あなたにインタビューさせてくれませんか?
普段インタビュー"される"側のアーティストが、今度はインタビュー"する側"に。
他所ではあまり聞かれたことのないような、どうでも良いようでそんな事もないような、質問を贈り合う。
#あなたに訊きたい7つのこと
2022装いを新たにして、今回は水墨画家兼作家、砥上裕將さんをお迎えしてお届けしたいと思います。
今回も通常のインタビューに少々飽きてしまった筆者が、その作品にとても感銘を受けて、以前対談させていただいたご縁を手元にぐいっと手繰り寄せ、とうとう作品が映画化される!というお祝いの意も勝手に込めながら、砥上裕將さんを、半ば強引に道連れにするような経緯で、普通のインタビューとは少し違う角度からアーティスト同士お互いに7つずつ質問を贈り合い、お届けしたいと思います。
<砥上裕將×金井政人(BIGMAMA)>
今回はまず、僕の贈ったあなたに訊きたい7つのこと、について砥上裕將さんに答えていただきます。もし良かったら、あなたも是非質問の答えを考えてみてください。
1.あなたの取り扱い説明書の中で、最も太字で書かれている1行についてお聞かせください。
2.頭に思い描いた時、文字に書き起こした時、口から放たれた時。
言葉として最も純度が高いのはどの瞬間だと思いますか?
3.海の中の生き物で親近感の湧くものがいれば教えてください。
4.これまでのあなたの人生を振り返った時、その足跡はどのような線を描いていますか?
5.結局、バナナはおやつに入りますか?
6.トラウマ、に対抗するような言葉があれば教えてください。
7.この目には見えないものに見惚れることがあれば、その時の話をお聞かせください。
次に砥上裕將さんから頂いた7つの質問について、私、金井政人が答えていきます。
1.無限に美しいアドリブをかまして演奏できることと、とんでもなく正確にどんなにやってもノーミスで演奏できることならどっちを選びますか?
2.バンドのそれぞれの楽器を自然現象に例えると、どんな感じですか?
3.これまで人生で最も感動した絵画鑑賞について教えて下さい。
4.あなたは無実の罪で追われる身になりました。親切な誰か(たとえば胡散臭い水墨画家兼作家の砥上とか)は、あなたが巻き込まれた事件のほとぼりさめるまで逃がしてくれます。
人里離れた山小屋で、目の前は湖のロッジ。外界とはほぼ交流不能な状態に三年間過ごせと言われます。だいたい1100日くらいです。
目の前で釣りはできるし、罠猟もできます。野菜は山菜をとれます。育ててもいいです。薪は自分で用意せねばなりません。
生活に必要なものは最低限そろっています。お酒一年分とサバイバル教本と自著(なぜだかサイン入り自著『線は、僕を描く』か『7.5グラムの奇跡』)は
サービスで置いていってくれます。でも誰とも会えません。会いにも来ません。
通信機器(外界との連絡手段)以外、三つだけ好きなものを持って行っていいと言われました。
何を持って行きますか? 何をしていますか?
5.ある日、目覚めるとロッジの前に動物がやってきています。
あなたに好意的なようです。あなたが近づいても逃げません。
友達になってくれるようです。
「なんでこんなところに?」「どうして人を怖がらないのだろう?」
とあなたは思います。
どうやら触れることも出来ます。その動物はなんですか?
6.約束の時期になって、迎えはやってきました。正確にいうと少し遅れました(1300日くらいです)が、とりあえずはやってきました。軽トラックです。あなたを助手席に乗せて「少し厄介なことになった」と私は言います。
そして説明を始めます。
「事態は収拾できたが、君は死んだことになってしまったんだ。これしか方法がなかったんだ」
あなたはついに真っ白な人間になってしまいました。すべてゼロからスタートしなければなりません。
「これからどうする?」
と私は訊ねます。新しい人生です。さあ、どうしますか?
7.あなたは新しい人生を選びました。私はどう慰めていいのかも分かりません。
「ラジオでも聴こうか」と私はいって、あなたが答えないままチャンネルをひねります。
軽トラの駆動音はうるさくてとても音楽なんか聞こえません。私はボリュームの捻りを回し、大音量で音楽を流します。あなたはそっとその音楽に耳を澄ませます。
その曲はなんですか? さあ、いよいよエンドロールです。
いかがでしたでしょうか?
皆様のお時間、お暇が潰れずに、ほんの少しでもふわりと膨らめば幸いです。
本の中で、ステージでお待ちしております。
続きはまた気が向いた時にでも。