててっと思ったので、モグラはすぐにそれをやめた。

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分身の話

僕には母が3人いる。
決してややこしい家庭環境で育ったとか、
そういうことではない。

母は一卵性の双生児。
サイズ感、声、姿形の98%くらいまで同じ妹がいる。
風呂上がりの姉妹は息子ですら判別不能なほど、
どちらがどちらかわからない(間違えた前科あり)。
持ち物の眼鏡のフレームの違いで辛うじて判別できる程度。
(むしろ眼鏡のフレームを逆にされていたら、息子の僕ですら間違える可能性が高い、無理ゲー。)

そして、もう一人、
中学校3年生の時の担任の先生にはあだ名があった。
先生は、
「まさとの母ちゃん」
と呼ばれていた。
あろうことか担任の先生がうちの母と、姿形、声色ともに95%以上の合致を見せ、
瓜二つとはこのこと、教室にも母がいたのである。

先生のことを「お母さん!」と呼んでしまう、
思春期特有のトラップが、
僕に関してはほぼ無理ゲー、
むしろ一周回ってもう正解なのか不正解なのかよくわからないのである。

(本当の)母と(教室の)母と僕の、
三者面談があった時には、
廊下のオーディエンスがこちらの様子を覗き込んでおり、
僕の学生時代における、瞬間最高視聴率を稼ぎ出した瞬間なのは言うまでもない。
いまだに古い友人たちに会うと、
恐怖の三者面談(仮)
というタイトルで学園七不思議的な扱いを受け、たびたび話題になり続けている。



誰しもが1度や2度こう思うだろう。
もしも自分がもう一人いたら良いのになあ。
代わりに仕事してくんないかなあ。

とお思いの、そこのあなた。

諦めないで(真矢みき風にどうぞ)。
驚くなかれ、僕には分身がいる。

ということで僕の(バンドの)webまわりを担当してくれる相棒です。
名前はCPX、由来はcomplex(コンプレックス)の塊です。

あれが必要だ、
じゃあ人の二倍頑張ればいいか、
これも必要かもしれない、
じゃあ人の三倍頑張ればいいか、
的な発想をしがちなので、
時折そのペース配分を見誤ると、
頭からピーっと湯気が出て来てショート寸前、というのがよくある。
あくまで分身は分身、
僕の生き写しのようなものなので、
そこのところは取扱要注意なのである。


というわけで温かい目で見守ってくださると分身の方(中の人)も喜ぶと思います。是非コメントなどして構ってあげてください。

僕には宝物(決して"もの"ではない)のように思うスタッフたちがいて、その人のためにも、良い景色見せてあげたいな、というのが大いにモチベーションだったりもしている。

それではまた明日。

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本日の表紙はtaiuniikuraさんの写真を使用させていただいております。

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