夢見モグラは空を待ち侘びて 23日目
モグラはひとつ、
これだと言うお気に入りの動作を見つけると、
飽きるまでそれを繰り返すところがあった。
その日は斜めに切り立った大きな岩から、
滑り台の要領で滑り落ちた後、
両手を広げてポーズをとりながら着地をしたことをきっかけに、
以降、ほんのちょっとでも段差を見つけたら、
そこからジャンプして飛び降りて、
両手を左右に広げてちょこんとポーズをとる、
ということを繰り返していた。
それには一体どんな意味があるんだい?と、
誰かがモグラに聞いたところ、
「着地する時にね、一番素敵なポーズを探しているんだ。」
と、ちょっとよくわからない返答をしたそうな。
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没頭の話。
今日は制作のターン。アシストしてくれているO2さんとスタジオにて。
概ね次の作品の、全体の構成、アウトラインが定まったところ。
特にバラードの曲のアレンジのイメージやキーが決められたことが大きい。やれやれ。
おおよそ5分で描く現状でも大変にドラマティックな楽曲。
仄暗い場所から、じっくりと徐々に物語が動いていって、
最後に転調して一筋の光が指してくるようなエンディング。
こう言うタイプの曲はおおよそ日本じゃ流行りにくいのはわかっていつつ、
好きなものは好きだし、書きたいものは書くし、
今回の作品にはこう言う曲が必要だ、
というエゴ全開、どうやら作者はストロングスタイルでファイティングポーズを崩さない様相。
さて、そこにどんな言葉をあてがうか。
どんなイメージを膨らませるか。
イントロから歌い出しの漠然とした第一印象として、
狭い空間に息苦しそうなメロディーライン。
王様はきっとどこかとても狭いに幽閉されていて、
心身とも拘束された状況にあるに違いない。
さて、どんな罪を犯してしまったのだろう。
いや、無実の罪で捕まっているのかもしれない。
そして、エンディングではそこから解放されるイメージ。
まさしく解き放たれるような開放感のあるコード感、音像を選んである。
この解放が何を意味するのか、
生きたまま解放されるのか、
いや、死ぬことが王様にとって解放を意味するのかも知れない。
その要件を数珠繋ぎにして、
ところどころに気持ちの良いステップで韻を踏みながら、
一度聞いただけで言葉をキャッチしてもらえるように、サビに取手のようなフックをつくりながら、
最終的に、美しき我が人生を、という作品のコア、核の心臓部の血が巡ればきっと仕上がる(はず)。
あー明日、朝起きたら勝手に完成してないかな、とか思うけどそんなことは有り得なくて、
そんなところが難しくて辛くて超しんどいけれど、
楽しくてやりがいがあって自分にしか出来ない(自分くらいしかやろうとしないだけ)から最高なのである。
そう信じて、情熱を注いでいるところ。
没頭していたらご飯を食べそびれたのでそれは良くない(こんなご時世ですから、ちゃんと栄養取らないと。)。
それではまた明日。
本日の表紙はntn.mkさんの写真を使用させていただいております。
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余談の余談
さては噂によるとどうやらもう一ヶ月ほど、
緊急事態宣言とやらは続くとな?
そして緊急事態宣言が終わるまでと勇んで始めたこのコラム的な何か。
一度言ったものを曲げるのはあんまりカッコいいと思わない派なので、
喜んでくれる方がいてくれる限り?(返事して?ハート押して)
続けてみようという心意気はあるけれどいかがでしょう。大いに空気読みつつ。